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47.崩壊まであと五分

 警報が鳴り続けている。

 赤いライト、揺れる床。

 地下研究施設は崩れ始めていた。


「施設崩壊まで五分」


 機械音声が繰り返す。



「しょうた! 逃げないと!」


 れんは叫んだ。



「崩れる!」


 ゆきも叫んだ。


 僕はひなを見た。

 床に横たわっている。

 動かない。

 僕はひなを抱き上げる。


 れんが涙を拭く。


「……連れていこう」


 僕は頷いた。



「逃げるの?」


 オラクルは言った。


 僕は振り返る。

 オラクルは壁にもたれていた。

 顔は青い。

 でも笑っている。



「ここで死ぬ気か」


「逃げても捕まるさ」


 研究所、政府。

 能力者対策部隊。

 すべてがある。



「君も同じだよ」


 オラクルは言った。


 僕は答えない。



「しょうた! 早く! 施設崩壊まで四分!」


 れんは叫んだ。


 床が揺れる。

 天井からコンクリートが落ちる。



「急いで!」


 ゆきは言った。


 ひなを抱えて出口へ歩き始めた。



「しょうた」


 オラクルは言った。


 僕は止まる。



「君ひなの未来見た?」


 僕は振り返らない。

 未来は見えない。

 でも見ていた。

 ひなが死ぬ未来。



「選んだんだね。ひなが死ぬ未来」


 オラクルは言った。


 誰も何も言わなかった。


 オラクルが続ける。


「未来を選ぶ能力。残酷だ」



「未来は誰でも選んでる」


 僕は言った。



「そうかもね」


 オラクルは笑った。


 その時、大きな爆発音がした。

 遠くの壁が崩れる。




「施設崩壊まで三分」



「もう無理!」


 れんは叫んだ。



「エレベーター!」


 ゆきは走った。


 僕たちは、ひなをかかえて廊下を走る。



 瓦礫。

 崩れる天井。

 全部、直感で避ける。


 エレベーターが見えた。


 れんがボタンを押す。


 ウィーン……。


 ゆっくり開く。



「来た!」


 ゆきは言った。


 その時、後ろから声がした。



「しょうた」


 オラクル。


 まだ立っている。


 遠くの廊下が崩れ始めている。



「最後に一つ聞いていい?」


 オラクルは言った。


 僕は止まる。



「しょうた!!」


 れんは叫んだ。


 でも僕は振り返った。



「未来がない世界、怖くない?」


 オラクルは言った。



「怖い」


 オラクルが笑う。


「正直だ」



「でもそれが普通だ」


 沈黙。


 研究所が崩れていく。




「しょうた、生きて」


 僕は何も言えなかった。


 次の瞬間、廊下が崩れる。


 オラクルの姿は見えなくなった。



「しょうた! 早く!」


 れんが引っ張る。


 僕はエレベーターに乗る。

 扉が閉まる。


 地下研究施設、崩壊。

 未来を見る能力者二人。


 一人は死んだ。


 もう一人は生き残った。


 でも物語はまだ終わらない。

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