34・偉い人との面会◇
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最近は牢屋での待遇がよくなってきていた。いつもはご主人たちが持ってきてくれた櫛とかで軽く汚れとったり毛繕いなんかをしているけど、今日はなんと風呂に入れられたのだ。
蛾に風呂って大丈夫なのか自分で心配になったけど、私はモンスターだからか人成分が強いからなのか、全然平気だった。翅は弱点のせいか濡れれば嫌な感覚になったが、ばたばたすれば乾いたし、そもそも飛べないので……特に水そのものが弱点とかもなさそう。
風呂で洗われた後は、いつもの牢屋に戻るでもなく、どこかの良さげな部屋につれていかれた。な、何だ急に。ちょっと怖いぞ……と思うのもつかの間、そこには奥さんが控えていた。立派な服を携えている。
奥さんから、すごいちゃんとしたお洋服を貰った。全部自分で作ったらしい。
奥さんすごい……ママンって呼んでいいですか。まあもう口ではお母さんって呼んでんだけど。
ふわふわボディに合うように、かなりしっかり設計された衣服だった。これなら坊っちゃんも満足だろう。かわいい。
服を着て、うんうん自分を眺めてくるくる回ったりする。今日はいつもの見張りの人もこの部屋に居て、褒めてくれたりしたので満足感が半端ない。ありがとうママン。
……今日なんかあるの? 悪いことじゃないよね?? ここにきて急に不安になる。
しばらくしたら、ご主人……ママンに合わせてパパンと呼ぼう。パパンと坊っちゃんも部屋に入ってきた。
坊っちゃんは私を見てとても嬉しそうに喜んでくれた。うっ、かわいい。
すごくかわいい。母さんが作っている間、ずっと着ている所を想像していた。やっぱり実際着ているところを見ると違うな。似合うよ……などなど褒められて、それは彼女に言ってあげてー! って心で叫びながら、やっぱり嬉しいので、お礼をいう。
はたと、二人して気恥ずかしくなって、もじもじしてしまう。う、うぬぬ……。
みんな良い格好して勢揃いで集まって何かあるのかと聞いたら、今日偉い人と面談なんだって!! 聞いてないよ!!!! 先に言ってよ!
なんだっけ……この地方の、なんかえらい人……だかが、私を見てみたいとかで。
いつの間にかガーメインもやって来て、偉い人が来ますよ、って言われた。
満を持してその場に現れた偉い人。
流石に良い物着てるなぁ……と思った。でもなんか着てるものに既視感がある。既視感と言うか、懐かしい感じ?
「わかりますか? これはあなたが紡いだとされる糸ですよ。」
偉い人が私に向かって喋りかけた。
偉い人が私が作った糸からできた布着てるの!? すごい!
偉い人が座った後に皆も座りお話を聞いてみると、どうやら私の糸は品質が良いということで、偉い人達の間でも結構評判になっていたらしい。
一度生産元に会ってみたかったそう。
私が使ってた繭も研究機関に持ち込まれて、色々調べられてるとか。
私については……なんか、全く気にしてないみたい。
え? 今も牢にいるんですか?? とか不思議そうな顔をしている。
喋るモンスターとか、人型のモンスターとか、居るところには居るんだって。
こんなに無害そうで意思疎通もできるなら問題ないでしょう。定期報告でもして下さればそれで、とか軽く言われた。
え?? 今までなんだったの今まで何だったの今まで何だったの今まで
終始和やかに平和に終わった面談。でも最後に、もし人の世界を壊すようなことをするなら覚悟してくださいねって言われた。しないよ! ……目つき怖かった。
あの人最後にシャープ男と似た雰囲気見せてきて、やだ! ってなった。
私達は全員、ガーメインすら、呆気に取らて終わった。
晴れて私は解放された。
時々ギルドに行って面談すればヨシと、お約束して終わった。
今までのことはなんだったんだ…………。
余りにも軽い扱い。
皆なんとなく気まずい空気になりながら、なんか、ごめんねーとか、それでもまあ、良かったね―、みたいに取り繕って…………。私の羽化問題はこうして解決した。
こうして私は、個人的な体感で言えばそこまでに長くないが……数カ月……一年ぶりくらい? にご主人の家、我が住処へ帰ることができたのだった。
めでたしめでたし! ……か?




