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カナメ -君はどう考える?-  作者: 旭月
第三章 任せた先にあるもの
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分けて任せる

 2032年4月1日。


 大阪・本町。


 株式会社カナメの事業所には、朝から多くの社員が集まっていた。


 普段はリモートで働いている社員たちも、今日は出社している。


 新年度の始まり。


 そして、新しい仲間を迎える日だった。


     *


「……なんか、懐かしいな」


 大本恭平が、会議室の入口を見ながらつぶやいた。


 隣には、柴崎真帆が立っている。


「何が?」


「去年のことや」


「ああ、入社式?」


「せやねん」


 大本は、少し笑った。


「去年の今頃、めっちゃ緊張しとったなと思って」


 柴崎も笑った。


「そうだね」


「……俺、そんなに緊張しとった?」


「うん。結構(笑)」


「……そうなんや(笑)」


 二人は、顔を見合わせて笑った。


 一年前。


 同じ日に入社した二人は、何もかも初めてだった。


 会社の仕事。


 先輩たちとの会話。


 そして、自分で考えて判断するということ。


 わからないことばかりで、毎日のように誰かへ質問していた。


 今でも、知らないことは多い。


 それでも、少しずつ自分の考えを持って仕事を進められるようになっていた。


「……今年は、俺らが迎える側なんやな」


 大本が言った。


「そうだね」


 柴崎は、少し笑った。


「でも、まだ先輩って感じしないけど」


「……それは俺もや(笑)」


 二人は笑った。


     *


 午前十時。


 会議室に、新しく入社した四名が並んでいた。


 今年の新卒社員たちだった。


 金目は、四人の前に立った。


「皆さん、入社おめでとうございます」


 四人が、頭を下げた。


「ありがとうございます」


「今日から、皆さんもカナメの仲間です」


 金目は、少し笑った。


「最初から何でもできる必要はありません」


「わからんことは、遠慮なく聞いてください」


 少し間を置いた。


「ただ、仕事に慣れてきたら、自分ではどう考えるかも、少しずつ意識してもらえたらうれしいです」


 四人は、静かに話を聞いていた。


「うちには、いろんな仕事をしとる人がおります」


「開発する人もおれば、お客様と話す人もおる。会社の仕事を支えてくれとる人もおる」


 金目は、社員たちを見渡した。


「最初は、自分の仕事を覚えるだけで精いっぱいやと思います」


「でも、困ったときに相談できる人は、ようけおるんで」


 少し笑った。


「一人で全部抱え込まんようにしてください」


 四人が、うなずいた。


「ほんで、いつか皆さんも、誰かの仕事を支えられるようになってくれたらうれしいです」


 金目は、軽く頭を下げた。


「これから、よろしくお願いします」


 拍手が起きた。


     *


 入社式を終えたあと。


 新卒社員たちは、先輩社員たちと挨拶を交わしていた。


 大本は、一人の新入社員から声をかけられた。


「あの、大本さんですよね?」


「はい。そうです」


「営業部の方だと伺ったんですが」


「せやで」


 大本は、少し笑った。


「去年入ったばっかりやけどな」


「そうなんですね」


「わからんことあったら、遠慮なく聞いてな」


「ありがとうございます」


 新入社員は、少し安心したように笑った。


 大本は、その様子を見ながら、ふと思った。


 一年前、自分も同じように先輩たちへ挨拶していた。


 あのときは、何を聞けばよいのかさえわからなかった。


「……まあ、俺もまだわからんこと多いんやけどな(笑)」


 新入社員が笑った。


「そうなんですか?」


「せやで。でも、みんなちゃんと教えてくれるから大丈夫やと思う」


「ありがとうございます」


 少し離れたところでは、柴崎も新入社員たちと話していた。


 開発の仕事について質問され、今の自分にわかる範囲で説明している。


 大本は、その姿を見て少し笑った。


 去年は、二人とも教えてもらう側だった。


 今年は、少しだけ教える側になっていた。


     *


 午後。


 全社員が参加する新年度の説明会が始まった。


 金目が、前へ出た。


「皆さん、改めまして、今年度もよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 社員たちから声が返ってきた。


