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41.未来の読み合い

 地下研究施設。

 オラクルは静かに椅子に座っている。

 年は僕と同じくらい。

 でも冷たい目をしている。



「……あれがオラクル」


 れんは呟いた。


 ひなは黙っている。


 ゆきが一歩前に出た。



「あなたがこの研究所の、未来を見る能力者?」


 オラクルが首を傾ける。



「違うこの研究所の中枢」


 れんが困惑する。



「え?」


「研究員はただの管理人」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――研究所、会議、研究員――



「……全部君が決めているのか」


 僕は呟いた。


 オラクルが頷く。


「未来が見えると便利なんだ」



「この人が子供を実験してるの!?」


 れんは怒っていた。



「必要だから」


 オラクルは冷静に言った。



「能力者は兵器」


 ひなは言った。



「違う、次の人類」


 オラクルは真剣な表情で言った。

 部屋の空気が冷たくなる。



「能力者が人類?」


「未来を見ると分かる。普通の人間はもう終わる」


 オラクルは言った。



「何それ……」


 れんは震えていた。



「戦争、環境崩壊、人口問題、全部見えてる」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――世界、戦争、都市崩壊――



「能力者だけが生き残る」


 オラクルは言った。



「だから実験?」


 ひなは言った。



「進化さ」


 オラクルは言った。



「違う」


「未来を見てるのに?」


 オラクルは笑った。


 僕は未来を見る。


――能力者の世界、戦い、争い――


「それは地獄だ」


 オラクルが立ち上がった。


「試してみよう」


 僕を見る。


「未来を見る者同士、どっちが正しいか」


 僕は未来を見る。


――オラクル、動く。

 でも同時に、オラクルの未来が流れる。


 未来、未来、未来。


 未来がぶつかる、壊れる――


 僕の頭が痛む。


「っ……!」



「しょうた!」


 れんは叫んだ。



「そう、それが未来の能力者の戦い」


 オラクルは言った。


 未来を見る。


――僕、右へ――


「左」


 オラクルは言った。


 僕は止まる。


「全部見えてる」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――オラクル、攻撃。

 でもその未来の先。


 オラクルが避ける、未来が壊れる――


 オラクルが笑う。


「そう未来は一つじゃない」



 この戦いは力じゃない。

 未来の読み合いだ。



「君の未来はもう見た」


 オラクルは言った。



「どんな未来?」


「君はここで死ぬ」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――僕、床に倒れている、血。

 オラクル、立っている――


 未来が消える。


 でもその未来の奥。

 ほんの一瞬、別の未来が見えた。


――ひな、何かを消す――


 未来が消える。


「……まだ終わってない」


 オラクルが首を傾ける。


「何が?」


「未来は一つじゃない」


 地下研究施設、未来能力者二人。


 未来と未来がぶつかりあう。

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