49.みき
夜の森の中。
僕達は歩いていた。
警察のサイレンが遠ざかっていく。
「ここまで来れば大丈夫」
れんは言った。
ゆきも息を吐く。
「疲れた……」
僕はひなを抱えたまま歩いている。
もう重く感じない。
むしろ離したくない。
その時、遠くの丘にみきが立っていた。
僕達を静かに見ている。
その事に僕達は気づいていなかった。
――――
「見える」
みきは呟いた。
過去の能力。
研究所、実験室、能力者の子供たち。
その中に、僕、れん、ひな、オラクル。
全部流れる。
みきの目に過去が映る。
「しょうた。あなた、やっぱり殺してる」
テレビ出演。
親、金、怒り。
そして親を殺す未来。
みきは全部見る。
研究所、逃亡、能力者、兵士、死体。
ひなの死、オラクル、崩壊。
「すごい、本当に全部やったんだ」
みきは言った。
目を閉じる。
そして開く。
静かな目をしている。
「あなたは犯罪者……」
みきがスマホを取り出す。
電話をかける。
相手は警察だ。
「もしもし。情報あります」
「誰ですか?」
「能力者」
沈黙が流れる。
「しょうたって少年、殺人犯です」
警察が驚く。
「証拠は?」
「見ました全部」
また沈黙が流れる。
当然、警察は信じない。
能力を証明できない。
「場所わかります」
「どこだ?」
みきは森を見る。
「しょうた、捕まるよ」
――――
「どこ行く?」
れんは言った。
「街を出る」
「国外?」
ゆきは言った。
僕は頷く。
警察、政府、能力者研究。
全部消えたわけじゃない。
「逃げ続ける?」
れんは言った。
「そうなる」
未来が見えない。
だから計画もない。
ただ逃げる生活が始まる。
でも過去は全部見える。
その事に、僕達はまだ気づいていなかった。
そして僕の罪も全部暴かれる。
逃亡はまだ終わらない。




