57.逮捕
ライトがあたる。
目が眩む。
「動くな!」
警察が銃を向けている。
僕とみきの二人を囲む。
森の中で完全に包囲されていた。
刑事が一歩前に出る。
「しょうた」
僕の名前。
もう逃亡者の名前だ。
「そのまま両手を上げていろ」
抵抗する気はない。
もう逃げられない。
刑事が近づく。
そして手錠をかけられる。
カチャン。
冷たい金属の音が響く。
僕の手首に閉まる。
その瞬間、全部終わった。
未来を見る能力。
逃亡、戦い。
全部終わった。
「主犯を確保した」
無線が飛ぶ。
周りの警察が動く。
僕はみきを見る。
みきは静かに立っている。
何も言わず、ただ僕を見ている。
「これで満足か」
みきは少し考える。
「わからない」
僕は笑う。
「正直だな」
刑事が僕を引く。
「歩け」
僕は歩き出す。
森の出口へ向かって。
雨は止んでいた。
空が少し明るい。
朝が近い。
パトカーの前で僕は振り返る。
みきはまだ立っている。
「みき」
みきが僕を見る。
「何」
「未来は見えない方がいい」
みきは少し黙る。
「うん」
警察が僕を車に乗せる。
ドアが閉まり車が動き出す。
僕は窓の外を見ていた。
僕は思う。
未来が見えない世界。
それが普通の世界。
ひなが作った世界。
僕は目を閉じる。
――――
一方。
ニュース、テレビ、速報。
「研究施設事件の容疑者を逮捕」
僕の顔が映る。
逃亡、殺人、能力者。
全部、報道される。
世間は騒ぐ。
SNS、ニュース、議論。
でも未来を見る能力はもうない。
世界は普通に戻る。
そして僕はただの犯罪者になる。




