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第2章12話 全チャ失礼します!

残酷な描写が含まれます。苦手な方はご遠慮下さい。

この物語はフィクションです。実在の人物、法人等は一切関係はございません。


第2章  12話 全チャ失礼します!



 「あれ?! あいつ仁だ!」


 聴力にも優れる狼族の牙にはその声が微かに聞き取れる。振り向くと鍛治一行がこちらに向かって坂道を登ってきているのが見て取れる。


 「うわさをすれば…一番大きいのが鍛治さんだ」まだ200メートルは離れて顔は確認できないものの、がっちりした大男は鍛治であることだけは牙は判断出来るのだった。(後の二人は…光と……雪…朱雀?! なんだ? なんだ? なんだ? 何が起こってるあああああああああ?!)と思いながらも牙は一応手を振って三人に応えるのだ。


 (ずいぶん、動揺されてますが? だいしょうぶですか?)雅が心配げにっ声を掛けてくれる。


 「へ~~! 意外な所で合えたのです!」


 「俺たち以外にも辺境を旅するものがあるとは! う~んあなどれぬ!」


 「火の精霊との契約者だから、普通ではないかな!」


 「「はいいいい?!」」と賢治と美和の両名が驚きの言葉を吐いた。


 (こっちは、違った意味で驚いているんだが……)等と牙は思う。


 「いつ契約したのですか?」


 「今朝4時頃に、火の精霊との契約者がでましたとのアナウンスがありました」雅だ。


 「は~~~~~っ、そんなに朝早かったら、スレに上がらなくても納得なのです」


 「ということは、それぞれの種族の初期町周辺に、精霊さん達の居場所があると見て間違いなさそうだな! 俺の読みが外れた事など無いのだから!」


腰に手を当てて勝ち誇ったように言う賢治の姿に眉をしかめる美和の姿がある。


 「ま、まあ、鍛治さんがどこで精霊と契約したのか聞いて無いから、なんとも言えないけど…俺はそうみてる!」


 ”ポーン”といつもの音がして牙の視界にプレイヤー光から決闘の申し込みがありますとの表示がされる。


 「ふっ、受けてやる」表示のイエスを押して立ち上がる。


 「どうしたの?」と美和が怪訝な顔をする。


 「決闘の申し込み! 受けました! 俺のウルトラサンダースペシャルキックを受けたいそうです!」


 光が走って坂道を駆け上がってきているのが見える。


 「「はあ?」」あっけにとられたような表情をする二人。


 「だから、俺のウルトラサンダーファイヤーボールスペシャル……」


 「いいからいけええええええええええええ!」賢治が牙の背中に蹴りをいれ坂道を押し出した。


 牙は危うくこけそうになり、狼に変身すると転がるような勢いで光に向かって走り出す。100メートルほどの間合いを「加速」と思考操作し、一気につめジャンプ! 


人の姿にもどっての飛び蹴りが放たれた。時速80キロのとび蹴りが光に炸裂した。


光が空を飛んだ! 路肩にある雑木林を10メートルは飛んで行き、細い木をなぎ倒しながら20メートルは転がっていった。


 「「「「はい?」」」」


 牙は当たった反動を利用して空中に逃げスピードを殺そうと必死になったが鍛治と雪朱雀のいる辺りまで勢いが止まらず、そこで空中から降りる。


 鍛治のくわえタバコが口から落ち土の道路で燃えている。


 ”ポーン”「鬼族のプレイヤー光と狼族のプレイヤー月夜闇の雅乃守牙との決闘は

狼族のプレイヤー月夜闇の雅乃守牙が勝利しました」システムアナウンスがされる。


 「見たか! 光輝! 俺のスペシャルサンダーアルティメイテッドウルトラファイヤーキックの威力を!」

 

 「ただのとび蹴りに、大層な名前をつけるなああああああああああ!」

 

 勝ち誇る牙、の後ろから雪朱雀が剣の腹で牙の頭を思いっきり殴る。


 (あれっ! わ、わたしは! 何を! やっているんだ?!)雪朱雀が心の中で自問自答する。(思いっきり殴ってしまった! っていうより、突っ込みを入れてしまった)雪朱雀にとっては、昔覚えた脊髄反射!


