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48.崩壊のあと

 夜の風は冷たかった。


 僕は地面に座っていた。

 遠くで煙が上がっている。


 地下研究施設。

 もうない。

 崩壊した。


 れんが隣に座っている。

 何も言わない。

 ゆきも黙っている。


 僕はひなをまだ抱えていた。


 ひなは動かない。

 静かなままだ。



「……終わった」


 れんは言った。


 僕はただただ煙を見ていた。


 あの場所。

 能力者研究。

 未来予測。

 全部消えた。



「オラクル……」


 れんは言った。


 僕は答えない。

 瓦礫の下で生きている可能性は低い。


 でも未来は見えない。

 だからわからない。


 ゆきがスマホを見る。


「ニュース出てる」



「何て?」


 れんは言った。



「地下施設で爆発事故、原因不明」


 ゆきは言った。



「……隠した」


 れんは言った。


 政府は能力者研究を、全部なかったことにする。



「あと……能力者ブーム終わったって」


 ゆきは言った。



「終わった?」


 ゆきが頷く。


「研究所消えたし、証拠もない。みんな信じなくなる」



 霊能力、未来予知、ブーム。

 全部消えていく。

 普通の世界。


 元通り。


 でも僕は違う。



「しょうた、これからどうする?」


 れんは言った。


 僕は答えない。

 未来がない。

 だから何も決めていない。



「警察、動くと思う」


 れんは言った。



「研究所の人、行方不明が多すぎる」


 ゆきは言った。


 兵士、研究者。

 オラクル、僕達。


 必ず調査が始まる。



「しょうた、追われるよ」


 れんは言った。



 僕はひなを見る。


 ひなが作った世界。

 未来が見えない世界。



「逃げる」


 れんが頷く。



「うん」



「どこへ?」


 ゆきは言った。


 僕は空を見る。


 夜空、星。

 未来は見えない。

 でも進むしかない。



「どこでもいい。自分の為に生きる」


 れんが少し笑う。



「やっと言ったね」


 その時、遠くでサイレンが鳴った。



「警察だ」


 れんは言った。


 もう来た。


 ゆきが焦る。


「早すぎない!?」



「ここを離れよう!」


 れんは言った。



 僕はひなを抱えて立ち上がる。

 森の中へ歩き出した。


 その時、僕は一瞬、妙な感覚を覚えた。


 視線……。

 誰かが見ている。


 振り返る。

 でも誰もいない。


「どうした?」


 れんは言った。



「……何でもない」


――――


 遠くの丘。

 暗闇の中。


「見えた」


 みきの目が淡く光る。


 未来を見る能力は消えた。

 でも過去を見る能力は残っていた。


 みきは姿を変えていた。

 以前の面影はない。


「しょうた。君の罪、全部見える」


 静かにみきは歩き出す。


 僕を追うために。

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