表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【大賞受賞作】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?~あなたがくれた幸せの呪い~  作者: 花澄そう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

321/327

エピローグ1


卒業後、国の魔法研究員として研究を続けている私。

休みの日には両親と頻繁に会っている。


学園で過ごした日々しか知らなかった私にとって、両親に案内されるさまざまな場所はどれも新鮮だった。


でも今日は、私の方から『住んでいる場所が見たい』とリクエストして、両親の家に初めてお邪魔することになった。


実家と呼べるはずの場所なのに『お邪魔する』と言うのは変な気もするけど。


外から見るとかなり古びたアパートだったけれど、中に入ると想像していたよりもずっと綺麗で少しホッとした。



「お邪魔します」

「何もない狭いところだけど、シエルが帰ってきたいと思うならいつでも歓迎するからね」

「ありがとう」


玄関とキッチンの兼用スペースに、こぢんまりしたリビングダイニング、そして閉まったふすまの向こうには寝室があるようだ。

この間取りは、私が幼い頃に過ごした家とどこか似ていて懐かしさを感じる。



ちゃぶ台を囲んで座り、学園での生活や友人のこと、戦地での体験、そしてディオンの話などを話すと、二人とも興味深そうに聞き入ってくれた。


そんな時――

「うわっ!……熱っ!」

お父さんが湯呑みを持ち上げた瞬間、手を滑らせてお茶をこぼしてしまった。


「大丈夫!?」

母と私の声が重なる。


「火傷に火傷重ねて……早く冷やしましょう」

「悪いな。最近また手がひきつってしまってて……」

お父さんが痛そうに手を抑える。


私が負わせた火傷、まだ完治してないんだ。


お母さんが立ち上がり、冷やす準備をしようとした時、私は思わず声をかけた。




「手を出して」

「え……?」


お父さんは驚いたような顔をしつつも、かつて私が魔法で火傷を負わせてしまったあの手を差し出した。

そこにはまだただれがあり、その周りをおおうように皮膚が赤くなっていた。

赤くなっている部分は、今出来た新しい火傷のようだ。


私はすぐにお父さんの手に自分の手を重ね、治癒魔法をかけた。

ぽうっと淡い光がお父さんの手のあたりだけを包み込み、ゆっくりと消えていく。

そっと手を離してみると、さっきまであったただれは跡形もなく消えていた。



「ほら、治ったよ!」


お父さんは目を丸くしながら、自分の手を何度も握ったり開いたりして驚きの声を上げた。

「す……凄いな。ずっと引きつってたのが嘘みたいに楽になってる……」


母は驚きで口元を押さえている。



「すごい……」

背後から聞こえた小さな声に振り返ると、ドアの影から覗いていた()()()、ノアちゃんとバチっと目が合った。


「こんにちは」と笑顔を送ってみると、ノアちゃんは目を丸くして、すぐにドアをパタンと閉じてしまった。

どうやら隣の寝室に隠れていたようで、心配で様子を見に来たらしい。


「ノア!隠れてないで出ておいでなさい!」

お母さんがそう言っても出てこない。


「もう!あの子は……せっかくシエルが来てるのに」

唯一の姉妹だけど、私は妹ちゃんに嫌われているかもしれないと思う。


もしかして、両親の愛情を独り占め出来なくなるとかなんだろうか?

分からなくないような複雑な思いに、あまり何も言えない。


でも、仲良くしたかったな……



お母さんに苦笑いを浮かべると、ふと壁に飾られた額縁がくぶちの中にある、シミのついた紙に目が留まった。


すぐに、何か懐かしさを感じる便箋びんせんだと思った。


「あ、あれ?あの紙って……」


確か、私が戦争前に会いに来た時に無くしてしまった手紙じゃ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