二人を結ぶ呪い6
振り返るとディオンが居た。
ディオンはジッと私を見下ろすと、「ふぅん……」とだけ言って来た。
うっ……
な、何?その反応。
似合ってないって思われているんじゃないかと不安が押し寄せて、つい口を開いてしまう。
「な、何よ……似合ってないって言いたいの!?」と口を膨らませながら言うと、「別に、悪くねぇと思っただけだ」とだけ返される。
ん?
なんだか褒められてるような、そうでないような……?
微妙な返しに少し戸惑う。
「おい、ちんたらと馬車なんかで移動しないで、瞬間移動で行くぞ」
と言いながら、ディオンは手を差し出してきた。
私はチラリとペガサスを見てから言う。
「私、これで行きたい」
せっかくこんな素敵なもの用意してくれたんだし。
「は?」
「だってペガサスだよ?ペ・ガ・サ・ス!」
「だからなんだよ」
「そうだ!せっかくだしディオンも一緒に乗ってよ!」
「えっ!なんで俺が……」
「だって、一人だと淋しいでしょ!」
そう言って無理やりディオンを馬車の入り口へと押しやる。
ディオンが半身だけ馬車に入った時、魔法使いが申し訳なさそうに頭を下げた。
「申し訳ございません。この馬車は大魔法使い様専用となっております。ですので講師様はお控えください」
その瞬間ディオンは呆れたように目を細めた。
そして静かにため息をつくと、魔法使い達に二本の指を見せつけた。
その指の間には、金色のあるバッヂが挟まれていた。
「俺も大魔法使いだけど?」
その言葉に、その場にいた私を含む全員が驚きで目を見開いた。
魔法使いやメイド達が、深々と頭を下げて謝罪する。
「も、も、申し訳ございません!大魔法使い様とは知らずっ!!」
「ディ、ディオン。バラして大丈夫なの!?あんなに隠していたのに!」
ディオンは質問には答えず「ほら、行くぞ」と私を馬車に押し込んだ。
ディオンの奥に、驚きを隠せない生徒たちの姿が映っている。
でも、ディオンはどうでもいいかのように、私に続いてズカッと隣に座った。
あ、一緒に行ってくれるんだ……
そんな事に内心嬉しくなった時、前方から「そろそろ出発します」と言う声が聞こえた。
目をやると、ペガサスに乗ろうとする先ほどの魔法使いの姿が目に入る。
その時、ディオンは「俺がいんのに、いらねーだろ」と、指先を向け、ペガサスに乗ろうとした魔法使いを降ろしてしまう。
降ろされた魔法使いと一緒に私が驚いていると、メイやルイーゼ、アランたちは笑顔で見送ってくれる。
そんな中、ペガサスは空高く舞い上がっていった。
不思議なことに、かなり高く上がっているのに、風一つ感じない。
私は窓から見下ろしながら、呟くように聞く。
「魔法使いさん、凄く慌ててたけど、大丈夫かな?」
城まで連れて行く仕事を奪って大丈夫かな。
「大丈夫だろ」
何が大丈夫なんだろう?まぁいいか。
私は、学園が始まって以来、塔入り以外で卒業を待たずに外出を許可された、初めての生徒となった。
大魔法使いの称号授与式。
ディオンは10歳、ヴァイスは13歳でどちらも卒業済みだったというから驚きだ。
みんな卒業が早すぎる。
…………
……




