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38.研究所への道

 廃屋の外。

 車の音が近づいてくる。

 れんが窓から覗いた。


「黒い車……」


「能力者対策部隊」


 ゆきは言った。


 ひなはまだ横になっている。

 顔色が悪い。

 でも目はしっかりしていた。


「しょうた。研究所本気?」


 ひなは僕を見た。

 僕は頷いた。


「原因はそこだから」


「でも危ないよ」


 れんは不安そうに言った。


 僕は未来を見る。


――研究所、地下施設、能力者、戦い――



「研究所を止めれば、能力者が増える原因も止まるかもしれない」



「そんな簡単じゃないよ」


 ひなは笑った。

 


「場所は?」


 僕はひなに聞いた。



「あっちの北の山の地下」


「そんな近くにあるの?」


 ひなは頷く。



「研究所、全国にある」


「……複数?」


 その時、外で声がした。



「この建物を調べろ!」


「もう来た!」


 れんが叫んだ。


 僕は未来を見る。


――兵士、廃屋、包囲、逃げられない――


 未来が消える。


「裏から出る」


 ゆきは頷いた。


 ひなは立ち上がろうとしたが、ふらついていた。



「無理するな」


 僕はひなを支えた。



「みんなで行く」


 れんは言った。



 僕たちは廃屋の裏口から出た。



 静かな朝だ。

 でも遠くから兵士達の足音が聞こえる。


 僕は未来を見る。


――森、逃げるルート――



「こっち」


 僕は走った。


 れん、ゆき、ひな。

 四人で森を進む。


 その時、突然僕の未来が歪んだ。


 未来を見る。


――研究所、地下、能力者、一人の少年、白い部屋、

 僕を見ている――


 僕は止まった。



「どうした?」


 れんは言った。



「……見えた」


 僕は呟いた。



「何が?」


 ゆきは聞いた。



「もう一人研究所にいる」


 ひなが顔を上げた。



「能力者?」


 僕は頷く。



「僕と同じ未来を見る人」


「もう一人!?」


 れんは驚いた。


 僕は未来を見る。


――研究所、少年、未来、僕、血だらけで倒れている――


 未来が消える。


 研究所には、もう一人の未来を見る能力者がいる。



「それ、研究所の切り札かも」


 ひなは言った。


 森の奥の山の向こう。

 そこに地下研究施設がある。

 そして僕の能力と同じ、未来を見る能力者がいる。

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