二人を結ぶ呪い9
なんと、私の足にしがみついているのは、あのラブだった。
「ラ……ラブ……?」
そ、そんなわけ……
足の力が抜けるように、その場にしゃがみこむ。
震える手でラブそっくりな生き物に手を伸ばす。
ふわっとした手触り。毛並みが指先から伝わる。
そして魔力さえも――
「……嘘……」
信じられない状況に、言葉が出ない。
あの日、ラブは光の粒となって消えてしまったはず。
なのに、何がどうなっているのか……
「……本当に……ラブなの……?」
すると、隣に立っているディオンが「お前、これがラブじゃなくて何に見えんだよ」と微笑んだ。
「だ、だって、ラブは……っ」
「お前がいつも夜になるとしみったれた顔してっから、熊野郎の魔分子を集めて足りない部分は培養して調合したんだ」
そう言ってディオンは小瓶を見せる。
「えっ……?」
魔力分子?何それ。
「そ、そんな薬みたいな……」
「俺も驚いてる。まさかこんな方法で復活するなんて」
と、全然驚いていないような顔で言われて、滑稽に思った。
「とにかく、そいつは正真正銘あの熊野郎だ」
ディオンの言葉に、私は足にしがみつくラブに目を向けた。
懐かしそうにこちらを見つめるつぶらな瞳に、胸が熱くなる。
そっと抱き上げると、懐かしい温かさが手に伝わってきて、勝手に涙が溢れた。
「ラブ!」
ギュっとラブを抱きしめて呟く。
「まさか、こんな素敵な誕生日プレゼントがあっただなんて……ディオン、本当にありがとう……」
「……ん」
ディオンは、自分の頬を指で掻き、暫く黙り込むと口を開けた。
「実は、もう一つある」
「え?」
ラブを抱きながらディオンに目をやると、ディオンは顔を微かに歪めて言った。
「お前に選択権をやる」
「選択権?」
突然、何!?
「お前が、この世界に留まるのか……前世の世界に戻るのか」
指を2本立てて言ったその台詞に、心臓が嫌な音をたてた。
「……えっ?」
どういう事?
「奴の魔法陣や魔法石を、再現出来ることが分かった。だから多分、お前を前世の世界に帰してやれると思う」
――っ!!
嘘……
前世に……帰れる?
でも、どうしてそんな事言うの?
ディオンは私と離れることなんて、なんとも思わないの……?
泣きそうになりながらディオンに目をやった時、その考えは間違いだと思った。
だって、ディオンは胸が張り裂けそうな顔をしていたから。
「お前は……どうしたい?」
嬉しい。
まるで、ディオンも私と離れたくないみたいだから。
私がニコっと微笑むと、ディオンは目を大きくした。
「私は……こっちの世界にいたい」
案の定、ディオンは私の言葉に、ホッとしたような顔をした。
「……そうか」
私が死んだあと、どうなったか気にはなる。
でも――前世に未練なんて、これっぽっちもない。
「私は、こっちの両親やディオン、メイやルイーゼ、アランたちとこの世界で生きたい!」
私の言葉に、「アランは余計だろ」って口を歪めたディオンに笑みがこぼれる。
「ディオンって、本っ当にアランの事を毛嫌いしてるよね」
「当たり前だろ」
「匂いが苦手なんだよね」
「はぁ?違げーよ。俺が、お前の事が好きだからに決まってるだろ」
「………………えっ………?」




