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言葉が終わるよりも早く、二人の刃が激突した。
火花は散らない。衝突のたびに、周囲の「空間」そのものがガラスのように割れ、漆黒の亀裂が走る。
神の振るう剣は、万物の理を内包した「極彩色の光」。
カイの振るう剣は、それらすべてを拒絶する「虚無の黒」。
「無駄だ! 私はこの世界の理そのもの。私を斬れば、世界も滅びるぞ!」
「……なら、滅びればいい。……俺たちが、また一から色を塗り直すだけだ!」
(無色一刀流・奥義——『世界葬』)
カイの剣が、神の光を次々と喰らい、加速していく。
思考を超え、本能を超え、カイはただの「一振りの刃」と化した。
かつて師匠と過ごした不毛の村での一万回の素振り。その一回一回が、今、神を殺すための純粋な質量となって爆発する。




