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上陸して間もなく、彼らはこの大陸の「洗礼」を受けることになった。
——キィィィィィィィィン!!
鼓膜を突き刺すような高周波の咆哮。
岩陰から姿を現したのは、体長十メートルを超える、半透明の鉱石でできた蜘蛛のような怪物——『深淵の虚鬼』。
「リナ、下がれ! フェリス、撃て!」
カイの指示でフェリスが矢を放つ。だが、風の属性を纏わせたはずの矢は、怪物に触れる直前で「ただの木の棒」に戻り、カランと虚しく弾かれた。
「えっ!? 属性が……消された!?」
「無駄だ。ここは属性の理が通用しない、完全なる無色の世界だ。……お前たちの魔法は、こいつらにとってはただの『餌』に過ぎない」
怪物が、属性の魔力を豊富に持つリナを目掛けて突進する。
その速度は、アヴァロンの精鋭たちを遥かに凌駕していた。