「さて、今年度は、開発部の組織を少し変えることにしました」


 会場が、少し静かになった。


「詳しい説明は、西田さんからお願いします」


 西田が、前へ出た。


「ほな、説明させてもらいます」


 画面には、新しい組織図が表示された。


『開発部』


『開発一課』


『開発二課』


『基盤運用課』


「これまでは、開発課と基盤運用課の二つに分かれとったんやけど」


 西田は、少し間を置いた。


「今年度から、開発課を二つに分けることにしました」


 社員たちが、資料を確認する。


「開発一課は、大型案件を中心に担当します」


「複数人で進める開発や、長期間の計画が必要な案件を扱う課です」


「一方、開発二課は、小型案件を中心に担当します」


「少人数で進められる案件や、比較的短期間で完結する開発を担当します」


 西田は、次の資料を表示した。


「基盤運用課は、これまでどおり井上が担当します」


 そして、少し笑った。


「今回の再編の理由は、単純です」


「人が増えて、田村一人では判断することが増えすぎたんよ」


 田村が、少し苦笑した。


 周囲から、小さな笑いが起きた。


「もちろん、田村が仕事を回せてへんかったわけちゃうで」


 西田は続けた。


「むしろ、今までようやってくれとったと思う」


「ただ、案件の数も増えたし、大型案件と小型案件では、必要な管理の仕方も違う」


「そこで、それぞれの仕事に合った形で判断できるようにすることにしました」


     *


 西田は、新しい責任者の一覧を表示した。


『開発一課 課長:田村洋介』


『開発二課 課長:尾崎達也』


『基盤運用課 課長:井上修一』


「開発一課は、引き続き田村に任せます」


 田村が、軽く頭を下げた。


「よろしくお願いします」


「そして、開発二課は尾崎に任せることにしました」


 尾崎も、頭を下げた。


「よろしくお願いします」


 西田は、少し笑った。


「尾崎には、これまでも案件の進行を中心に見てもろとった」


「ただ、これからは課長として、人員配置や育成、評価についても責任を持ってもらいます」


 尾崎は、静かにうなずいた。


「もちろん、最初から全部一人で判断しろという話ではありません」


「田村や俺とも相談しながら、少しずつ進めてもらえたらと思っています」


 西田は、資料を切り替えた。


「なお、本多さんについては、開発部直属として、これまでどおりデザインの仕事を横断的に担当してもらいます」


 本多が、軽く会釈した。


「よろしくお願いします」


「それぞれの課の配置については、すでに個別に説明しています」


「新卒社員の配属についても、各課で受け入れを進めていきます」


 西田は、社員たちを見渡した。


「課が分かれたからといって、協力せんようになるわけではありません」


「必要なときは、これまでどおり課をまたいで相談してください」


 社員たちが、うなずいた。


     *


 最後に、金目が再び前へ出た。


「西田さん、ありがとうございます」


 金目は、新しい組織図を眺めた。


「今回、開発部の課を一つ増やしました」


「でも、別に偉い人を増やしたかったわけちゃいます」


 少し笑った。


「判断する場所を増やして、仕事が止まらんようにしたかったんです」


 社員たちは、静かに話を聞いていた。


「これまでは、田村さんが課全体を見てくれとりました」


「でも、人が増えれば、全部を一人で判断するのは難しくなります」


「だから、仕事の種類に合わせて、責任を分けることにしました」


 金目は、少し間を置いた。


「もちろん、組織図を変えただけで、仕事がうまく回るようになるとは思っていません」


「これから、実際にやってみて、困るところがあったら直していきたいと思っとります」


 そして、少し笑った。


「まあ、なるべく困らんようにしてほしいですけどね(笑)」


 会場から笑いが起きた。


「今年度も、よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします!」


 拍手が起きた。


 こうして、株式会社カナメの2032年度が始まった。


 新しい仲間を迎え、新しい組織が動き始めた。


 そして、これまで案件の進行を支えてきた尾崎は、今度は一つの課を任されることになった。


