最初の魔法学授業
朝からバカにされたが竜と仲良くなれた事もあってか特に気にならなかった。
朝のHRの後は一限目から二限目にかけて魔法学だった。歩は初めての魔法の授業に少しわくわくしていた。なんせ魔法だぜ!?ラノベの中で使っているような魔法が!現実に使えるなんて現代に産まれてよかった〜…なんて考えつつ、更衣室に竜と向かい、実習服に着替えると実習ホールに向かった。二人で行動する間、今朝の事があってから皆して露骨に馬鹿にしたような目を向けてくる。
…くっそぉ、絶対見返してやる…!
「よし、全員着替えたな。魔法学は私が担当している」
なんと担任の佐藤が魔法学の担当教諭だった。…まぁ、なんかそう言う雰囲気あったし当然っちゃ当然か、などと思っていると説明が始まった。
「知っての通り魔法学は魔法の勉強をする為の授業だ。しかしこのクラスにいる奴らは全員魔法が上手く使えない。何故か分かるか?」
そんな事を聞いてくる佐藤。そんなの最初からの才能によるものだろ、そう思うと
「はい。才能が無いからです」
まあ、そんな所だよな。
「甘いな。そんな甘い考えだから上手く使いこなせないんだ馬鹿者め。確かに最初から使いこなせる奴は才能がある。しかしお前達だって魔法は使える。それは努力しだいでどんどん伸びるし上達もするものだ。今まで全く努力をしてこなかった結果がこれだ。それだけの話だ」
全然違った。いや、1割程は合ってたか。努力次第で魔法が使えるってのは本当なのか。なら幾らでもやりようはあるってことか。
「努力と言ってもひたすら魔法を使い続ける事も1つだがそれだけでは足りない。魔法っていうものはかなりの負担が身体にかかる。つまり軟弱な身体なら弱い魔法しか使えない。鍛えるだけ強い魔法が放てる。よって今日この2時間は走ってもらう」
魔法の授業と聞いて喜んでいたがまさか体力作りだったとは。他の人達は露骨に嫌な顔をするが歩と竜は強くなると誓った。なのでこういう事も全力で取り組まなければ、そう思い説明が終ると早速準備運動に取り掛かった。
準備運動も終ると佐藤から合図があった。
「準備運動はしっかりやったな?それじゃあ今から2時間ぶっ通しで走ってもらう。休憩を取るのは自由だが魔法は上達しない事を肝に命じておけ。それじゃあ、よーい、スタート」
佐藤の合図に合わせて全員で走り始める。しかし大多数は走らず、友達と喋りながら歩いていたりふざけたりしている。そんな中でも歩と竜の二人だけは真面目にグラウンドの外周を走るのだった。
一周1.2km、景色は全く変わらない事もあり、二週目にして既に気が滅入る。まだ10分程しか経っていない。まだまだ先は長いが全力で走るのみ、そう思い二人は必死に走っているとやはりと言うべきか外野から嘲笑される。
「え、何あいつらw」「落ちこぼれらしく必死にじゃんw」「がんばれぇ〜(棒)」
敢えて聞こえるように言っているようで内心「ちっあいつら…絶対にその笑顔が歪むまで強くなってやる…」と毒づきながら言葉通り必死に走るのだった。
開始1時間30分、二人は今の所一回も休まずに走り続けている。既に足はパンパン、息も切れて呼吸するたびに掠れた声さえ聞こえる。現在は20週目に突入している。距離にして約30km。足をとめればいつ倒れてもおかしくないが気力だけでなんとか足を止めないように頑張っている。その頃には二人以外全員既に授業の事はとっくに忘れているかのようで、自販機でジュースを買ったりどこから持ってきたのかお菓子などを食べて喋ったりしていた。
佐藤もグラウンドの上の観客席に居たのだが走らない生徒たちには目もくれず、じっと走り続けている二人を何も言わずに眺めている。
そして30分後、2時間走を終えた二人はその場に大の字で倒れると流れる汗をそのままに目を閉じた。
「はぁ……はぁ……はぁ………ごほっ…」
「はぁ…はぁ……はぁ……死ぬかと……思った……」
「…はぁ…はぁ…それ………」
とても疲れているのだが達成感が心地良く全身を包んでくれる。息がまだまだ整いそうに無いのでその場に寝転んだまま居ると
「よく頑張ったな。ほれ」
二人の頭上に微笑を浮かべた佐藤がスポーツドリンク?のようなジュースを差し出していた。なので二人とも
「「はぁ…はぁ………ありがとうございます」」
そういって受け取ると、早速がぶ飲みした。少し不思議な味がするな?と思うと
「……あれ?疲れが…」
「とれ……たね……」
不思議に思い、佐藤を見ると待っていたかのようにすぐに教えてくれた。
「これはな、回復魔法をかけられたスポーツドリンクだ。保健室前の自販機に売ってあるからこれからはそれを使うといい。ほら、次の授業遅れるからさっさと行け」
そういって佐藤は立ち去るのだった。確かにこのドリンクはかなり疲れに聞くのでこれからこれを使う事にした。そう思い立ち上がろうとしたら
「っ!!!痛ってぇ!!」
「これは……筋肉痛だね……痛い……」
身体にかかる負担は消えずにそのままだった。歩くのもやっとなのでよたよたと二人で支え合いながら更衣室に向かうのだった。




