担任
ザワザワとクラスがリューシャの事で色めき立っているとチャイムが鳴った。
それからちょっと時間が経過し、ガラガラと扉が開いて一人の若い青年がクラスに入ってくる。
見慣れない先生だったのでクラスの会話はピタリと止んだ。
その新任教師は寝たフリをしていたコーヤをわざわざ指定し、今だけ起立・礼・着席をやってくれないかと促す。
コーヤは別に不良でもないのでそれに従い、起立・礼・着席の号令をかける。
新任教師はコーヤに礼を言い自分の名前を黒板に書きつつ名乗った。
「今日から君達の担任になった橋本勉悟だ。科目は社会科を担当している。新任だが宜しく頼む」
少数の生徒がパチパチとまばらに拍手した。
それからリューシャの事を先に説明する橋本先生。
ほぼ枕崎と同じような事を言った後、リューシャの事をフォローしてあげてくれと頭を下げた。
で、一人一人の顔を覚える為に順番に自己紹介をさせる橋本先生。
コーヤは自分の名と料理が得意だと名乗り、枕崎は自分の事を陸上部のエース候補だと名乗った。
またチャイムが鳴り今度は始業式が開始される。
順番に教室から離れた運動場に移動する生徒達、集合するのに時間はかかったが順序どおりに
式が進む。
学長の挨拶に始まり校長&副校長の挨拶、そして数人の新人教師の挨拶。
中でも橋本先生は熱血な教師論をぶちまけて他の新人教師よりも目立っていた。
コーヤはやり難そうな男だと思いつつ頭をボリボリと掻いた。
そして始業式が終わり教室に戻ってくると橋本先生は先にクラスの委員長や掃除の分担を決めようと
提案する。
まず、掃除の分担は列ごとにする事で簡単に決まった。
次にクラス委員に関しては挙手する人間があまりいなかったので難航した。
無理矢理、コーヤに委員長を任命しようとする橋本先生であったが店の手伝いで遅くなる
と問題があると頑なに拒否される。
結局、クラスで一番頭の良い生徒が受け持つ事になった。