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中央迷宮都市アヴァロン。その冒険者ギルド本部のロビーは、辺境ゼムの数倍の広さと、嫌味なほど豪華な装飾に彩られていた。
「おい、見ろよ。また『属性なし』が紛れ込んでるぜ」
「隣の女たちも、没落貴族に、野良犬みたいな獣人……。アヴァロンも落ちたもんだな」
周囲の冷ややかな視線を浴びながら、カイは淡々と登録更新の手続きを進めていた。その後ろで、新しい装備に身を包んだノアが、不安げに盾の縁を握りしめている。
「大丈夫よ、ノア。私たちがついてるわ」
リナが優しく励ました、その時だった。
「——あぁん? おい、見ろよ。死んだと思ってた『粗大ゴミ』が、まだ生きてやがったぜ」
耳障りな、聞き覚えのある声。
ロビーの奥から、高級そうな魔導甲冑に身を固めた四人組が歩み寄ってきた。ノアを街道で捨て駒にしたパーティー『黄金の夜明け』だ。リーダーの男、火属性使いのガイルが、下卑た笑いを浮かべてノアの前に立つ。
「よぉ、ノア。魔物の腹の中で消化されてると思ってたんだがな。……なんだ、その安っぽい盾は? 新しい飼い主に拾ってもらったのか?」
「っ……あ……」
ノアの体が、恐怖で小さく震える。街道での絶望が脳裏をよぎり、声が出ない。
「おい、ガイル。こんなゴミを相手にするなよ。これから聖座様への謁見があるんだ。……おっと、無色の小僧。そこをどけ。俺たちのマントが汚れる」
ガイルがカイの胸元を突き飛ばそうと、魔力を込めた手を伸ばした。