     *


 四月上旬。


 株式会社カナメの開発部では、新しい組織体制での仕事が始まっていた。


 大型案件を担当する開発一課。


 小型案件を担当する開発二課。


 そして、既存システムの保守・運用を担う基盤運用課。


 開発部マネージャーの西田のもと、それぞれの課が仕事を進めている。


 もっとも、組織図が変わったからといって、昨日までの仕事がなくなるわけではない。


 社員たちは、これまで担当していた案件を引き継ぎながら、新しい体制に少しずつ慣れ始めていた。


     *


「……さて、どうしたもんかな」


 尾崎達也は、開発二課の案件一覧を眺めていた。


 課長に就任して、まだ数日。


 これまでも案件の進行を任されていたため、進捗管理そのものに戸惑いはなかった。


 しかし、今は少し事情が違う。


 複数の案件について、どの社員を担当させるのか。


 何を優先するのか。


 そして、それぞれの社員にどのような経験を積んでもらうのか。


 そうしたことまで考える必要があった。


 尾崎は、上田拓海へ連絡した。


「上田、ちょっとええ?」


「はい。どうしました?」


「今週から始まる案件なんやけど、担当を確認したいねん」


「わかりました」


 尾崎は、案件一覧を共有した。


 既存システムの小さな機能追加。


 作業量はそれほど大きくない。


 ただし、顧客との確認事項がいくつか残っていた。


「これ、上田にお願いしようと思っとる」


「承知しました」


「ただ、もう一人つけようかと思っとるんよ」


「そうなんですか?」


「せやねん。去年入った人にも、そろそろ案件を一通り経験してもらいたいしな」


 上田は、少し考えた。


「それなら、最初の要件確認から一緒に入ってもらう方がよさそうですね」


「せやな」


「実装だけ担当するより、仕事の流れも理解できますし」


「それがええと思う」


 尾崎は、担当者一覧を更新した。


 単に空いている人を配置するのではない。


 今の案件を進めることと、次に仕事を任せられる人を育てること。


 その両方を考える必要があった。


     *


 しばらくして、尾崎は田村洋介へ連絡した。


「田村、ちょっとええ?」


「ええで。どうした?」


「開発二課の案件なんやけど、担当を決めてみたんよ」


「ほう」


 尾崎は、資料を共有した。


「上田を中心にして、去年入った人にも一緒に入ってもらおうと思っとる」


「なるほどな」


「実装だけやなくて、要件確認から経験してもらいたいねん」


「ええと思うで」


 田村は、うなずいた。


「ただ、なんで俺に確認しとるん?」


「……え?」


「いや、開発二課の配置は、尾崎が決めてええことになっとるやろ?」


 尾崎は、少し考えた。


「……ああ、せやったな」


 田村が笑った。


「今までの癖やな(笑)」


「……せやな(笑)」


 二人は笑った。


「もちろん、困ったことがあったら相談してくれたらええで」


「助かるわ」


「でも、今回の話は尾崎の判断でええと思う」


「了解」


 尾崎は、少し笑った。


「ほな、この配置で進めるわ」


「頼むで」


 通話が終わった。


 尾崎は、もう一度案件一覧を見直した。


 以前なら、田村へ相談して決めていた仕事だった。


 今は、自分が決める。


 その違いは、思っていたよりも大きかった。


     *


 一方、開発一課では、田村が大型案件の予定を確認していた。


 複数人で進める業務システムの開発。


 設計、実装、テスト。


 それぞれの工程で必要な人員が異なる。


「……来月からテストに入るんやな」


 田村は、案件の予定表を確認した。


 岩田健太が、設計レビューの状況を報告している。


「今のところ、大きな問題はないで」


「そらよかった」


「ただ、来月のテストに向けて、確認する項目が少し増えとる」


「なるほど」


 田村は、担当者一覧を見直した。


「ほな、今のうちに人員を調整しとこうか」


「せやな」


 以前なら、開発課全体の案件を確認しながら、担当者を動かす必要があった。


 しかし、今は開発一課の案件を中心に考えられる。


 もちろん、ほかの課との調整が必要になることもある。


