13.招待状
町を出たのは、その日の夕方だった。
僕は駅のホームに立っていた。
古いローカル線。
人は少ない。
未来を見る。
――電車、乗客、警察――
問題なし。
僕は電車に乗り込んだ。
窓の外を山が流れていく。
田んぼ、森、小さな村。
僕は目を閉じて未来を見る。
――山、古い建物、集まる能力者五人。
血、倒れる能力者、ナイフ、僕――
何度見ても同じ未来だった。
「……また能力者か」
僕は小さく呟いた。
ポケットの中のスマホが震えている。
知らない番号だ。
未来を見る。
――メッセージ、招待状、地図――
僕はメッセージを開いた。
「能力者へ。あなたの力を知っている。同じ力を持つ人間が集まる場所がある。来ないか?」
地図が添付されている。
山の中だ。
未来で見た場所だった。
「……なるほど」
僕は静かに笑った。
誰かが能力者を集めている。
目的は分からない。
でも未来は見えている。
能力者が集まる。
そして死ぬ。
おそらく僕が殺す。
電車が止まった。
終点だ。
僕は降りた。
空気が冷たい。
周りは森だ。
未来を見る。
――山道、古い建物、能力者――
僕は歩き出した。
山道を一時間ほど歩いた。
森の奥に、古い建物が見える。
元研究所のような場所だ。
扉の前に人影があった。
若い男で黒いジャケットを着ている。
「やっと来たか」
男は僕を見て笑った。
「お前、未来を見るやつだろ」
僕は止まった。
「君は?」
「……嘘が分かる」
僕は少し驚いた。
「嘘?」
男は笑った。
「そう。人が嘘をつくと分かる」
男は僕を指さした。
「ちなみにお前。今、三回未来見た」
僕は何も言わなかった。
「安心しろ。冗談だ。俺も能力者だよ」
建物を指さした。
「中に四人いる。みんな能力者だ」
未来を見る。
――建物の中、四人。
女、男、子供、老人。
血、死体――
「……」
僕はドアを見た。
未来では、ここで能力者が死ぬ。
「どうする? 入る?」
男は言った。
僕は少し考えた。
未来を見る。
――逃げる未来と帰る未来――
でも同じだった。
どの未来でも、僕はここに戻ってくる。
「……入る」
「どうぞ」
僕はドアを開けた。
古い廊下、暗い建物。
そして、部屋の中に四人の能力者がいた。
女、短い髪。
老人、杖をついている。
小さな少年。
そして背の高い男。
全員が僕を見る。
「あなたが未来を見る人?」
短髪の女が言った。
「多分」
僕は言った。
「面白い」
老人は笑った。
「未来が見えるの?」
少年が僕を見て言った。
「能力者が五人か」
背の高い男が、腕を組みながら言った。
静かな空気だ。
その時だった。
未来が流れ込んできた。
――建物、悲鳴、血。
能力者、倒れる、僕、ナイフ――
未来が終わる。
「……帰った方がいい」
僕は静かに言った。
全員が僕を見る。
「ここで誰かが死ぬ」
一瞬、沈黙となったが、短髪の女が笑った。
「面白い冗談」
でも僕には分かる。
この建物で、能力者が死ぬ。
しかも複数。
その未来の中心には、いつも僕がいた。




