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目的地は新宿・・・そうして家を出た俺は、最寄り駅に向かうんだ
その足取りは、まるで生まれたての小鹿のように、ガクガクとした
足取りであっ、、た・・と言いたいところだが、実際はこれから童貞を卒業する
のだと考えると興奮で ”ブツ” がそびえ立ち、思はずそれを隠そうと
前かがみになったと言うか、なんか変な歩き方になってしまったのが
まるで、生まれたての小鹿のように見えていたというのが真実なのである・・・
でも、時間がたつにつれその興奮もおさまっていき、気づけば
自分の ”ブツ" もおとなしくなって、その足取りも小鹿のような、ぎこちない
足取りではなく、大人の鹿のように、大きな歩幅、軽快な足さばきで
グングンと進んでいったのだ(いつも通りに戻っただけ)・・・・
しかし、置き換わるようにして、緊張の二文字が俺の心に現れはじめるのも
また事実であった・・・・・・・・
そおなこんなで、バカみたいなことをやっていると、それほど遠くない
最寄り駅にも、気づけば着いており、そのまま改札を通ってホームに来た電車に
乗り込んだのだ・・天国か地獄か、そんなどっちが待ち受けているのか
わからない、新宿への急行電車に・・・・まぁ、ただの急行電車であり
最寄り駅からだと乗り換えをせずに一本でいける、そんな大学時代に
お世話になった電車で新宿に向かう・・
・・・ガタンゴト~~ン、ガタンゴト~~ン・・・
そんな感じの音を耳にしながら、緊張とか興奮はいったん置いといて、これからの
動きを、考えるのだ・・・でも全く考えてこなかったわけじゃない、それに
事前にいろいろと調べてきてはいるんだ、ざっと説明すると
童貞を捨てるのにまず思いついたのは大人のお店である、ただこれは
調べていくうち、自分にとって初めてでなおかつ一人で行くとなると
さすがにハードルが高いのではと思い却下、それからまた、いろいろと
調べた結果、最終的に ”たちんぼ” で童貞を卒業することに決めたんだ・・
・・・・「は? バカなの?」・・・たしかに、そう言いたい気持ちも
わからなくはない、もしかしたら大人のお店に行くよりも、たちんぼ
のほうがハードルが高いのかもしれない、でもそんなの童貞の俺には
わからない、大人のお店で本番ができるのかどうかもよくわからないし
お店のシステムも、初めての俺じゃ何をどうすればいいかわからない
そんなら交渉しだいで何とかなるであろう、たちんぼのほうが
童貞の俺にとってはいいと思ったんだ・・・童貞が精一杯考えた結果なんだよ
そして、それを踏まえて、たちんぼとネットで検索し行きついたのが新宿って
わけだ、もっと正確に言うのであれば、新宿の歌舞伎町なのだが・・・
まぁ、結局の所、新宿に着いたら、たちんぼの女の子に話しかける、ただそれだけ
動きは簡単で単純だ、必要なのは、せいぜい・・・勇気・・・それぐらいだ
けどそこんとこも心配はない・・・勇気すなはち、それは行動を
意味する、だがすでにここにいる俺は、行動した結果、ここにいるのであって
すでに、もう・・・勇気・・・は心の中に、あるってわけだ
だから、なんの問題もない、後は敷かれたレールを進むだけ・・・
そうやって、大事なところを、へんてこりんな持論でうやむやにする
俺であった。そして、そんなことを考えながら電車にゆられ
近づいていくのである・・新宿へと・・・
・・・ガタンゴト~~ン、ガタンゴト~~ン・・・
・・・「次は~新宿~~」・・・
そう、アナウンスが聞こえてくる、だがすでに俺は、ただ一点を見つめ
覚悟を決めたような、たたずまいで、端っこの席に座っているのだ・・
・・・「とうとう来たか」・・・
たしかに興奮より、緊張がまさっていたのかもしれないが、いざ、そのアナウンス
が聞こえてくると、なんかワクワクとでも言えばいいのか、誇らしく思ってきた
だってやっぱり、大人の階段を今日、一段上がるのだと思うとまるで
手のかかる”息子”が大人にまで成長したんだなと、もう大人になるんだなと子供の
成長を見守る、父親のような、誇らしくそして、”息子”の将来にワクワクと期待する
親の気持ちになっていたのだ・・・「息子よ必ず卒業式にはいくからな」
そして、そんなことを心の中で言ったり、言わなかったり、するなかようやく
新宿駅に着き、電車を降りて、足を踏み入れるたのだ、卒業の地・・新宿に
・・・・・・・・・・
新宿の歌舞伎町そこは、ありとあらゆる欲望がひしめき合い、性、暴力、金、酒
なんでもありな場所である(そんなわけない)、そして、そんな所に着いてまず
思ったのが・・「人が多い」・・近頃は ザ・都会みたいなところに来ていなかった