 それでも、自分が責任を持つ範囲は、以前より明確になっていた。


     *


 数日後。


 開発二課の案件で、技術的な確認が必要になった。


 既存システムの一部を変更するにあたり、以前の設計方針を確認したいという。


 尾崎は、資料を見ながら考えた。


「……これ、岩田に聞いた方が早いな」


 岩田は現在、開発一課に所属している。


 ただし、これまでも開発課全体の技術レビューを担当してきた。


 尾崎は、田村へ連絡した。


「田村、ちょっと相談ええ?」


「ええで」


「こっちの案件で、岩田にレビューをお願いしたいねん」


「なるほど」


 田村は、予定表を確認した。


「今週やったら、少し時間取れると思うで」


「ほんま?」


「せやな。ただ、来週からは大型案件の確認が増えるから、できれば今週中にお願いしたい」


「了解」


 尾崎は、うなずいた。


「ほな、資料まとめて岩田に相談するわ」


「頼むで」


 田村は、少し考えた。


「こういう課をまたぐ話は、これからも出てくるやろな」


「せやな」


「まあ、必要なときは相談してくれたらええで」


「了解」


 尾崎は、少し笑った。


「課が分かれても、仕事はつながっとるからな」


「ほんま、それやな」


     *


 四月中旬。


 西田は、田村と新体制の状況を確認していた。


「どうや、新しい体制は?」


「まだ慣れへんところもあるけど、前より見る範囲は整理できたな」


「そらよかった」


 田村は、少し笑った。


「今までは、小さい案件も大きい案件も全部見とったからな」


「せやな」


「今は大型案件に集中できるようになったと思う」


「なるほど」


 西田は、資料を確認した。


「尾崎の方はどうや?」


「順調やと思うで」


「そうか」


「最初は、今までの癖で俺に確認してきとったけどな(笑)」


 西田が笑った。


「まあ、そらそうやろ」


「でも、今は自分で決めて進めとる」


「それはええことやな」


 田村は、うなずいた。


「ただ、今度は課同士の調整が増えそうやな」


「せやろな」


 西田は、少し笑った。


「そこは俺の仕事や」


「頼むで(笑)」


「任せとき」


 二人は笑った。


     *


 その日の午後。


 西田は、金目へ新体制の状況を報告していた。


「開発部の方は、今のところ順調やで」


「そらよかった」


 金目が答えた。


「田村さんと尾崎さんは、どう?」


「それぞれの課で仕事を進め始めとる」


「なるほど」


「尾崎も、最初は田村に確認しとったみたいやけど、今は自分で判断するようになってきたで」


 金目は、少し笑った。


「そら、ええことやな」


「せやな」


 西田は、資料を確認した。


「ただ、課をまたぐ調整は、今後増えると思う」


「そうなん?」


「今までは田村が課全体を見とったからな。今度は、それぞれの課で判断する分、課同士の調整が必要になる」


「なるほどな」


 金目は、少し考えた。


「……西田さんの仕事、増えたんちゃう?(笑)」


 西田が笑った。


「……それは言わんといて(笑)」


 二人は笑った。


     *


 金目は、新しい組織図を開いた。


 開発一課。


 開発二課。


 基盤運用課。


 それぞれに課長がいる。


 そして、その上に開発部マネージャーの西田がいる。


 以前は、自分が直接判断していた仕事が多かった。


 それを、西田へ任せた。


 西田が田村へ任せた。


 そして今、田村が担っていた仕事の一部を、尾崎が引き受けることになった。


 仕事そのものが減ったわけではない。


 ただ、その仕事を判断できる人が増えた。


 それぞれの責任が、少しずつ分かれていく。


「……まあ、ええ感じやな」


 金目は、少し笑った。


 組織を分けることは、人を切り離すことではない。


 必要なときには、これまでどおり協力する。


 ただし、自分たちで決められることは、自分たちで決める。


 そうした仕事の進め方が、少しずつ形になってきていた。


 株式会社カナメは、新しい仲間と新しい組織とともに、2032年度を歩み始めていた。

お読みいただきありがとうございます。旭月です。


今回は、新年度を迎えたカナメのお話でした。


四月一日。


