22.四人の戦い
地面には、空間が切られた跡が残っている。
その中心に、じんは立っていた。
「いいね。逃げないんだ」
じんは楽しそうに笑っていた。
たくまが前に出る。
「当たり前だ」
石、枝、岩、鉄片、全て空中に浮く。
じんが指を鳴らす。
空間が揺れる。
地面に深い裂け目が入る。
「散れ!」
たくまは叫んだ。
僕達、四人は一斉に動く。
僕は未来を見る。
でも見えない。
未来が切れている。
じんの周囲だけ空白だ。
僕は歯を食いしばる。
「くそっ……」
ゆきが僕の横に来た。
「私が覚える」
僕は頷いた。
ゆきの能力は、記憶。
一度見た動きを全部覚える事もできる。
じんが手を振る。
空気が裂ける。
「来る!」
ゆきは叫んだ。
僕は横に飛んだ。
地面が切れる。
たくまは岩を飛ばす。
岩の弾丸だ。
じんは軽く手を振る。
岩が簡単に真っ二つになった。
「分かった」
ゆきは言った。
ゆきはじんを見ていた。
「斬る動きが毎回同じ」
「マジか!」
たくまは叫んだ。
ゆきが頷く。
「右手でこの角度。0.3秒」
じんが笑う。
「観察力いいねぇ」
「下!」
れんが叫んだ。
僕は反射的に飛んだ。
地面が裂けた。
「見えた! 斬る前に少しだけ光る!」
れんが叫んだ。
「へえ、透視か」
じんの目つきが変わった。
れんが頷く。
「うん!」
たくまは笑った。
「いいじゃねえか! 見えるなら避けられる!」
「避けるだけ?」
じんはそう言うと、手を振った。
空間が三回裂ける。
「右!」
れんの声で僕は飛んだ。
「左!」
たくまが避ける。
「後ろ!」
ゆきがしゃがむ。
三人とも回避した。
じんは少し驚いていた。
たくまは笑った。
「見えるならこっちのターンだ」
巨大な岩が、じんの頭上に浮く。
「落ちろ!!」
たくまは叫んだ。
巨大な岩が落ち、土煙が広がった。
れんは息を飲む。
「やった?」
……煙の中から声が聞こえる!
「甘い!」
岩が真っ二つに割れた。
煙の中から、じんが歩いて出てくる。
服に傷すらない。
「Sクラス能力者をなめるな」
じんは鼻で笑った。
僕の背中を汗が流れる。
未来が見えない。
能力も通じない。
「……あれ?」
れんは小さな声で言った。
「どうした?」
れんはじんを見ていた。
「この人の体の中、変」
「何が?」
「心臓が普通じゃない」
じんの目が鋭くなった。
「おいガキ」
低い声。
「え……」
れんは震えていた。
じんは笑っていなかった。
「よく見えたな」
そして胸を軽く叩いた。
金属音だ。
「機械……?」
「そう、俺は半分人間じゃない」
空気が凍る。
「改造人間って事か……?」
たくまは言った。
じんは笑った。
「能力者ハンターは、能力者より強くないといけない。だから作られた」
その瞬間、じんの体から異常な圧力が広がった。
空間が歪み、木が揺れる。
地面がきしむ。
この男、まだ本気じゃなかったんだ……!
じんは笑った。
「第二ラウンドだ」
森の戦いはさらに激しくなる。




