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42.未来の限界

 地下研究施設。

 僕とオラクルは向かい合って立っている。



「……どう戦うの?」


 れんは呟いた。


 ゆきも動けない。

 ひなは壁にもたれている。



「未来を見る能力、便利だけど弱点がある」


 オラクルは言った。



「知ってる。未来の能力者同士、干渉する」


「それだけじゃない。未来を見るほど未来は壊れる」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――オラクル、動く――


 でもその未来の中で、オラクルも未来を見ている。


 未来が重なる。

 歪む、壊れる、頭が痛い。



「っ……!」


「それが限界。君は未来を見すぎる」


 オラクルは言った。


 僕は膝をつく。


――未来、未来、未来、数えきれない未来。

 全部流れ込む――



「君は短い未来しか見えない。僕は違う。数年先まで見える」



「そんな……」


 れんは呟いた。


 僕は未来を見る。


――世界、戦争、能力者、都市――


 未来が流れる。



「未来は決まってる。能力者が世界を変える」


 オラクルは言った。



「それはただの支配よ」


 ひなは言った。



「違う。進化だ」


 オラクルは言った。


 僕は立ち上がる。


「違う」


「未来見た?」


 僕は未来を見る。


――能力者の世界、争い、破壊――


 未来が流れる。


「見た」


「それでも能力者は必要だ」


 オラクルは笑った。



「それは未来の一つだ」


 僕は言った。


 オラクルが止まる。


「何?」


 僕は目を閉じる。

 未来を見る。


 今までより深く、遠く。


――未来、未来、未来、無数の未来――


 頭が壊れそうになる。



「しょうた、やめて!」


 ひなは叫んだ。


 僕は見続ける。


――未来の奥、さらに奥、その中に一つの未来。

 研究所、崩壊、オラクル、驚いた顔――


 未来が見えた。


 僕は目を開ける。


「見えた」



「何が?」


 オラクルは言った。


「君が見てない未来」


「ありえない」


 オラクルは笑った。



「未来は一つじゃない。未来を見る能力は使いすぎると壊れる」


「だから?」


 オラクルは言った。



「壊す」


「え?」


 れんは驚いていた。



「未来を壊す」


「意味分からない」


 オラクルは呆れていた。


 僕はひなを見る。

 ひなの能力は存在消去。

 未来の時間を消す。


「ひな、できる?」


「できる」


 オラクルの顔色が変わった。


「何を?」


「未来を消す」


「……それ、危険すぎる」


 オラクルは驚いていた。



「知ってる。でもそれしかない」


 僕は未来を見る。


――ひな、能力、未来が消える。

 そして、ひな、倒れている、動かない――


 未来が消える。



 この作戦、成功する。

 でもひなは死ぬ。

 僕は何も言えなかった。



「君、何を見た?」


 僕は答えなかった。


 ただ、戦いはもう止まらない。

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