からか、その人の多さに圧倒される、と言っても別に初めてではないのだが・・
でもさすがに、こんな人でごったがえしている場所にずっといようとは思はないし
人混み自体は何回来ても、なかなか慣れない、しかも今考えたら
こんな真昼間に来ても、たちんぼなんてまだいないのに「なにしてんだ俺は」
そして、駅近くの人混みから離れた所で、時間をつぶすのだった・・・
まぁ、ここは新宿、時間をつぶす場所には困らない・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
そしてあちこちを転々としながら時間が過ぎるのを待った、でも予想外だったのは
俺の頭のなかは、どこへ行っても、「あと数時間後には童貞を卒業するんだぞ」
「大丈夫か上手く交渉できるのか?」「いやそれより、お金はたりるのか?」
「生で見る女性の裸ってどんなかんじなんだろう~」とそんなことばかりであった
でもそうしているうちに、たちまち時間がたっていき、気づけば日は落ち
あたり一面、暗くなっていた・・・空はこんなにも暗いのに、街中は眩しいほどに
明るく輝いている、そんな街中を歩きながら、いざたちんぼのいる場所に
向かうんだ・・・・・・
夜の人混みを抜け、大通りから少し離れた場所にそれはあった、若い女の子が
狭い道路のガードレールによっかかるように、そして等間隔で並んでおり
みんなスマホに目をむけ、いかにもネットでみたような、たちんぼの
姿がそこにはあった 「・・・・・・」
そしてその女性たちの周りには年齢とわず、女性のことをチラチラと
見ている男性たちがいて、なかには話しかけた後、そのまま2人で
どこかへ行く様子が目に入り込むのだ(100%ホテルだろうけど)
・・「今から俺はここにいる女性の誰かとヤルのか」・・
そう考えると、どうしても興奮より緊張がまさって、ただ呆然とその場に
立っていることしか出来なかった、その姿はまるで、自分がたちんぼ
の一員にでもなったかのような、立ち姿がそこにはあり、いつ誰からか
話しかけられてもおかしくない状況であった(頭おかしいのか)・・・・・
そして、自分も、たちんぼのように突っ立ち始めてから数分後、緊張が
少しは、ほぐれたのか、たちんぼの真似をやめ、ようやく周囲を歩き始めた
そのへんを、ぷら~っと歩いても、やっぱり目に入る、スマホをいじりながら
ただ立っているだけの女の子たちが、何人も何人も本当にたくさんいるんだ
それに、そうやって立っている女の子たちはみな若く、女性との関わりが
皆無な自分からして見れば、全員かわいく見えてしょうがなかった
でも正直、童貞を卒業するにあたって、相手の顔がどうとかではなく
こんな俺にでも優しくしてくれそうな子で童貞を卒業できたらと、考えて
いたため、たしかにみんなかわいくて、美人なのだが、声をかける女性は
慎重に選ぼうと事前に決めているんだ・・「さ~、どの女性に話かけようか」・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・そんな言葉を口にしてから何分たったであろうか・・・・
いや、1時間ぐらいたっているかもしれない、歌舞伎町にいるであろう
たちんぼは、全員この目に映した、もしかしたら、女性達の誰か一人は
「何こいつ、さっきからずっと歩き回ってんだけど、気持ちわる」って思われて
いるかもしれない、でもそんな被害妄想にとらわれると、俺は迷いに迷って
どの女性に話かけていいかわからず、あげくにはこの子にしてみようかなと
決めても話しかける勇気が出てくるはずもなく、そんなことをしているうちに
時間もどんどんと過ぎていった・・・「ヤバいどうしよ」・・・
いまさらだが、女性経験がほぼなない俺にとって、見た目だけでその女性が
優しいかどうかなんて、わかるはずないし(誰だってわかんねぇよ)、わかった
としても、若い女性に話かけること自体、俺にとってなかなかハードルが高い
やっぱり、「交渉するんだ!」「勇気はもうある!」とかカッコつけてないで
素直に大人のお店に行っていれば・・・・・・・・
そんなことを思ってしまったんだ、するといつしか一つの感情が芽生えてくる
・・「帰りたい」・・「もう、家に帰りたい」
新宿に来てから、なれない人混みにさらされ、いざ、たちんばエリアに
行くと、過度の緊張と被害妄想などなどで精神的に疲れ、もう体も心も
ボロボロであった、正直念願であった童貞卒業はできていないが
こうして新宿に来てみて、最近見ていなかった都会の景色も見れたし
歌舞伎町という、俺なんかが足を踏み入れてはいけない場所なんだなと
どことなく感じることが出来た「・・・」
たちんぼの若い女性もみれた!エロい格好の人もいた!
