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14・それから◆ ・数年後、現状まとめ◇

   ◆◆◆


ベッドにまんじゅう潜り込み事件から、まんじゅうと俺は仲良くなった。

こいつはちょっと食に執着が強いが、基本受け身だから家の食料を漁ることもしないし、我慢強い。なんとも大人しいモンスターだ。

こんなんじゃこいつは野生で生きていけないだろうと思うほどである。


まんじゅうは自分から水槽も出れるはずなのに、放っとけば一生水槽でごろごろしており、食べる量と活動量が釣り合っているのか心配になる。段々体がぱつぱつになって来ていて、成長しすぎて繭になられても困るし、よく散歩をさせるようになった。

街に連れ出すことはできないから、庭の中だけだ。

それでもすぐ運んでくれと言うように足にへばりついて来たりするから、こいつはかなり筋金入りの不精なのではないかと思う。

多分父さんが拾わなければ死んでいたんだろう。実際、サヴェルノの所から帰ってきた時の姿は拾われた時とよく似ていた。絶食していたらしい。

あまり、自分から生きよう! とするような気力は感じないのが、不思議だ。


不精だが、ベッドへの侵入はかなり好きなようで、あれから頻繁に潜ってくるようになった。

最初は時々だったのが段々、普通に夜寝る前に勝手に入って来たり、ドアを叩いて俺に開けさせるようにまでなった。俺に遠慮がなくなって甘えている……のだと、思う。

こちらの事情はお構いなしだ。

それでも、俺が家に帰って来れば、一生懸命玄関まで、どたどた走って出迎えてくれる。かわいいやつだ。


寝る時も、話して欲しい時はじっと顔を上げて見てくるものだからたまらない。

しようのない弟だと思う。

面倒を見ている内に、しょうがないと受け入れてしまうようになった俺も悪いのかもしれない。


賢そうなのに、自分のこともろくにわかっていなさそうな怠惰なまんじゅうの代わりに、こいつを理解しようと思った俺は、モンスターについての勉強を始めた。

モンスターに詳しいのは冒険者ギルドだと思い、よく出入りするようになったから、糸を納品に行くのもいずれは俺の担当になる。

今度父さんやギルドの人達と一緒に、街の外での採取も手伝う事になっている。

将来はギルドで冒険者になるのも良いだろう。


   ◇◇◇


家族に興味を持ち、散歩もし、夜は坊っちゃんの部屋にお邪魔する。

そんな生活を続けて、私にもこの家族のことが見えてきた気がする。


優しいお父さんは染色業か何かで、仕事場は多分離れにある。散歩中にふらふらそっちに行こうとしたら怒られるから、実際本当にそうなのかはわからないけど。

あと、多分私の生産する糸も売っていると思う。

最近はもっぱら私の担当が坊っちゃんになったせいで交流も減ってしまった。


お母さんは私が苦手なのかと思って近寄らないようにしていたのでいまいちわからないけど、この間は私の姿を刺繍した布を見せびらかしてきたから、そこまで嫌われてはいないのかもしれない。私が大興奮してスタンディングオベーションしたせいで、結構ビビらせてしまって申し訳なかった。たまに、おやつを華やかに盛り付けてくれたりするのはお母さんの仕業である。


息子氏は現在思春期真っ只中の、よく勉強に打ち込む優良少年である。

よく本を読んだり勉強しているところを見る。だんだん目が悪くなってきたのか、常時眼鏡をかけ始めて眼鏡の似合う青年になりつつある。いいぞ。

そして最近は、段々父よりも外出が多くなってきた。

最初は父と一緒に出かけて居たのが、そのうち一人で出かけるようになり、いつも結構苦労した感じの外見になって戻ってくるので、もしかしたら坊っちゃんは冒険者かなにかになろうとしているのかもしれない。

珍しい植物もお土産にしてくれることが増えた。


もちもちした体を揺らして、帰ってくる気配がすれば坊っちゃんを迎えに行く私はさながらかわいい犬。坊っちゃんも喜んでいる。勿論お土産の催促などではなく、純粋に坊っちゃんが無事に帰ってきたことを祝福しての行為である。お土産がなければ多少はがっかりしたり、坊っちゃんに早く水槽に戻してくれとせがんだりもするが、それはまた別の話である。


私の方はと言うと、もう糸出しはプロ級の腕である。すばらしい。

こうしたいと思ったことが、結構思ったように柔軟に糸に出ることに気付いた私は、近頃じゃ極限まで細い糸に挑戦したり、硬さを追求してみたり、逆に柔らかさや手触りを気にしてみたり……発色の良さ、美麗さを求めたり……と、色々試している。

出せる糸も、昔は思いっきり食べた物の色に影響を受けていたのだが、今では基本が白になり、染めやすいよとご主人から褒められた。

自分で言うのもなんだが、結構すごいのではないかと思う。

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