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「……来やがったか。早すぎるぞ、神の連中」
村の少年が、折れた剣を構える。
空から降りてきたのは、全身が純白の鎧に包まれ、六枚の翼を持つ巨人——『神罰の執行者』。
「理を外れたゴミ共よ。……収穫の邪魔をする不純物は、ここで一掃する」
神の使いが手をかざすと、大陸全土を覆うほどの巨大な魔法陣が展開された。
だが、カイは一歩前に出ると、かつてないほど鋭い殺気を放った。
「……飯の時間は終わりだ。……ここからは、俺のターンだ」
空を覆い尽くす六枚の翼。神罰の執行者が放つ光は、美しくも残酷だった。
その光に触れた村の建物が、跡形もなく「マナ」へと分解され、空の彼方へと吸い上げられていく。
「リナ、フェリス、ノア! 属性(魔法)を使うな! それは神への献上品に過ぎない!」
カイの怒号が響く。
「でも、カイさん! 魔法を使わなきゃ、あの光は防げません!」
リナが必死に叫ぶ。彼女の杖は、主の意志に反して神の光に共鳴し、勝手に魔力を垂れ流し始めていた。
「——目を閉じろ。マナを練るな。自分の中にある『芯』……色に染まる前の、ただの熱を感じるんだ」
カイは三人の背中に次々と手を触れた。
無色一刀流の秘奥——『脈動伝播』。
カイの純粋な「無」の振動が三人の体内に流れ込み、暴走する属性の回路を力ずくで遮断していく。




