24.倒れた背中
巨大な斬撃が通り過ぎた。
木々が倒れている。
地面が深く裂けていた。
そして、たくまが倒れていた。
「……たくまさん?」
れんの声が震える。
血が広がっていた。
ゆきは駆け寄る。
「たくま!」
僕は動けなかった。
さっき見えた未来。
それはこの瞬間だった。
たくまがゆっくり目を開ける。
「……生きてる」
ゆきが息を飲む。
「よかった……!」
でも傷は深い、
胸と肩が裂けている。
血が止まらない。
たくまは苦しそうに笑った。
「防いだぞ」
「バカ! 死ぬよ!」
れんは泣いていた。
「しょうた」
たくまは僕を見た。
「逃げろ」
僕は首を振った。
「逃げない」
たくまが少し驚く。
「は?」
「もう逃げない」
じんが少し離れた場所で見ていた。
僕はじんを見る。
未来を見る。
今度は見える。
――じんの未来、短い未来が数秒――
未来が戻っている。
「気づいたか」
じんは言った。
僕はじんを睨んだ。
「能力は万能じゃない。使いすぎると切れる」
つまり未来遮断は長く使えない。
僕は未来を見る。
――戦い、回避、攻撃、そして一つの未来。
じんが倒れる――
未来が消えた。
「右!」
僕は叫んだ。
ゆきは避けた。
「後ろ!」
僕の声で、れんが伏せる。
たくまが最後の力で岩を浮かせた。
巨大な岩がじんの上に移動した。
「落ちろ!」
岩が直撃した。
森が揺れ、煙が上がる。
「やった?」
れんは言った。
煙の中、足音が聞こえる。
じんが歩いて出てくる。
じんは笑った。
「惜しかったな!」
未来を見る。
――さっき見たじんが倒れる未来。
それが消えている――
「……え?」
僕は混乱していた。
未来は変わった。
なぜ?
「未来見たな」
じんは言った。
僕は黙る。
「未来は固定じゃない」
じんはそう言うと、ゆっくり指を上げた。
その瞬間、森の奥から音がした。
「誰かいる!」
れんは振り向いた。
暗闇の森から一人の女が出てきた。
長い黒髪、白いコート、静かな目。
僕の心臓が止まりそうになった。
女は僕を見ていた。
「やっと会えた」
女は呟いた。
「誰?」
れんは言った。
「みき」
空気が凍る。
過去を見る女、みき。
僕を追う存在。
みきは僕を見つめていた。
「未来の人、あなたここで終わる」
僕の未来は、今、二人の能力者に挟まれていた。




