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16.六人目

 かずおさんが倒れていた。

 床には血が広がっている。



「かずおさん!!」


 れんの声が響く。


 ゆきの顔は青くなっていた。


 たくまが廊下の奥を睨む。



「誰だ!!」


 たくまの声が響く。


 暗闇の奥から、ゆっくりと人影が現れた。

 黒い服、長いコート。

 男だった。



「お前か!」


 たくまは怒鳴った。



「ようこそ。能力者諸君」


 スピーカーの声と同じだった。



「あなた……このゲームの主催者?」


 ゆきは震えながら言った。



「まあそんなところ」


「なんでこんなこと!」


 れんは叫んだ。



 男はゆっくりと僕達の方へ歩いてくる。



「理由?」


 男はかずおさんを見た。



「簡単だ。能力者が見たかった」



「は!?」


 たくまは怒鳴った。



「能力者ってさ、面白いだろ? 未来、透視、念動力、化け物ばっかり。そんな化け物が、追い詰められたらどうなると思う? きっと殺し合うと思って!」


 男は笑っていた。



「狂ってる……」

 ゆきは呟いた。



「褒め言葉をありがとう」


「ぶっ殺す」


 たくまは拳を握った。


 その瞬間、周りにある金属パイプが浮いた。

 念動力だ。



「死ね!」


 たくまの声で、パイプが男に向かって飛んでいく。


 その時、男の影が動いた。

 影が壁を這い、蛇のように伸びる。



 あれは、かずおさんの能力だ。

 でも、かずおさんは死んでいる。


「……」


 男は笑った。



「驚いた?」


 影がパイプを弾いた。

 金属が壁に当たる。



 「影の能力!?」


 たくまは言った。



「そう。かずおの能力」


 男は腰に手をおいた。



「でも、かずおさんは死んだ!」


 れんは泣いていた。



「知ってる。殺したから」



 沈黙が流れる。



「能力は一人一つのはず」


 ゆきは静かに言った。



「普通はな。俺の能力は……」


 影が揺れる。


「能力を奪う」




「……奪う?」


 たくまは呟いた。



「盗むって事さ」


 男は言った。


 僕は未来を見た。



――血、能力者、倒れる、影。

 そして、この男。

 能力を増やしていく――



 未来が終わる。



「……六人目」


 僕は呟いた。



 全員が僕を見る。



「この施設。能力者は、最初から六人いた」


「正解」


 男は笑った。

 そして僕を見た。



「未来の少年。お前の能力が一番欲しい」


 背筋が冷える。



「未来を見る能力。最高だ」


 影がゆっくり伸びる。



「それも俺のものになる」



 まずい……。


 その瞬間、未来が流れ込んできた。



――地下、血、れん、ゆき、たくま、全員倒れる。

 そして男は能力だらけ――


 未来が終わる。



「……全員死ぬ」


 僕は呟いた。



「その未来、変えてみろよ」


 男は笑った。



 能力者五人。

 そして能力を奪う能力者一人。


 戦いが始まった。

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