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6・幼虫との出会い◆(飼育期)

   ◆◆◆


採取へ出かけていた父さんが、大きな虫を拾ってきた。飼ってみたいんだと言う。

モンスターらしい。こんなに大きな幼虫は見たことがなかったから、納得する。

危ないかもしれないから、近づかないようにねと注意される。母さんはその見た目に眉を寄せていた。

なんだかカサカサになってる気がする。


父さんたちが見ていない隙に、檻の上からコップに入れた水を掛けた。植物にしてやるみたいに。

こいつは植物に似ている気がしたから、良いことだと思ったのだ。


弱っていたのに水を掛けるなんて、死んでしまったらどうするのかと父さんから強く怒られ、泣いた。


しかし、幼虫は掛けられた水をずるずると啜っていた。目は閉じられたままだが、口がもちょもちゃ動いている。消えていく水。

こぼれた水を余りにも吸い込んでいくものだから、そんなに水を必要としていたとは思わなかったと、先程の俺の行いは結果オーライということになった。



幼虫を連れてきてから、父さんは俺の相手をするよりも虫の相手をするようになってしまった。つまらない。


今は水槽に入れた餌を中々食べてくれないらしく、苦戦している。


最近父さんが遊んでくれないと文句を言えば、母さんからは、弱っている子を優先するのは仕方ないわね。モースも弟ができたと思って、お兄ちゃんの気持ちで接してみるのはどうかしらと言われた。

あんなのが弟だなんて思いたくない。ただの大きな虫なのに。



水槽の中に入れた草の減りが早く、他の幼虫だけがむくむくと大きくなっていくだけで、モンスターは相変わらず水くらいしか飲んでいないようだった。

水分にしなければ食べないのかもしれないと思った父さんが、餌を集めて汁状にしてモンスター幼虫に与えた。

そうしたら、幼虫は何かを吐き出していた。

それは繊維のようなものだった。父さんは、これは糸になるかもしれないと言った。

出会った時にもほんの少しだけど、綺麗な糸を吐き出していたんだって。


その後、モンスターは水槽の中の草を食べ尽くした。父さんが用意した餌には全く手を付けないまま。せっかく父さんが手間をかけてくれたのに……。


父さんは、このモンスターが肉を食べないことに驚いていた。

大抵のモンスターは何でも食べるし、特に肉を好むやつが多い。時には岩すら食べるやつも居ると教えてもらったことがある。


草食だという事実に安心した父さんが、余計に虫に構うようになっていった。

俺はますますつまらない。そんなモンスターの何が良いって言うんだ。


俺はモンスターの名前をまんじゅうにしようと提案した。

この地方の名物料理、白くて長丸のまんじゅうに似ているし、こいつの名前はまんじゅうで充分だと思う。



モンスターは、ちょこちょこと糸を吐き出すようになっていったようだった。

父さんによると、中々良い値で売れるらしい。副収入だと喜んでいた。


虫が、ますます父さんの中で存在が大きくなっていくようで、不満が溜まっていく。

むっとしながら眺めていたら、虫の顔が急にふくれ……暴れ出した。

何事かと思った。ビビりながら様子を見ると、どうやら苦しんでいるようで、終いには裏返って倒れてびくびくし始めた。

驚いた俺は急いで父さんを呼びに行った。

父さんはすぐに糸が口に詰まっていると察し、急いで取り除いていた。すんでの所で、こいつの命は助かったらしい。

父さんからお礼を言われた。

褒めてもらえたのは嬉しいが、なんだか癪だ。


腹を見せて頭がぐたりとなったあの姿はなんだか恐ろしく、俺の小さなトラウマになった。


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