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「カイさん! 酷い……この子、ボロボロじゃないですか!」

 リナが駆け寄り、すぐに治癒魔法を展開する。

 フェリスは逃げ去った馬車の方向を忌々しげに睨みつけながら、ノアの盾を拾い上げた。


「……重っ。リーダー、この子、こんな重い盾を魔法の補強なしで支えてたのよ。土属性の硬質化だけで。……根性だけは一丁前ね」


 カイは、治療を受けるノアの前に屈んだ。

 ノアは怯えたように、ボロボロの盾を抱え直そうとする。

「……ご、めんなさい……私、守ることしかできなくて……戦えなくて……」


 それは、彼女がこれまでの人生で、幾千回と浴びせられてきた罵倒に対する条件反射だった。

 だが、カイの答えは彼女の予想を裏切った。


「……お前の盾、一度も背後の奴らを通さなかったな」

「え……?」

「俺の師匠が言ってた。守るために振るう力こそが、一番重いんだと」


 カイはノアの泥だらけの頭に手を置いた。

「お前、行き先はあるのか」

「な、ないです……ギルドからも追放されて、家にも……」

「なら、俺たちの背中を守れ。報酬は三等分だ。……嫌か?」


 ノアの瞳から、大粒の涙が溢れ出した。

 自分を「道具」としてではなく、一人の「盾」として認めてくれた。属性の優劣ではなく、その意志を見てくれた。


「……い、いきます。私……一生、あなたの盾になります……っ!」


 こうして、無色の剣士の元に、最強の「盾」が加わった。

 四属性の欠陥品が集まり、本物を凌駕していく物語が回り始める。

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