こうして見てみれば当初の目標であった非現実を味わうというこては
出来たのではないかと思うんだ・・・「これで良かったんだよ」・・
・・・「よかったんだ」・・・・
「・・・・・・」
夜にも関わらず明るい街中だった、でもけして俺の心に、その明かりは
届いていなかったんんだ・・・「良いんだ、もう帰ろう」・・・
・・「いいんだ」・・「もういいんだ」・・
・・・「良いわけ!ねぇだろう!このバカが!!!!」・・・
ただの逃げである、勇気が出せずに話かけられず、童貞を卒業できなかった
という事実から逃げようとしただけである、だが、そんなのは自分本人が一番
よくわかっている、たしかに童貞を卒業するために新宿に来たんだ、だからって
童貞をを卒業できなくても、非現実を味わえたからこれはこれでいいよねと
自分に言い聞かせ、実際にヤリたかった本当の目的から逃げに逃げている
自分はただの臆病者であり、自分が臆病者という事実からも
「非現実を味わたからいいんだ」という頭の悪い言い訳をして、自分が
臆病者という事実からも、今逃げようとしている・・・
また逃げるのか、ここでも逃げるのか、現実から逃げたくて
非現実という名のこの場所に来たのに、ここでも逃げたら
俺はどうなる、いやもうこれ以上逃げる場所なんてないの
かもしれない、もう逃げられないんだ・・・逃げちゃだめなんだ・・
そんなことを頭の中で思うと、次第に体が熱くなり、心の底にある
柱が燃え上がるように、そびえ立つのだ・・・感じる、感じるぞ・・
今までの俺じゃ、どうあがいても童貞なんて卒業できない、本当に一生
童貞のまま生きていくことになる・・・このままじゃダメだ勇気を出すんだ
そして微かに口ずさむのだ「逃げちゃダメだ・逃げちゃダメだ・逃げちゃダメだ」
そんなどこかで聞いたことのあるようなフレーズをかまし、自分の中にある
”童貞”という名の何かに、最後の別れを告げると、暗く閉ざされていた景色に
本来ある新宿の明るさが、俺の目の前にもう一度、映し出されたんだ・・・
何もかもが見える、夜なのに明るすぎるほどの街中、多くの人が行きかう
この場所、そして、そこにいる、たちんぼの女性たち・・・・・・
もう俺の体に迷いはなかった、一度諦め逃げようとした、だがもう逃げない
一歩、二歩と前に進んでいく、その足が証拠だ、そして、その先にいるのは
スマホを片手にただ、立っている女の子、つまりたちんぼ
一歩、一歩確実に進むのだ、目線の先にいる女の子の方に・・
・・「ザッ ザッ ザッ ザッ」・・
まるでそれは、ドラマのラストシーンみたいな、いやラスボスに立ち向かう
主人公のような顔で、背筋を真っすぐと伸ばし勇敢な顔立ち、そして自身に溢れた
態度で向かったんだ、童貞の卒業式に・・・・・
だんだんと近づいていく、女の子のいる場所に、でもまだ気づいてない
顔を下に向けスマホを見ているせいか、近づく俺に反応がまだない
そして女性の目の前に着くと、足を止め、いざ話しかけるのだ・・・
だがその時には、さすがに女の子の方も俺を認識したのか、持っていた
スマホから目を離し、俺を見上げるように、顔を上げようとしたのだ・・・
・・よし、声を出すんだ、後はレールに沿って進む・・以上・・
見上げた女性の顔と目が合ったと同時に、俺の口は開き・・・・
話しかけ・・・・・・・・「”ち”ょ”っ”と”待”っ”て”」・・
その声は俺の発した声でもなく、目の前の女の子の声でもなかった
少しドスの利いたような声で俺の後ろから聞こえてきたんだ
そうなれば、誰だって同じような動きをするだろう、俺は反射的に
声の方に振り向こうと、、、、するよりも先にだ、俺の肩に ガシ っと
手があたり、その手は俺の体ごと後ろに、ぶん向かせた・・・・
・・・勢いよく体が振り向けば自然に顔も振り向く・・「アァッェ」・・驚きで
思はずそんな情けない声が漏れ、後ろに顔が向き、目に入るんだ、俺の肩に触れ
後ろに引っ張るように振り向かせたというか、俺がたちんぼの女の子に
