落ちこぼれクラスの落ちこぼれ
「全員席ついてるか〜?」
全員が教室に来るまで大体40分位かかった。最後の人が来るのと同時に、ポニーテールの切れ目で厳しそうな女の先生が入ってきた。
「私はこのクラスの担任である佐藤だ。まずは全員自己紹介をしてもらう。番号の若いやつから始めろ」
そういうと出席番号1番のやつから自己紹介が始まった。名前、適性魔法etc...
ここにいる奴らは全員学校側が魔法においては劣っているという判断を下された者達だ。そう、魔法においては、だった。
自己紹介が終わったあとはすぐに、1つ30分の学力検査が始まった。机自体がディスプレイとなっていて、そこに問題が出題される方式になっている。しかも最新のAIプログラムも導入することで即時に採点、クラス順位、学年順位がディスプレイに浮かび上がってくる。
テストは、国語、数学、地理、理科、情報、魔法学の六教科。歩は頭が決して悪いわけでは無い。今までもテストでは中の上程度の学力はキープしていたし、授業態度も悪くないため成績もそれなりだった。しかしディスプレイに目を落す。
──────────────────────────
得点/クラス順位/学年順位
国語: 68 : 40/40 : 400/400
数学: 62 : 40/40 : 400/400
地理: 59 : 40/40 : 400/400
理科: 72 : 40/40 : 400/400
情報: 66 : 40/40 : 400/400
魔法学: 54 : 40/40 : 400/400
トータル
クラス順位: 40 学年順位: 400
────────────────────────────
そう。ここは魔法学校であると同時に偏差値が異常に高い学校でも有名だった。なぜそんな場所に入れたのかといえば校長の目に付いたからだろう。そうじゃなければ絶対にこんな場所には入れない。
歩は、流石に全てにおいて最下位は無いと思っており、順位が出た瞬間唖然とした。すると担任の佐藤が
「ここでは全員の順位内訳を黒板に表示させておく事になっている。私は会議があるので離れるがあまり暴れるなよ」
そういって教科から出て少ししたらざわざわし始めた。
「な、なぁ、あの40位のやつって確か…」
「ププッ…すげぇ、あいつある意味才能あるな」
「月城って魔法使えないんだろ?なんでこのクラス……っていうか……ククッ」
「そもそも何でこの学校にいれるのか不思議だね〜」
本人たちに隠す気は無いのかこっちをちらちらと見ながらにやにやとしてくる。面倒くさいな、なんて考えながら窓の外に目をやってぼーっとしているとメールが届いた。
2079/04/01/14:43
テスト疲れたね〜^^; 学年順位は32位だったよ〜。そっちはどうだった?
歩はメールに返信をする気力が無く、そのまま机に突っ伏して軽く目を閉じた。
それから約10分するとHRが始まった。
「いいか?お前らは頭はいいのかもしれない。だが、ここは魔法の学校、魔法のクラスだ。魔法を使いこなせないやつはやめろ。最初に言っておく。ここは落ちこぼれクラスだ。忘れるな」
そういう突然の始まりに皆呆然としている中、歩だけは
はっ、なら俺は落ちこぼれクラスの落ちこぼれ、ってか。笑えちゃうね。
なんて自暴自棄に考えていたりした。
その後は明日からの日程、一年を通しての行事の確認などさまざまな話のあと解散となった。
家に帰り着くといつも通り誰もいなかった。歩の家は三階建てなので誰も居ない、しかも夕方は少し物寂しい。階段を登った右側の部屋が歩の部屋になっていて、夕方だとちょうど夕焼けが見える位置になっていてそれを眺めるのがいつものお気に入りなのだが、今日だけは夕焼けの赤色が少し不気味に見えてしまい、カーテンを閉じた。
そしてそのままベッドに仰向けになると天井を眺めた。
───落ちこぼれクラスの落ちこぼれ、か。
今日一日を思い出しているうちに眠くなってしまいそのまま微睡みの中に沈んでゆくのだった。
次の日の朝、昨日は随分と早く眠ってしまった為 朝は五時に目が覚めたので昨日閉めたカーテンとついでに窓を開く。最近は日が昇るのが早くなってきているのか朝焼けした空、少し湿り気のある風が寝起きの体に心地よく感じた。
歩は部屋から出るととりあえず風呂に向かった。昨日入れていなかったので今のうちに入ることにした。ささっと風呂に入り、上がってきてリビングの方で髪の毛を拭いていると棚の上に飾ってある家族写真が視界に入った。
それを見ると悲しくなると同時に、昨日の事にへこたれずに頑張ろうという気持ちも湧き上がる。すると母が起きてきた。
「あら?こんな時間に起きてるなんて珍しいわね」
「昨日は疲れて早く寝ちゃったからね」
「ああ、そういえばそうだったわね。待ってて、今から朝ごはん作るから」
「ありがと」
そして朝ごはんをゆっくり食べているとそろそろ学校に行く時間になった。なので財布と腕時計型端末を持つと
「もう行くの?行ってらっしゃい」
「うん、母さん、行ってくるね!!」
そういって家を出るのだった。




