19.包囲
モニターは消えた。
残ったのは僕、たくま、ゆき、れん。
そして、かずおさんの死体。
「最悪だな」
たくまは舌打ちした。
「警察が来るんでしょ?」
ゆきの言葉に、僕は頷いた。
「あと20分くらいで来る」
「どうするの……?」
れんは泣きそうな声だった。
僕は未来を見る。
――ヘリ、山、特殊部隊、完全包囲――
未来が消えた。
「……普通に出たら捕まる」
「なら突破する」
たくまは拳を鳴らした。
「相手は警察よ?」
ゆきは呆れている。
「こっちは能力者だ」
たくまはやる気満々だ。
れんが僕を見る。
「しょうた、逃げられる?」
僕は目を閉じた。
未来を見る。
何十通り。
――逃走、失敗、捕まる、捕まる、捕まる。
そして一つだけ違う未来。
森、霧、四人、逃げ切る――
未来が消えた。
「……一つある」
「いいじゃねえか」
たくまは笑っていた。
「どうするの?」
ゆきは言った。
「地下のさらに下」
僕は指を下にさした。
「ある! 古いトンネル!」
れんは言った。
僕は頷いた。
「そこから森に出る」
「よし」
たくまが拳を握る。
その時、遠くから音が聞こえた。
……この音はヘリだ。
「もう来た……!」
れんは震えていた。
「急いで!」
ゆきは叫んだ。
僕たちは地下の奥へ走った。
れんが先頭だ。
「こっち!」
廊下、階段、古い扉。
「この先!」
「ぅおらぁっ!!」
たくまは扉を蹴り飛ばした。
扉は勢いよく開いた。
暗いトンネル、古い地下通路だ。
その時、未来が流れ込んできた。
――入口、ライト、銃、特殊部隊――
未来が終わる。
「……来た」
「何人?」
たくまは振り向いて言った。
「十人」
たくまは鼻で笑った。
「十分だ」
床にある鉄パイプやボルトが浮く。
「勝てる?」
ゆきは僕を見て聞いた。
僕は首を振った。
「勝てない。でも時間は稼げる」
れんがトンネルの奥を見る。
「出口もうすぐ!」
……足音が聞こえる。
ライトがちらつく。
「止まれ!」
警察の声だ。
「走れ!」
たくまが叫んだ。
金属が飛び、ライトが割れる。
悲鳴が響く。
僕達は走った。
トンネルをひたすら走った。
光りが見える。
出口が近づいている。
後ろで銃声が響く。
でも未来ではここで逃げ切れる!
僕達は森に飛び込んだ。
木々の間を走る。
ヘリのライトが空を照らしている。
でも未来の通り僕達は見つからない。
山を下り、やっと足を止めた。
全員息を切らしている。
「逃げたな」
たくまは笑っていた。
ゆきは座り込んだ。
「信じられない……」
「助かった?」
れんは不安そうな顔だ。
僕は空を見た。
未来を見る。
――東京、テレビ局、みき。
みきが目を閉じる。
「見えた」
「どこ?」
スタッフは聞いた。
「山に四人いる」
みきの目が開く。
「……やっと見つけた」――
僕の背中が冷えた。
この時、僕は知らなかった。
遠く離れた場所で、完全に見つかっていることを。




