二人を結ぶ呪い4
そう思った時、ディオンは唇を離して起き上がった。
そんな様子に不思議に思うと、ディオンは予想外の事を口にする。
「これ以上は、何もしねぇよ……」
驚く私に、ディオンは私が過去に言ったような言葉を口にした。
「お互い好き同士じゃないと駄目、なんだろ?」
……え?
えぇっ!?
「キスまでは大丈夫!」なんて言ってないんだけど!?
勘違いしてない!?
と考えた時――
あっ……
ある事に気付いて胸に手を置いた。
それは、今のディオンの言葉は、ディオンが私の事が好きじゃないという事を示していたからだ。
「俺が好きじゃないからキス止まり」だということだからだ。
瞬時に泣きそうな気持ちになった。
すると、ディオンは一瞬苦しそうな顔を浮かべ、さっと私と距離を取った。
そんな行動に、さらに胸の奥が痛んだ。
もっと、キスしていたかった……
なんて思うのは、はしたないんだろうか。
そんな事を考えながら唇に指を添えてディオンの横顔を見つめると、ゆっくりと視線が戻ってくる。
「いつまで横になってんだよ。そんなんだと、またやるぞ」
冗談めかして言われた私は、半身を起こしながら、思わずとんでもない言葉を口にしてしまった。
「いいよ……してよ」
その瞬間、自分でも驚いて目を大きく見開いた。
でも、ディオンの方が私以上に驚いた顔をしていたと思う。
「や、今のは……」
私は、なんてことを!!
慌てて自分の口元に手を当てて否定する。恥ずかしさで涙が溢れそうだ。
「お前……っ」
困惑の表情を浮かべたディオンは、口元にある私の手を掴むと、口を塞ぐように唇を奪ってきた。
「んっ……」
今度のキスは、さっきとは違って異様に深い。
ディオンの舌が、唇を割って性急に入ってくる。
その感覚に、私の心臓はさらに早く鼓動を刻んで、息が苦しくなった。
背中をゾクゾクと駆け上がる感覚が、私を震わせる。
もっと触れたい。
もっと触れてほしい。
ディオンが好き……
ずっと一緒に居たい……
ディオンが死んだと勘違いした時、『こんなに好きなのに……』って告白みたいなことを言ってしまった。
その後は、恥ずかしくなって誤魔化してしまったけど、今思うと、あの時が1番のチャンスだった。
現に、あの後、何度も告白しようとしたけど、結局一度も成功しなかった。
好きだから、思いを伝えたい。
好きだから、1秒でも長く傍に居たい。
でも、好きだからこそ、関係が壊れるのが怖くて――
「好き」だと言えない……
時が経つにつれて、どんどん言いづらくなる。
そして日を追うごとに募る想い。
知らなかった。
好きって、こんなに複雑で、もどかしくて、一言では表せない気持ちになるんだって……
意気地なしの私は、何度も何度も心の中で『好き』と叫ぶしかなかった。
だって、気持ちを伝えるよりも、ディオンと一緒にいれる『時間』が、何よりも大切だから――




