51.包囲
サイレンを鳴らしながらパトカーが近づいてくる。
町の通りに止まった。
警察が降りてくる。
「止まれ!」
僕は走った。
れんとゆきも走る。
コンビニの横の道。
細い路地。
後ろから声が聞こえる。
「追え!」
未来が見えない。
ただ走る。
曲がる、路地、ゴミ箱、フェンス。
「どこ行くの!?」
ゆきは言った。
「わからない!」
れんが息を切らす。
背後から警察の声がする。
「いたぞ!」
その時、通りの向こうに女の子が立っている事に気がついた。
静かに僕を見ている。
あの女の子はさっきの。
僕は一瞬止まる。
「止まるな!」
れんは叫んだ。
僕はまた走る。
でも女の子は動かない。
ただスマホで話している。
「右、次の角、行きます」
女の子は場所を伝えている。
僕の位置を全部わかっている。
「なんでバレるの!?」
ゆきは言った。
れんが振り返る。
そして気づく。
「……あいつ」
女の子は動かない。
でも目が光る。
「能力者だ」
僕も気づく。
あの視線、普通じゃない。
「見える」
その瞬間、過去が流れる。
僕達が走る数秒前、数十秒前。
全部見える。
女の子が警察に言う。
「逃げ道、左」
パトカーが回り込む。
前の道が塞がれる。
「包囲されてる!」
れんは叫んだ。
僕達は止まる。
前、警察。
後ろ、警察。
横、高いフェンス。
逃げ道がない。
ゆきが震える。
「終わり……?」
僕は周りを見る。
未来は見えない。
でもまだ終わらない。
「登る」
フェンスは高い。
でも可能だ。
「やるしかない!」
僕はひなを背負う。
そしてフェンスへ走る。
「止まれ!」
警察は叫んだ。
銃声。
弾丸が壁に当たる。
僕はフェンスを掴み登る。
れんもゆきも登る。
警察が迫る。
あと少し。
「撃たないで」
女の子は言った。
警察が止まる。
女の子が歩いてくる。
僕達を静かな目で見ている。
「しょうた」
僕はフェンスの上で止まった。
聞き覚えのある声。
この声は……!
「逃げても意味ないよ」
「お前……みきか!」
「正解」
「何で!」
れんは怒った。
「見たから」
静かな声。
「あなたの罪」
僕はみきを見る。
こいつは過去を見る。
「しょうた、全部見たよ」
テレビ、親。
殺人、研究所。
ひな。
「逃げられない」
「逃げる」
そしてフェンスを飛び越えた。
れんとゆきも続く。
「追え!」
警察は叫んだ。
再び逃走が始まった。




