表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

8.守る

 はらと別れてから、僕は町の外れまで歩いていた。

 風が強い。

 遠くでトラックの音が聞こえる。

 僕は立ち止まり、未来を見た。



――数秒先、通行人、車――


 危険なし。

 でも、さっきから同じ未来が何度も見えている。



――暗い路地、はら、血、ナイフ、僕――


「……」



 僕はため息をついた。

 未来は絶対じゃない。

 変えられる。

 今までも変えてきた。

 でも、あの未来は何度見ても出てくる。

 つまり、ほぼ確定未来。


 はらは、僕に殺される。

 僕は、はらを殺す。


 僕は、小さな公園のベンチに座った。

 スマホを持つ人の未来を見る。



――ニュース、SNS。

 霊能力ブームは、確実に広がっていた。

 テレビ番組、能力者特集、街頭インタビュー。


 信じる?

 信じない?


 人々は盛り上がっている。

 でも、未来ではもっと大きなことが起きる。


 能力者を利用する企業。

 能力者を研究する大学。

 能力者を探す警察。


 そして、能力者を捕まえる組織――



「……面倒だな」


 その時だった。



「やっぱりここか」


 男性の声がした。

 僕は振り向く。

 そこには、はらがいた。


 いつものサングラスをかけ、ポケットに手を突っ込み立っていた。



「心が静かすぎる場所……お前、こういうとこ好きだろ」


 はらは隣に座った。



「尾行?」


「違う」


 はらは笑った。



「心を辿っただけ」


 本当に最悪の能力だ。



「で? 答え出た?」


 はらは、まっすぐ前を見て言った。



「俺と組むか……それとも一人で逃げるか」


 僕は未来を見る。



――はらと組む未来、 能力者ネットワーク、情報、金。

 血、死……――


 未来は変わらない。



「はら。能力者の時代って言ったよね? あれどういう意味?」


 はらは空を見た。



「簡単だ。能力者は金になる」


 僕は黙った。



「テレビ、企業、政治、全てが能力者を欲しがる。だから能力者は商品になる」


 はらは笑った。



「嫌そうな顔だな。でも事実だ。お前だってもう商品だろ」


 はらは僕を指さした。


 確かに……。

 テレビ、出演料、スポンサー。


 ……。



「だから……親に殺されそうになった」


 僕は呟いた。


 はらは一瞬だけ黙った。



「なるほど……」


 そして笑った。



「そりゃ殺すわ」


 僕は、はらを見た。



「驚かないの?」


「能力者は普通じゃない。普通の人生なんてない」


「……」


「俺も人殺してるし」


 僕の目が少し動く。

 ……本当に?


 はらは笑った。



「聞こえてるぜ。今、未来見たろ」


 しまった。



「安心しろ。お前を殺す気はない。むしろ守ってやる」


 守る?



「お前、面白いから」


 僕は未来を見る。



――はら、路地、血――


 ……やっぱり変わらない。


 僕はゆっくり立ち上がった。



「今日は帰る」


「そっか。でもさ」


 はらは、僕に背中を向けながら言った。



「気をつけろ。能力者は、能力者に殺される」


 はらは去っていった。

 僕はその背中を見ながら、未来を見た。



――暗い路地、はら、血、ナイフ、僕――


 未来が消えた。



「……能力者の価値か」


 もし、はらの言う通りなら、この世界は能力者の戦場になる。

 その戦場で、僕は生き残る。

 たとえ何人殺すことになっても……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