第1章 6話 光輝
残酷な描写が含まれます。苦手な方はご遠慮下さい。
この物語はフィクションです。実在の人物、法人等は一切関係はございません。
短いですが、この話はこれで閉めたいと思い投稿です。
レジェンド Online
ほのぼのと
第1章 6話 光輝
ログアウトし、ヘッドセットをはずす・・・・真っ暗だった。
リアルの仁に夜目などという便利なスキルは無い。電話の呼び出し音が鳴り響いている・・・・携帯端末を拾い上げ通話スイッチをONに。
「はい?」
「人斬り仁君こんばんわ」懐かしい声がした。高校時代の友人の佐藤光輝だった。
「ふさしぶり~~、元気だったか~~?」人斬りを無視して話し出した。
「いたって元気ですが・・・・またヒトキリデスカ?」ひく~く微妙感満載な声が響く。
「いや~・・・・日本刀作ってもらうのに、腕を見たいって・・・・それだけなんですが?」
「お前は~高校の3年間VRの中で人斬りすぎたから、自重するって言わなかったっけか?まあ卒業して2年以上経つわけだから、人斬り仁の名前を覚えてるやつもごく少数になってきてると思いますが・・・・」大きな声を張り上るので、思わずスピーカのボリュームを下げる。
「ん・・・・日本刀?ってえ、おまっ鍛冶さん知ってるのか?」
「はい、存じておりますが、フレ登録もしていただいておりますが~なにか?」
「仁様・・是非わたくしにもご紹介していただきたいんですが~~」(あまりの変わりようだ・・・・いつもの事だが・・・・)と思う牙。
「いいけど~、斬り合いしなきゃならんと思うよ」あっさり言い放つ仁。
「まじ?」
「まじ、まじ、むっさつえ~し・・・・鍛冶さん」
「ってっか~、お前まけたんか?」
「負けましたが・・・・なにか?」
「仁、不敗伝説やぶれたか~~」光輝が大げさに言う。
「いや・・・・もともとそんな伝説無いし・・・・高校の時だって3割は負けてたし」
仁は高校に入ると、その頃はやっていたVRMMO・RPGにどっぷりとはまってしまっていた。リアルの剣道よりも仮想世界の斬り合いに魅力を感じてしまったのだった。かといってPKプレイヤーではなく、一対一の決闘をその当時強いと言われていたプレーや達いどみ、ゲーム攻略の合間に斬り合いを繰り広げる毎日を送っていた。その時に他のプレイヤー達が「人斬り仁」と通り名をつけられたのだった。
いつの間にか仁が取れ「人斬りさんが来た~」と呼ばれるようになってしまていたのだ。(若さが、若い血潮が、・・・・そうさせたのだ!)と反省しきりの仁だった。
{だれにでも、思い出すと顔が真っ赤になるくらい恥ずかしい思いでが・・あるものさ}
「まあ、そのうちレジェンドの中で会うだろうから、その時はよろしく~」と話を強引に終わらせようとする仁。
「ちょ、ちょっとまて~~!」あわてて止める光輝。
「ところで、何処まで進んだんだ?」
「それを俺に聞くのか?」さも愚問だと言いたげに仁は言う。
「いくら破滅的な方向音痴のお前でも、もうそろそろポーリングに来れるんだろ?」
「Lvの条件は満たしたが・・・・その手前だな」
「手前って、狼族の初期の町に着いてないとかって話は・・・・ないよな~?」
「正解だ・・・・さすがは光輝だ、よく俺のことを解っていらっしゃる」
「お~い・・・・威張り腐って言えることじゃあありませんよ~~~」
「光輝君、軽いつっこみありがとう」
「つっこんでないし~~・・・・で何処に居るんだ?わからんって答えはなしな」
「小人族の初期の町だと思う、精霊族の初期町のクエストで、小人族の町の鍛冶屋から仕入れた商品を持って帰ってくるクエストが出たもんで」
「へ~~、種族違っててもクエスト出るもんなんだ~~」光輝が感嘆の声を上げる。
「ポーリングのNPCがやってる文具屋で白地図っていうのが売ってるんだが、それ持ってると一度行った事のある場所は、自動でマッピングしてくれるようになるんだが・・・・まだ当分先になりそうだな・・・・」あきれ口調の光輝だった。
「狼族の初期の町に着いたとして、一連のクエスト終えるのにどれくらい掛かるんだ?」仁が聞く。
「俺は今回ユニコーンの角みたいのがよくって、鬼族にしたけど・・・・う~ん、5時間もあれば終わると思う、ほかの種族のやつらに話聞いてもそれくらいだったって言ってたし」
「なるなる、了解した。んじゃ~またな」
「おい!」またそれかと言わんばかりの光輝だ。
「だってさ~、Lv20以上に上がってて、ポーリング行ってないの俺だけだと思うし、早くパーティーとか組んでMOB狩りしたいんだよ~俺も」仁の切実な思いだった。
「俺が小人族だったらな~、その町で待ち合わせして、ポーリングに連れてきてやれるんだけど・・・・」
もし可能であったとしても、仁は断るのだが、その申し出に仁は素直に(いいやつだな~)と感じるのである。
「気持ちだけありがたく貰っとく」
「最初は不安だったけど、今はこれはこれで楽しもうって決めたから・・・大丈夫。狼さんになって走るのも楽しいし、ムチャくっちゃ早いから、多分ほかの種族じゃ追いつけないと思うわ」
「なに~~~、ほかの狼族のやつで、そんな早いって聞いたこと無いぞ・・・・」
「走りこみしてないからじゃないの?俺、走ってばっかりだから・・・・迷って」と仁は笑い出す。
「方向音痴チートめ!」(チートではないと思うぞ)とつっこみを入れてやろうと思う仁だったが、迷ったからこそ会えた人達がいると思うとどうでもよくなっていた。
「ほほ~。その言葉、ほめ言葉として受け取っておいてやろ~」
「まあいつになるか解らんが、そのうちあえるだろ~し、Lv20以上に成ったんなら牙で個人呼び出しすれば、話も出来るだろから。ちなみに、光で呼び出せばこっちに繋がるはずだから」
「わかったよ~・・・・ま、お互い体に気をつけて、なんとかやっていきましょ~」
「おたがいにな~、その時までセイゼイ腕を上げとくんだな!それじゃあな~」
「あっ」きろうとした瞬間、仁が大声を上げた。
「ん?どうした?」
「桜、さくら咲いてるか?」
「ああ、今年もいい桜だった。昨日、彼女と焼き鳥弁当買って見に行ってきた」
「そっか、響子ちゃんも元気か?」
「元気すぎて、ラリアットくらってる」光輝が笑い出した。
「あいかわらずだな・・・・響子ちゃんにもよろしく言っといてくれ」
「わかった、じゃあな」
「おう、じゃあな~」光輝との通話が終わった。
(1年ぶりの電話だったのに、たあいも無い会話で終わってしまった)と少し後悔する仁だが、(ゲーム内で会ったとしても、実家に戻って会ったとしても多分同じようなことしか話さないだろう)とも思うのだ。
いくつになってもあの頃と変わらない思いで、お互いに何かあった時には、心だけでもよりそっていける、そんな友達でいたい・・・・と仁は思うのだった。
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