28.封印解除
木々が揺れている。
原因はみき。
みきの体から、見えない圧力が広がっていた。
「なに……これ」
れんは震えていた。
「さっきと全然違う……」
ゆきは後ろに下がる。
「封印解除」
じんは言った。
僕はみきを見る。
みきの目が光っている。
未来を見る。
でも見えない。
僕は息を飲む。
「……まただ」
未来が消えた。
「全部見えるよ」
みきは言った。
「……え?」
僕は驚く。
みきは続けた。
「あなたの過去、あなたの未来、全部」
「全部?」
れんは呟いた。
みきは頷く。
「封印されてた能力。これが本当の力」
「過去を見る能力じゃないの?」
ゆきは言った。
「違う。時間を見る能力」
みきは呟いた。
「あなたが未来を見るなら、私は全部見る」
みきは言った。
じんが笑った。
「チートだな」
みきは僕を見る。
「未来の人、ここで終わり」
僕は走った。
みきに向かって。
未来は見えない。
でも動くしかない。
みきは動かなかった。
ただ手を軽く動かした。
その瞬間、僕の体が止まった。
まるで未来を知っているかのようだ。
僕の動きが全部読まれている。
「次」
みきは言った。
僕は殴る、避けられる。
「次」
蹴り、避けられる。
「次」
投げ、避けられる。
僕は息を切らす。
「なんで……」
「全部見えてる」
みきは言った。
そして、みきの手が動いた。
僕の腹に拳が入る。
息が止まる。
僕は地面に倒れた。
「しょうた!」
れんは叫んだ。
「立って!」
ゆきも叫んだ。
僕は動けない。
未来が見えない。
未来を作っても全部読まれる。
みきは僕の前に立った。
「終わり」
その瞬間、地面が揺れた。
岩が飛ぶ。
みきが後ろに飛んだ。
煙が広がる。
この能力は……!
「たくまさん!」
れんは叫んだ。
そこには、たくまが立っていた。
血だらけだ。
でも岩を浮かせている。
「まだ終わってねぇ」
「しぶといな」
じんは呟いた。
「簡単に死ぬかよ」
たくまは笑った。
「たくま……」
「しょうた、逃げろ」
たくまは言った。
僕は首を振る。
「逃げない」
「逃げろ!」
たくまは怒鳴った。
森中の岩が一斉に浮く。
「全部ぶつける!」
たくまは言った。
「無理だよ!」
れんは叫んだ。
たくまの体が震えている。
血が止まらない。
念動力が暴走していた。
「命削ってるな」
じんは言った。
「止める」
みきは言った。
「しょうた! 今だ!」
たくまは叫んだ。
僕は未来を見る。
未来が少し見えた。
――逃げる未来、森、生き残る――
未来が消える。
これはたくまが作った未来だ。
僕は立ち上がる。
れんの手を掴む。
「走れ!」
ゆきも走った。
「行けぇぇっ!!」
たくまは叫んだ。
岩の嵐。
森が揺れる。
みきとじんに向かって打ちつける。
爆音とともに森が崩れ、煙が広がる。
僕達は走った。
振り返らない。
「たくまさん……」
れんは泣いていた。
僕は未来を見る。
――煙、崩れた森、たくま。
地面に倒れている――
未来が消えた。
たくまはもう動かない。
僕達は、森の奥へ逃げた。
でも遠くでみきの目が光っていた。
「追うか?」
じんは言った。
「大丈夫」
みきは言った。
その瞬間、遠くの町で爆発音が響いた。
未来が動き始めていた。




