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25.未来と過去

 血の匂い。

 目の前にはじん。


 そしてもう一人。

 白いコートの少女、みき。

 過去を見る能力者。



「みき……」


 僕は呟いた。



 ゆきが僕を見る。


「この子が?」



 僕は頷く。


 みきは静かに歩いてきた。

 足音はほとんどしない。

 そして僕の前で止まった。



「未来の人」


 その声は静かだった。

 怒りも憎しみも何もない。

 ただ決まっていることを言う声。



「……どうして追うんだ?」


 僕は聞いた。



「あなた危険だから……」


 みきは少し考えてから言った。



 僕は笑った。


「警察と同じことを言うんだな」



 みきは首を振る。


「違う。私は未来を見た」



 空気が止まった。


「……え?」


 僕は驚いた。



「未来?」


 れんも驚く。



「あなたの能力、過去を見るものじゃないの?」


 ゆきは言った。



 みきは小さく頷く。


「基本は過去。でも未来も少し見える」



 僕の背中に冷たい汗が流れた。


「……どんな未来?」


「世界が壊れる」


 みきは呟いた。



 森が静まり返る。

 みきは続けた。


「能力者が増えて戦争が起こる。都市が燃えて、何万人も死ぬ。全部あなたが原因」



 僕は何も言わず未来を見る。



――都市、炎、能力者、戦い、僕――


 未来が消えた。



「だからここで止める」


 みきは言った。



「未来のせいで今殺すのか?」


 たくまが血を流しながら笑った。



「違う捕まえる」


 みきは言った。



「俺の仕事だ」


 みきの横でじんは言った。



 僕はじんを見る。


「……お前、最初から知ってたのか」



 じんは頷いた。


「みきの予知。それでお前を追っていた」



「じゃあ……最初から……」


 れんは震えていた。



「全部、計画」


 じんは言った。



 僕の頭が真っ白になる。


 未来を見る。

 でも未来が乱れていた。

 今まで見えていた未来が全部崩れている。



「……なんで」


 僕は呟いた。


 未来を見る能力、過去を見る能力。

 二つが重なる。


 未来が壊れている。


「未来の人。あなたの能力強すぎる」


 みきは言った。



「……どういう意味だ」


 僕は聞いた。



「未来を見る能力は普通は数秒。長くても数分」


 僕は黙った。

 みきは続けた。



「でもあなた何年も見えてる」


 ゆきが驚く。



「え?」


 みきが僕を見る。



「それ普通じゃない。あなた本当は」


 一歩近づいてくる。

 その目は冷たかった。



「未来を見る能力じゃない」


 僕の心臓が止まりそうになる。



「あなたの能力は、未来を作る能力」


 みきの言葉で空気が凍った。



「……え?」


 れんは呟いた。



 ゆきも理解できない顔をする。

 僕も分からなかった。



「あなたが見た未来。それはただの予知じゃない。あなたが作った未来」


 みきは言った。


 僕の頭の中で何かが崩れた。

 未来を見ていたんじゃない。

 僕が未来を決めていた?



「だから危険なんだよ」


 じんは言った。



「未来の人。あなたは世界を壊せる能力者」


 みきは呟いた。



 森が静まり返る。

 僕の未来は今、完全に壊れた。

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