二人を結ぶ呪い7
家臣たちが重厚で大きな扉をゆっくりと開けると、壮大な大広間が現れた。
部屋の奥に堂々とした王座に腰掛けるのは、NIHONの王。
威厳あふれるその姿に、自然と背筋が伸びる。
私は国王の前まで歩を進め、緊張の中で静かに立ち止まった。
「タチバナ・シエル」
「はい」
国王の呼びかけに返事をした瞬間、侍従たちがベルベッドのような布に載せた光り輝くバッジを、丁寧に運んでくる。
そのバッジは、NIHONを象徴する紋章が刻まれていた。
私は説明を受けた通り軽く膝をつき、慎重にバッジを受け取ると、王がゆっくりと立ち上がり、声を響かせた。
「ここに、新たなる大魔法使いとしてタチバナ・シエルにその称号を授ける!その卓越した力に栄誉を贈り、新たな大魔法使いの誕生をここに祝す!その力と名声を世界に響かせんことを!」
「ありがとうございます」
国王の宣言に広間に集った人々から拍手が湧き上がり、私はその場で再び一礼をした。
…………
……
ディオンと兵士たちに囲まれながら、私は城の長い廊下を歩いていた。
自分の胸元にあるバッジにふと目が留まり、隣のディオンに話しかける。
「ディオン。このバッジって、ペガサスに乗る時にメイドさんたちに見せたのと同じものだよね?」
「ああ」
大魔法使いのバッヂなんてあったんだ。
こんなの今まで付けて無かったよね?と考えながらディオンの胸元を見ると、今は全く同じバッヂが輝いていた。
……あれ?
城の中だから?大広間にも偉人ばかり集まってたし、さすがに必要なのかも。
私はディオンの胸元にあるバッヂをジッと見つめた。
そのバッヂには、NIHONの紋章とともに、美しい鳥が刻まれている。
「この鳥、なんて鳥?」
「鳳凰だな」
「鳳凰……」
なんだっけ?なんか聞いた事あるけど……
首を傾げると、ディオンは呆れたようにため息をつく。
「本当、お前の知識って本当に偏ってんな」
そう言われてぐうの声も出ない。
「鳳凰は炎の中で自ら燃え尽き、再び蘇るという伝説がある。だから「不死」や「再生」を象徴してるんだ。
俺ら大魔法使いは不死じゃねぇけど、何100年も生きるから普通の人間から見ると不死みてぇなもんだからな。
しかも自己治癒力である程度再生もするから、見た目もいつまでも若いままだ。だから大魔法使いのイメージとして鳳凰のデザインが刻まれているらしい」
やっぱり博学。ディオンってすごい。
「へぇ」
感心していると、ふとある事に気付いた。
「あれ?待って」
「なんだよ」
「……って事は、私すっごい長生きだったりする?」
自分を指さして、まさかね?と思いながら尋ねてみる。
「何言ってんだ、今さら。当たり前だろ」
私はその言葉に、口を大きく開けた。
そんな時に話しかけて来たのは、まさかの学園長だった。
「大魔法使いの称号獲得おめでとう。まさか君が大魔法使いの称号を得るとは……、学園長としてこれほど誇らしいことはない」
「あ、あれ?学園長。どうしてこんな所に」
学園の見送りの時に居ないと思ったら。
「先ほどの大広間にもいたのだがね」
「えっ!?すみません」
緊張していたせいか、全く気付かなかったわ。
「お祝いの言葉、ありがとうございます」
小さく頭を下げると、学園長は微笑んだ。
「それより、皆が君を待っているようだ」
学園長はそう言って廊下にある眩しい扉を開けた。
扉の向こうには、大きなテラスが広がっていた。
誘われるように足を踏み出すと――
その瞬間、鼓膜に響きそうな程の大きな歓声が飛び込んで来た。




