初登校
その日、いつもより早めに起きたコーヤ。
顔を洗いに行くともうリューシャも起きていたようでバッタリと鉢合わせ。
コーヤはなんとなく「昨日は眠れたか?」とリューシャに質問する。
リューシャは「緊張して中々寝付けなかったけど睡眠はバッチリだよ!」と答えた。
逆にコーヤはあまり寝付けなかったのかいつもより目つきが悪くなっていて朝から対照的な
2人であった。
そして少し早めに朝食をとった2人はそのまま制服に着替え、一緒に揃って玄関に向かう。
アレクサンドルと風香かあさんもコーヤ達を玄関まで見送りに行き、コーヤは両親に「
リューシャの事を頼むぞ!」と念を押され、平手でアレクサンドルに背中を叩かれた。
コーヤはその行為を「また問題を起こすなよ」と言う意味にも捉え、アレクサンドルの顔を
見ながら無言で頷く。
「いってきます」と玄関を飛び出す2人に対し両親は笑顔で手を振りながら「いってらっしゃい」と
2人を見送った。
通学路を登校する生徒達が制服姿のリューシャを物珍しそうな視線で追う。
しかし、それを見るコーヤと目線が合うと直ぐに他の生徒は下を向いてしまう。
リューシャがコーヤに耳打ちする。
「やっぱり外人だとこの制服、似合わないのかなぁ・・・」
コーヤは「見慣れない外国人の生徒だからだろ?」と答えた。
そのまま奇異な目で見続けられたリューシャは恥ずかしがってついに下を向いてしまう。
その様子を見て助けられないコーヤは少し歯がゆい思いをした。
段々と生徒の数が増えて来た。
少し早めに家を出た2人であったが他の生徒も考える事は同じのようである。
校門を通り小さな校庭に出ると正面にクラス分けの紙が張り出されていた。
コーヤはリューシャに「ちょっと待ってろ」と言い、黒山の波を強引に押し退けて前の方に行った。
押し退けられた生徒は後から来た強引なヤツに対してムッとしたがコーヤの姿を見ると目線を外す。
ある程度、前まで進んだコーヤはまずリューシャの名前を探した。
カタカナで表示されて見やすいからだ。
そしてその表記が2年2組に書かれていたので次に自分の名前を確認する。
自分の名を確認した後、ついでに担任の名を見ると見慣れない名前であった。
どうやら新任のようだが別に関係ないなと判断したコーヤはまた黒山の波を強引に押し退け
リューシャの元に戻った。
「俺らは2年2組だった。今からあの校舎の2階に向かうぞ」
2人は好奇な目で見られながら自分達のクラスに移動した。