52.過去の証人
夜の町を僕達は走っていた。
フェンスを越え住宅街へ。
れんが息を切らす。
「まだ来る!」
後ろからパトカーのライトが光る
警察はまだ追っている。
「なんで場所わかるの!?」
ゆきは言った。
「みきの過去を見る能力かも」
未来は見えない。
でも過去は見える。
僕達が通った場所。
全部わかる。
「未来は見えないけど、過去は見えるって事!?」
れんは言った。
その時、曲がり角に影が立っていた。
みきはもう先回りしている。
僕達は止まった。
「速すぎる……」
れんは呟いた。
「しょうた」
静かな声。
逃げないで、ただ僕を見ている。
「なんで追うの!?」
ゆきは叫んだ。
「罪かな」
僕は黙っていた。
みきは続ける。
「全部見たから」
その瞬間、みきの目が光る。
僕の過去。
テレビ出演、人気。
親、金、怒り、ナイフ。
血、親の死。
研究所、能力者、兵士、死体、ひな。
最後の瞬間。
全部、みきの目に映る。
「あなたは何人殺した?」
僕は答えない。
「警察に言う気か」
みきは頷く。
「証人は私」
「でも証拠はない!」
ゆきは言った。
「ある」
スマホを見せる。
録音、映像、さっきの会話。
「時間の問題」
警察が来る。
れんが僕を見る。
「しょうた……」
僕はみきを見る。
静かに立っている。
僕を追い詰めている。
未来を見る能力。
それを持っていた僕が。
今、追われている。
「逃げても終わり」
「まだ終わらない」
「どうするの?」
未来は見えない。
答えもない。
でも僕は一歩前に出る。
みきの目が揺れる。
「お前、僕を捕まえたいのか」
「うん。正しいこと」
「正しい?」
「君は人を殺した」
沈黙が流れる。
れんが震える。
ゆきも何も言わなかった。
「そうだ」
僕は初めて認めた。
「じゃあ終わり」
遠くでサイレンが鳴る。
警察が近づいている。
「しょうた!」
れんは叫んだ。
僕はみきを見る。
「それでも僕は逃げる」
みきの目が揺れる。
次の瞬間、僕は走った。
れんとゆきも走る。
みきは動かない。
「逃げても、捕まるよ」
過去、罪、全部追ってくる。




