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40.能力者の誕生

 夕方。

 僕達は岩の壁の前に立っていた。


 普通の壁。

 でも僕は未来を見る。


――岩が開く、巨大な扉、地下施設――


「ここだ」


 れんが周りを見る。



「ただの岩だけど……」


「隠し扉だね」


 ゆきは言った。


 ひなは静かに壁を見ていた。


 僕は未来を見る。



――研究員、警備、能力者、白い部屋、オラクル――


「入る」


「どうやって?」


 れんは不安そうだ。


 僕は岩の右側へ歩く。

 未来通り、小さな装置、パネルがある。

 ボタンを押す。


 ゆっくりと岩が動いた。

 そして巨大な扉が開いた。


 れんが驚く。


「本当に開いた!」


 嬉しそうだ。


 地下へ続くエレベーターがある。

 冷たい空気が流れている。



「もう戻れない」


 ひなは言った。



「最初から戻る未来はない」


 僕たちはエレベーターに乗った。

 扉が閉まる。


 地下へ移動した。



「怖い」


 れんは呟いた。



「私も」


 ゆきも呟いた。


 そしてエレベーターが止まった。

 扉が開くと白い廊下がある。


 静かだ。

 人はいない。


 僕は未来を見る。


――研究員、モニター室――


 その時、スピーカーから声が聞こえた。


「ようこそ」


 オラクルだ。



「君が来る未来。ずっと前から見ていたよ」


「知ってる」


「じゃあここも見た?」


 オラクルは笑った。


 壁のモニターがついた。


 映像、研究所、実験室。

 子供達、装置、薬。


 れんが息を呑む。


「子供が……」


 れんは呟いた。



「能力者は、自然に生まれたわけじゃない」


 オラクルは言った。


 僕の心臓が止まりそうになる。


 モニターが変わる。


 古い映像、研究者。

 政府会議、声が聞こえる。


「未来予測、兵器化、超能力研究、遺伝子操作、薬、脳改造」



 モニターが最後の映像に変わる。


 二人の子供。


 一人は僕。

 そしてもう一人はオラクル。



「君と僕、同じ実験をした」


 オラクルは言った。



「同じ……?」


 れんは震えていた。



「未来予測能力、成功例」


 オラクルは言った。



「……僕と同じ」


「違うよ。僕の方が完成形」


 その瞬間、廊下の奥の扉が開いた。


 白い部屋。

 椅子に座るオラクルは僕を見ていた。



「未来を決めよう」


 オラクルは言った。


 僕は未来を見る。


――戦い、研究所、血。

 僕は床に倒れている。

 オラクルが立っている――


 ここが物語の分岐点。


 僕とオラクル。

 未来を見る能力者。

 どちらかが必ず負ける。



「君の未来、全部見えてる」


 オラクルは笑った。



「それは僕も同じだ」


 地下研究施設、白い廊下。


 未来能力者同士の戦いが始まる。

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