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神の剣が、カイの肩を貫く。
だが、カイは止まらない。貫かれたまま、さらに一歩、前へ。
「なぜ止まらん! 痛みも、絶望も、すべて私が司っているのだぞ!」
「……あんたは、教え忘れたみたいだな。……師匠が、俺に最後に言ったことを」
カイの背後に、幻影が見えた。
酒臭くて、不器用で、誰よりも優しかった、あの老いた師匠の背中。
幻影の手が、カイの手元に重なる。
「……『剣は、力で振るうな。……想いの重さで、振るえ』」
(無色一刀流・真伝・最終極致——『虚空・無量』)
神の胸元に、一筋の「黒い線」が走った。
それは斬撃ではない。
世界から「属性」という概念を完全に消去し、万物をあるべき「無」へと還す、究極の解呪。
「……あ、あぁ……。私の……色が……消えて……」
神の身体が、指先から透明に透けていく。
黄金の宮殿が崩れ、月の要塞が砂となって宇宙に散っていく。
神のシステム——アヴァロンの塔、属性の加護、魂の搾取。そのすべてが、カイの一振りの前に崩壊していった。




