59.判決
裁判所は静まり返っていた。
傍聴席は、記者、カメラ、人が多い。
今日は判決の日だ。
僕は被告席に座っている。
手は震えていない。
不思議と落ち着いている。
未来が見えた頃。
僕はいつも結果を知っていた。
でも今は違う。
結果を知らない。
ただ待つ。
裁判官が入ってくる。
「起立」
全員立つ。
そして座る。
裁判官が紙を見る。
「被告、しょうた」
静かな声で裁判官が言う。
「これより判決を言い渡します」
空気が重い。
誰も動かない。
裁判官が続ける。
「被告は、複数の殺人、研究施設事件、逃亡」
罪が読み上げられる。
僕は静かに聞いている。
「被告は能力者であり、未来を見る力を持っていた」
傍聴席がざわつく。
裁判官は続ける。
「しかし能力の有無は、罪を軽くする理由にはならない」
当然だ。
僕もそう思う。
裁判官が最後の紙を見る。
「よって」
一瞬、時間が止まったように感じる。
「被告、しょうたを」
静かな声で宣告する。
「無期懲役とする」
法廷がざわつく。
記者がメモを取る。
カメラが光る。
僕はただ座っている。
死刑じゃない。
でも自由もない。
一生ここから出られない。
「以上で閉廷する」
木槌の音が響いた。
終わった。
警察が僕の腕を掴む。
「立て」
僕は立つ。
傍聴席の中には、れん、ゆきの二人がいた。
静かに座っている。
れんが僕を見る。
何も言わない。
でも少しだけ笑う。
ゆきは泣いている。
僕は何も言わない。
警察に連れられて法廷を出る。
廊下。
長い道。
その先は刑務所。
僕の未来。
もう逃げない。
――――
一方、みき。
ニュースを見ていた。
「判決、無期懲役」
みきはテレビを消す。
そして窓の外を見る。
普通の街。
普通の人。
能力はない。
平和な世界。
でも、みきは思う。
もし能力がなかったら、しょうたは違う人生だったのか。
私はこの為に生まれたのか。
じゃあ、これからは?
答えはもうわからない。
そして物語は最後へ向かう。




