12・しようのないやつ◆(坊ちゃん交流、夜中)
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俺は父さんに、まんじゅうの世話を買って出た。
父さんが忙しいなら俺がまんじゅうの世話をすれば良いんだと思ったからだ。
まんじゅう自身がどういうやつなのか、気になったからでもある。
基本的に、餌を与えて体調に変化がないか様子を見、糸を回収し、糞を処理するだけ。
定期的に綺麗に身体を拭いてやったり、水槽を整えてやったりする。
そこまで手はかからない方だと思う。
餌は草、特に果物に執着が強く、花も好んで食べる。父さんは最近じゃ庭で季節の花や果物まで育て始めていた。
父さんはどれだけこいつのことが好きなんだ……。
父さんはまんじゅうとの触れ合いが減ってちょっと残念そうだったが、本業の方が忙しくなっていたのもあって、ありがたいよと俺に言った。
息子の自主性も尊重したいのだろう。しっかりと俺に任せてくれることが嬉しかった。
よくよく観察していると、まんじゅうの感情表現のようなものが見えてくる。
果物を貰う時の嬉しがるような仕草、体を拭いている時の気持ちよさそうな様子、そこじゃないと文句を言うかのような鳴き声……。
どれもこれも、今まで興味がなくて知らなかったことだ。まんじゅうには感情がある。
しかも今ではこいつ、俺達と意思疎通を図れそうなほどに賢いのではと思っている。
時々妙に人間臭い動作だと感じることがある。犬や猫を飼っている人からたまに、うちのコ中身におっさん入ってるのかと思ったわ~なんて話を聞くことがあるが、こいつもそんなような……?
芸の一つでも覚えるかもしれないな。今度試してみようかと思いながら、いつものように眠りについた深夜、もぞもぞと布団の中に侵入してくる異物の感触で目が覚めた。
叫んで布団を取り払うと、固まったまんじゅうと目が合った。
こ、こいつ……自分から水槽を出られたのか!? どうやってドアを開けたんだ??
まんじゅうはざざっと普段全く見せない驚くべきスピードで部屋の隅へ行き、縮こまりぷるぷると震えだしていた。そんなに早くも動けたのか……知らない面が色々と出てくる。
俺の声で父さんが起き出して、様子を見に来たようだった。
まんじゅうの奇行を話すと、これまでにも何度かあったと話してくれた。そんなことあったのか……知らなかった。
幼児にするように、ぽんぽんとなだめれば大人しく寝るというから、俺もそうすることにする。
隅っこでふるふる震えるまんじゅうを見ると、本当に小さな子供みたいだなと思った。
父さんだと思って潜って、間違えたのを理解してショックを受けているのだろうか。怒られる前の幼児のようだ。
そういえば昔、母さんが弟だと思えばいいと言っていたっけ。
振り向いたまんじゅうを驚かせないよう、ゆっくりと手を伸ばして、抱き上げる。
一緒にベッドに入りぽんぽんと撫でながら、小さな子にするように、昔母さんと父さんがしてくれたようなお話や、子守唄を歌った。
はじめはぷるぷるしていたまんじゅうも、次第に落ち着き、眠ったようだった。