話しかけるのを遮った、その人物の顔が・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
そこには、身に覚えのある顔があった・・・あの女性がいた
俺のことをストーカーしていた女性である
そして、俺を振り向かせるやいなや、小さくボソボソした声で
「それはさすがにダメ」と、どこか恥じらいがあるような感じで、顔を少しばかり
下に向けたまま、そう口にした・・・・・・だが、その言葉に
俺は何も返せなかった、もう会えないと思っていた人に、また会えて
うれしいという気持ちもあったが、それよりも、なんでこのタイミングで
声をかけてきたのか、しかも、俺はまた、ストーカーをされていたということなのか
「それはさすがにダメ」の意味するところは何なのか・・・・・
いろいろなことが俺の頭の中を駆け巡り、もはやリアクションを取ることも忘れ
体も表情も固まってしまった・・・
そして俺が何も反応できずに、ただ思考が停止している、そんな姿を見てか
「とりあえずこっち来て」とそう口にしながら、肩にあった手を下の方に
持ってきて俺の手を掴んだ、そしてその手をグゥーーンと引っ張りながら
人気のない場所に連れてかれる・・・その姿はマネキンを引っ張ているような
何も抵抗せず、ただされるがままに連れてかれるのだ・・・・・
・・どんどん遠のいていく、ポカーンとした、たちんぼの女の子の顔が・・
ごめんよ、本当にごめんよ、なんの事情も説明してやれなくて、だって
俺本人だって、今どうなっているのか説明してほしいぐらいなんだから
さよなら、たちんぼの女の子よ・・・・・・・
そんなことを思いながら、手を引っ張られ「ガッッッッーー」と連れて
いかれるのだ・・・何年ぶりだろう、俺の体に母親以外の女性が触れるのは
「柔らかい」ひさびさに女性の肌に触れての最初の感想であった・・・
それから、しばらく連れまわされ、たちんぼがいないエリアからさらに
裏の方の路地に連れていかれると、そこはほとんど人通りがない場所であった
そして手にあった柔らかいものが離れ、引っ張られて動いていた俺の足も
そんな場所で止まったんだ・・・すでにその時にはもう、冷静さを
取り戻し、今の状況はしっかりと理解できていた、ストーカーを
していた、あの女性にまた会えたこと、一回ストーカー行為は
なくなったと思っていたけれど、本当は・・・多分まだストーカーを
されていたこと、決死の覚悟でたちんぼの女の子に話かけようとしたが
その瞬間に俺を止めたこと、そして最後に「それはさすがにダメ」の意味
するところとは(今ならなんとなくわかる気はするけど、、グヘェェェ)
そんな感じで自分の置かれている立場を理解し、なぜか少しだけ笑みがこぼれる
俺ではあたっが、ストーカーの女性にまずあったら、最初に言うことは
決まっていたんだ・・・・・・・
そして足が止まり、引っ張ていた手が離れ、それと同時に俺は口を開く
ストーカーの女性は、「ここでいいかなと」人けのないこの場所で周りを
少し伺うようなそぶりの中、言ったんだ・・・・・
「あの時は・・助けてくれて・・本当にありがとうございました」
女性の目をしかっりと見てそう言った、俺が変な妄想をしていたがために
横から来る車に気が付かなかった所を助けてもらった、その礼をまだ
しっかりと言えていなかった・・・・・
そして、そう俺が女性に礼を言うと女性の顔は、子供を見るときの
親の顔とでも言えばいいのか、どこかホッしたような、顔を見せたのだ
あの時と同じだ、俺を助け、後ろを振り向いた時にあった、涙ぐんだ顔
ホッとしたような顔、表情やしぐさは違っても、あの時と同じまなざしが
今俺の目に映るんだ・・・・あの時は、この後すぐにどこかへ行ってしまった
けど今回はそうじゃない、目の前にまだいる・・・
新宿のひとけのない裏路地、車の音に、人の足音、そして人の声が四方八方から
