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「……行きましょう、カイさん。ノア、もうここは私たちの場所じゃないわ」
フェリスが優しくノアの肩を抱く。
ノアは最後に一度だけ、かつて見上げていた「聖座」を振り返った。そこにはもはや、恐怖も羨望もなかった。ただ、古びた時代の残骸が転がっているだけに見えた。
「……はい! 私は、カイさんの盾として、もっと上に行きます!」
一行は、呆然とする土精ギルドの残党を尻目に、二十一階層への階段を登り始めた。
その後ろ姿は、アヴァロンという閉ざされた階級社会に、取り返しのつかない「風穴」を空けていた。