 「いってええええええええええって! 背が縮んじまうだろおおおおお! バカ雪がああああああああ!」頭を抑えながら牙が叫ぶ。


 「バカとは何だ! バカとは! 貴様こそ人斬りしか能の無いバカではないか!」


 「ふんっ! 俺に一太刀でも入れれるようになってから言ってくれ!」


 「なんだとおおおおおお! 私ごときの魔法も避けられないで何が剣だ!」


 「はいはい、喧嘩しないの!」牙に飛ばされた光は全身枯れ草まみれになっている。


 「「口出し無用!」」牙と雪朱雀が光に振り向いて言う。



 

 「それより、空走ってなかったか?」


 「え、あ、そっちっすか? そうみたいですねでね? 牙の連れにでも聞いてみますか?」


 「うん…だな!」


 牙と雪朱雀を置いて、二人は美和たちに向かって歩き出す。


 


 「仲いいじゃん…」と賢治。


 「あの二人は、もう大丈夫そうなのです!」


 安心したような美和の笑顔が印象的に賢治の目に映っていた。

 

 「うるせぇ姉弟だ!」賢治と美和が居る所まで登ってきた鍛治が口調とは裏腹に笑顔で二人のやり取りをみつめる。


 「気の済むまでやらしたほうが、いいんっすよ!」藍色の着流しのあちこちにまだ枯れ草がついたままの光だった。


 「ワンコの友達か?」


 「ええ、私が美和で、こっちが賢治です!」


 美和は自分も頭を下げながらボーっと牙たちの喧嘩を見つめる賢治の頭を手で押さえつけ、礼をさせる。


 「俺が鍛治で、こっちは光、牙の高校の友達だそうだ」


 「あ、ども! 始めまして!」光が一礼する。


 「さっきワンコが空中を走ってたんだが…見間違いじゃあねぇよな?」


 「あれは空中歩行っていうスキルみたいなのです!」


 美和は鍛治たちの目の前で、一歩空中に足を踏み出しそのまま停止する。


 「「ほ~~~」」


 感心した様な、二人の顔があった。


 「スタミナ依存のスキルみたいなので、短時間しか使えないと思います! ただここに立ってるだけでも10秒毎に10位スタミナが減っていきます」


 「ほほ~~~」


 「今はレベル低いからあんまり使えないかもしれないけど、高レベルになったら、結構つかえそうっすね!」

 光は自分のスタミナを確認している。


 「ってことは、そのスキル使わねぇと倒せないようなボスも居るって事になるみてぇな?」鍛治が嬉しそうな顔を見せる。


 今だ「レジェンド」ではボスMOBの確認情報は上がっていない。しかし空中を歩かなければならないような巨大なボスMOBが居るという可能性を示したスキルだった。


 


 ”ポーン”「狼族のプレイヤーが水の精霊と契約を結びました」


 ”ポーン”「全チャ失礼します! 今水の精霊と契約した『たあにょ犬』です! スレとか上げるの面倒なんで! 全チャでやちゃいます! え~~~鬼族の初期の村である、鬼が島周辺の海で契約に至りました。これ以上の情報はありません! 個別通話とかも受け付けません! では! 全チャ失礼しました!」


 「俺の知り合ばっかリ契約しやがる!」鍛治だった。


 「「「えええええええええええええ! 知り合いなんですか?!」」」

 

 辺境の道路に大声が響く!

 

 「って、ナゼ犬?」賢治が聞こえるはずの無い、たあにょ犬に突っ込みを入れていた。




 ポーリングの北西から南西にかけて配置されている各種族の初期街。すでに忘れ去られていた各種族の初期町周辺が、あわただしい様相を見せるのは、この後すぐの事だった。


 大挙して訪れたプレイヤーたちがまたもや初期街を埋め尽くしていく事になる。







最後までお付き合いいただき大変ありがとうございます。

また、お気に入り登録ありがとうございます。筆者の励みになっております。

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