今年も新しい仲間が四名加わりました。


昨年は新入社員だった大本と柴崎も、今年は迎える側です。


まだまだ覚えることは多い二人ですが、後輩に声をかける姿を見ると、この一年で少しずつ成長してきたことがわかりますね。


……本人たちは、まだ先輩という実感がないようですが(笑)。


さて、今回のもう一つの大きな出来事は、開発部の組織再編でした。


これまでの開発課を、大型案件を担当する開発一課と、小型案件を担当する開発二課に分割しました。


基盤運用課と合わせて、三課体制になったわけです。


その背景にあったのは、田村への判断の集中でした。


昨年、開発部では積極的に中途採用を進めました。


新しい社員が加わり、開発できる仕事は増えています。


しかし、案件が増えれば、人員配置や優先順位を調整する仕事も増えます。


これまで田村が一人で見ていた範囲が、組織の成長によって広がりすぎてしまったわけですね。


そこで今回は、仕事の性質に応じて組織を分けることにしました。


大型案件では、複数人の予定を調整しながら、先の工程まで見通して進める必要があります。


一方、小型案件では、少人数で素早く判断し、短い期間で仕事を完結させる方が効率的な場合もあります。


どちらも開発の仕事ですが、必要な管理方法は違います。


それぞれに適した形で判断できるようにすることが、今回の再編の目的でした。


そして、新しく開発二課長に就任した尾崎。


これまでも案件の進行を中心に任されていましたが、今後は課全体の人員配置や育成、評価にも責任を持つことになります。


後半では、尾崎が担当者を決めたあと、いつもの癖で田村へ確認していました。


田村から「なんで俺に確認しとるん?」と返されて、ようやく自分の権限になったことを思い出しています。


……長年の習慣というのは、なかなか抜けないものですね(笑)。


ただ、今回描きたかったのは、尾崎が急に立派な管理職になったという話ではありません。


今まで経験してきた仕事を土台にしながら、新しい責任を少しずつ引き受けていく。


その過程で、田村や西田に相談することもあるでしょう。


相談することと、判断を丸投げすることは違います。


自分で考え、必要な情報を集め、責任を持って決める。


それが、これからの尾崎に求められる仕事なのだと思います。


さて、田村の方も、仕事の範囲が変わりました。


これまで開発課全体を見ていましたが、今後は大型案件を中心とする開発一課を率いることになります。


そして、課をまたぐ調整は西田が担うことになりました。


……結局、誰かの仕事が減ると、別の誰かの仕事が増えるようです(笑)。


もっとも、今回の再編は、単に仕事を移しただけではありません。


誰が何を判断するのか。


どこまで自分たちで決められるのか。


そして、課をまたぐ問題が起きたときには、誰が調整するのか。


そうした責任の範囲を整理したことに意味があります。


組織を分けたからといって、社員同士の協力まで分ける必要はありません。


今回も、開発二課の案件について、開発一課の岩田が技術レビューを担当する場面がありました。


それぞれが責任を持ちながら、必要なときには協力する。


そんな組織になっていってほしいものです。


そして、今回の金目。


新しい組織図を眺めながら、少しずつ判断できる人が増えていることを実感していました。


かつて自分が担っていた仕事を西田へ任せ、西田が田村へ任せ、そして今度は尾崎へ。


こうして、仕事と責任が少しずつ受け継がれていきます。


ただし、任せるということは、責任を押しつけることではありません。


必要な権限を渡し、困ったときには支援できるようにする。


そのうえで、本人の判断を尊重する。


今回の組織再編も、そうした考え方の延長にあるのでしょう。


さて、新しい年度が始まりました。


開発部は三課体制となり、新卒社員も四名加わりました。


そして、四月にはもう一つ、大きな出来事が控えています。


昨年創設された賞与制度が、いよいよ初めての支給日を迎えます。


制度を発表したとき、社員たちはさまざまな反応を見せていました。


果たして、実際に支給される日には、どのような反応があるのでしょうか。


次回もお付き合いいただければ幸いです。

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