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6.みき視点

 テレビスタジオは明るかった。

 ライト、カメラ、観客のざわめき。

 そして私。



「みきちゃん、本当に人の過去が見えるの?」


 司会者が優しく聞いてくる。

 私は静かにうなずいた。

 どのテレビ局でも、このくだりやるのね。



「どうやって見えるの?」


 私は少し考えてから言った。



「映画みたいに見えるかな」


 観客がざわめいた。



「人を見ると、その人の後ろにずっと前の映像が流れるの」


 司会者は不思議そうな顔をしていた。



「例えば?」


 私は客席を見た。

 そして、一人の女性を指さした。



「あの人」


「わ、私?」


 女性は驚いていた。



「昨日の夜、ケーキ食べた」


 観客が笑った。

 女性も笑った。



「当たりです」


「でも、旦那さんに内緒」


 女性の顔が固まった。

 観客がざわめく。



「すごいですねぇ!」



 番組は盛り上がっていた。

 収録が終わり、観客が帰る。

 スタッフが片付けを始める。

 私は控室に戻り、ドアを閉めた。


 静かになる。



「疲れた……」


 私は椅子に座り、テレビをつけた。


 ニュース番組。



――未来が見える高校生――


 テレビに映る高校生の顔をじっと見る。

 その瞬間、映像が流れ込んできた。



――暗い部屋、怒鳴り声、包丁、血。


 倒れている男女。

 そして、包丁を持つ高校生――



「見つけた」


 その時、控室のドアが開いた。



「みきちゃん!」


 プロデューサーだ。



「次の番組も決まったよ」


 私は振り向いた。



「次の?」


「今すごい人気だからね、能力者特集いっぱいやるんだ」


「能力者って、他にもいるの?」


「いるよ。心を読む男とか、霊が見える女とか」


 プロデューサーは笑って言った。



「そっか」



「でも一番すごいのはみきちゃんだよ! 過去が見えるなんてすごいじゃない! 警察も興味を持っているらしいよ」



「警察?」


「そうそう! 事件の捜査とかね」


「この人」


 私はテレビを指さした。

 画面には、逃亡中の高校生の写真が映っている。



「ああ、その子? 今ニュースで話題の子だね」


「この人、自分の親を殺してる」


 部屋の空気が止まった。



「またまた〜テレビじゃないんだから」


 プロデューサーは笑って言った。



「本当。血がいっぱい出てた」


 プロデューサーは少し黙った。



「……それ、本当?」


「うん。あと、この人まだ逃げてる。北の方に」


 プロデューサーの顔色が変わった。



「ちょっと待って」


 スマホを取り出す。



「警察に……」


「まだ!」


 プロデューサーが止まった。



「え?」


 私はテレビを見た。



「まだ捕まらない。この人、未来が見えるから」


 プロデューサーは固まった。



「……未来?」


「うん。この人、未来を見て逃げてる」


 部屋の空気が重くなる。

 私はテレビを見続けた。

 画面の中の高校生。

 その後ろに、たくさんの映像が流れている。


 逃亡、嘘、血、そして未来。



「でも、逃げられない」


 私は呟いた。



「だって、未来は見えても過去は消えないから」




「警察は現在も少年の行方を追っています」


 テレビの中で、ニュースキャスターが言う。


 私はテレビを見ながら、静かに笑った。



「大丈夫。私が見つけるから」


 未来は少しずつ変わり始めていた。

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