聞こえてくる、でもその裏路地には、俺と女性の二人だけ・・・
二人だけの空間なんだ・・・・・・
そして、俺があの時の礼を言った後、それに返すように、女性の口が開く
「あの時、事故にならなくてよかった・・・本当によかった」
ホッとした顔でそう言った、たしかに現時点では、なぜここまで俺を
気にかけてくれるのか、なぜ俺のことをストーカーしていたのかと疑問に
思う所はあれど、女性がそう言ってくれたり、俺のことを心配してくれるような
表情を向けてくれるのが本当に嬉しかった、誰か一人でも自分の人生を
気にかけてくれる、横にいてくれる、そんなことがどれだけ・・・・
だがこれ以上は言葉に表せなかった、ただ心がジーンとなったんだ
確かに表面上の薄っぺらな何か、かもしれない、まだ女性のこともよく
知らないし、どこまで本気なのかもわからない、形だけの中身のない言葉
だとそう思ってしまってもしょうがない、けど、そんな言葉かもしれない
けど素直に嬉しかった、そう思ったんだ・・・
ここ数年、人の気持ちに触れてこなかった、大学、高校と友達と言える人物は
ほとんどいなかったし、母ともあまり会話をしない、だからなのか
ウソでもあんな言葉を聞くと心に響いた、映画やアニメ、ドラマを見た時に
感動したりするように、表面上の作られたものなのかもしれない
でも、そうだとわかっていても・・・嬉しかった・・・
そして、その後も女性は言うんだ「あの時、他にケガしなかった」
「どこも痛い所はない?」など、いろいろ聞いてくれる、もはや疑いたくなる
ぐらいだ、なんでこんな心配してくれるのかわからない今、逆に俺
はめられてるんじゃないかって?、新種の美人局みたいな・・・
けど、ぎこちない感じで「あっ、大丈夫です」「どこも、、ケガしてないんで」と
返事を返したんだ・・・・
でもやっぱり聞かないといけない、このまま受け身でいるのはダメなんだ
だから、とうとう意地でも自分の口を動かして一番聞きたいこと、知りたいことを
・・・喋った・・・
「あの〜なんで、、俺をストーカー、、してたんで、、すか」そう言った
まるで、金玉を握り潰されながら、しゃべる高性能ロボットかのように・・・
でもしょうがない、最近、会話という会話をしていなかったし、しかも
相手が女性ともなれば、最初はこんなもんだ・・・というのはウソで
なんか、力が変に入ってしまったというか、いきなり、踏み込んだ話を
自分からするのに、緊張してしまった結果であった・・・
けど、それを一発で聞き取ってくれた女性は、なんか食い気味に言うんだ
眉間にシワを寄せ、ムッムッムッと顔に力が入り、一瞬トイレを我慢して
るのかな?と思ってしまう表情で・・・
「ス・・トー・・カー・・は・・し・・て・・な・・い」
俺も俺だが、女性もたいがい変な口調になってそう返した
でも、そんな変な口調を聞くと、なんか、緊張感というか、そんなのが
抜けていく、だからか「いや、あきらかにあれはストーカーでしょ」
と反射的にツッコんでしまった・・・
「確かに、、人によってはストーカーって思う・・かも・・
しれないけど、、これには理由があって・・」
そうやってモジモジした感じで、俺のツッコミに女性は返すのだ・・・
それを聞くと、あれ?やっぱりトイレ我慢してる、とも思ったがそんなことは
置いておいて「・・・・・・」
・・・・・・・・・
そうやって、なにげない、言葉のキャッチボールが始まろうとしていた
そう思っていた、なんやかんや、打ち解けたような、まだ何もわかっては
いないけど、でもこれからいろいろ話すんだと、話したいなと、そう
思っていたんだ・・・・
だが、次に女性の口から発せられた言葉を聞いて、もはや言葉のキャッチボール
どころではなくなり、なんなら相手のボールがバズーカ砲だったのだと
わからされるのだ・・・
・・・・・・・・・・
「とりあえず、、私の家にこない」
・・・・・・・・
・・・・・・・・
「は?」
・・・・・




