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17.未来を変える

「いいねぇ……能力者。最高の獲物だ」


 男は笑っていた。


 たくまが前に出た。


「お前調子乗るなよ」


 パイプが浮く。

 床の金属、鉄の棒、全部宙に浮いた。



「死ね!」


 たくまの声で、鉄の棒が一斉に飛ぶ。

 しかし、男は動かなかった。

 そのかわり、影が広がる。


 床の影、壁の影、すべてが伸びる。

 蛇のように動き、壁をつくった。

 鉄が弾かれる。



 たくまが歯を食いしばる。


「くそっ!」


 男は笑った。



「弱い! 弱すぎる!」


 影が跳ねる。

 そして、たくまの足に絡む。



「っ!」


 たくまは、床に引き倒された。



「たくまさん!」


 れんは叫んだ。



 ゆきが僕を見た。


「しょうた! どうなるの!」



 僕は目を閉じて未来を見る。



――影、たくまの首、血。

 死体、れん、ゆき――



 何度見ても同じだ。

 全員死ぬ。



「……だめだ」


 僕は呟いた。



「え……?」


 ゆきが震えて言った。



「変わらない……」


「そうだろうな。未来は決まってる」


 男は笑っていた。



 その時、れんが僕の袖を引いた。


「ねぇ」


 小さな声で、れんが話す。


「未来、全部見える?」


 僕は首を振った。



「全部じゃない。でも、可能性は見える」



「じゃあ、変えられる未来ある?」


 れんは言った。



 僕は黙った。

 そして未来を見た。


 何十通り、何百通り。



――死、死、死。

 でも、一つだけ違う未来が見えた。


 ほんの一瞬だ。


 男が倒れている未来――



 未来が消えた。



「……ある」


 僕は言った。



 ゆきが息を飲む。


「本当に?」


 僕は頷いた。



「でも、かなり無理な未来かも……」


「聞こえてるぞ、未来少年。変えてみろ」



「れん、透視して」


 僕は言った。



「わかった!」


「あの男の体を見て」


 れんは目を細めた。


 数秒後。



「見える! 胸に黒いのある!」


 男の顔が少し変わった。



「能力を奪う装置……?」


 僕は言った。



「装置?」


 ゆきは言った。



 僕は未来で見た。

 胸、黒い機械、能力を保存する装置。



「へえ……透視、便利だな」


 男は笑った。



「たくま!」


 僕は叫んだ。



 たくまが顔を上げる。


「胸を狙え!」


 たくまの目が変わった。



「了解」


 鉄の棒が浮く。

 男が影を動かす。


 でも、その瞬間ゆきが飛び出し、男の腕を掴む。


 男が驚く。


「!」


 ゆきの記憶能力。

 触れる事で、より発動する。


 ゆきの目が開く。


「見えた! ここよ!」



「いけぇ!!」


 たくまが叫ぶ。


 鉄の棒が飛ぶ。

 影をすり抜け、胸の装置に直撃した。


 バキン!!


 機械が砕ける。



 影が消えた。

 廊下が静かになる。

 そして男は膝をついた。



「なんで……」



「能力が装置頼りだった」


 僕は言った。



「なるほど」


 そして、男はゆっくりと倒れた。



「……勝った?」


 れんは言った。



 僕は目を閉じた。



――違う未来だ。

 かずおさん以外、誰も死んでいない――



「……変わった」


 僕は呟いた。


 未来が初めて変わった。

 でもその瞬間、新しい未来が流れ込んできた。



――テレビ、ニュース、みき。


「見えた。未来の能力者、山の施設にいる」


 過去を見る能力者、みきは言った。


 スタジオがざわめく。



「生き残った。未来の少年。」


 その目はまっすぐだった。


「もうすぐ捕まる」――


 未来が消えた。


 僕の背中に冷たい汗が流れる。


 施設を出ても、逃げても、次の未来は、みきとの対決だった。

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