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35.選んだ未来

 空気が焦げている。

 れいじの体から電気が溢れていた。



「首の後ろ! そこが弱点!」


 れんは叫んだ。


 れいじは笑っている。



「バラすなよ」


 電気がさらに強くなる。

 岩が砕け、空気が震える。



「しょうた! 危ない!」


 ゆきは叫んだ。


 僕は未来を見る。


――れいじ、突進、拳、僕の胸、避ける――


 次の未来。


――れいじ、方向を変える、ひなに向かう。

 ひな、電撃を受ける、倒れる――


 未来が消える。


 僕は歯を食いしばる。


 さらに未来を見る。



――別の未来。

 僕、れいじの背後、首の後ろ、装置を壊す。

 れん、倒れている――


 未来が消える。



 この戦い誰かが必ず倒れる。



「しょうた、決めて」


 ひなは言った。


 僕は目を閉じる。

 未来を見る。


――無数の未来、勝つ未来、負ける未来、逃げる未来。


 そして僕は、一つの未来を見つけた。


 れいじ、僕、首の後ろ、装置、壊れる。

 ひな、血だらけ、倒れている、でも生きている――


 未来が消える。


 僕は目を開けた。


「これだ」


 れいじが突進する。

 電撃がくる。


 僕は未来通りに動き、れいじの拳を避ける。


 蹴りを避ける。

 電撃を飛び越える。


 れいじが驚く。


 僕は未来を見る。


――右、ジャンプ、岩を蹴る――



 そしてれいじの背後に移動した。



「なっ……」


 れいじは振り向いた。


 僕は首の後ろの装置に手を伸ばす。

 その瞬間、電撃がきて僕の体が吹き飛ぶ。


 でも手は届いた。

 装置が砕けていた。


 れいじの電気が消えた。


 れいじが膝をつく。


「……くそっ」


 僕は地面に倒れていた。


 体が動かない。

 れいじは倒れた。



「勝った!?」


 ゆきは叫んだ。



「しょうた!」


 れんは叫んだ。


 僕はひなを見る。

 ひなは岩の横で倒れていた。


 腕が焼けている。

 血が流れている。


「ひな!」


 僕は這って近づく。


 ひなが目を開ける。


「生きてる」


 僕は安堵した。



「未来、当たった?」


 ひなは呟いた。


 僕は頷いた。


「ギリギリ」


 ひなは静かに笑った。


 その時、遠くでヘリの音がした。

 ゆきが顔を上げる。


「増援が来た!」


 僕は未来を見る。


――ヘリ、能力者対策部隊、何十人、捕まる――


 未来が消える。



「どうする!?」


 れんは震えていた。

 


「逃げる」


 ひなは呟いた。


 僕はひなを見る。

 ひなの目が少しだけ変わっていた。


「私が消す」


 ひなは言った。



「何を?」


 れんは聞いた。


 ひなは空を見た。


「音じゃない。もっと大きいもの」


 僕の未来がその瞬間、見えなくなった。

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