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カナメ -君はどう考える?-  作者: 旭月
第三章 任せた先にあるもの
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同じ春、違う道

 2031年4月1日。


 大阪・本町。


 株式会社カナメの本町事業所では、朝から普段とは違うにぎわいがあった。


 今日は、新年度の初日。


 そして、二人の新卒社員を迎える日だった。


 普段はフルリモートで働く社員たちも、今日は全員が出社することになっている。


 新入社員の歓迎と顔合わせ。


 午後には、新年度の全社説明会も予定されていた。


 顧客には事前に全社研修日として案内し、通常業務は原則として休止している。


 もちろん、保守・運用の緊急対応だけは、必要に応じて対応できる体制を整えていた。


     *


「貸与品は、こちらで全部ですね」


 福原奈央が、机の上を確認した。


 パソコンが二台。


 入社書類。


 社内システムの案内資料。


 そして、初日の予定表。


 三宅が、隣でうなずいた。


「はい。アカウントの準備も完了しています」


「ありがとうございます」


 福原は、もう一度予定表を確認した。


 昨年の秋、自分がカナメに入社したときは、三宅から説明を受ける側だった。


 それが今では、新入社員を迎える側になっている。


「……なんだか、少し緊張しますね」


 福原が言うと、三宅が笑った。


「そうですか?」


「はい。説明する側になると、ちゃんと伝えられるか気になって」


「大丈夫ですよ。わからないことがあれば、私も補足しますので」


「ありがとうございます」


 福原は、少し安心したように笑った。


 事業所の奥からは、社員たちの話し声が聞こえていた。


 普段はオンラインで仕事をしているため、久しぶりに顔を合わせる社員も多い。


 ただ、今日は年末の忘年会とは違う。


 新しい仲間を迎え、会社として新年度を始める日だった。


     *


「おはようございます」


 最初に事業所へやってきた新入社員は、大本恭平だった。


 二十二歳。


 大学では経済学を学んでいた。


 少し早めに到着したらしく、まだもう一人の新入社員の姿はない。


「おはようございます。大本さんですね」


 福原が迎えた。


「はい。本日からよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 福原は、大本を案内した。


「今日はほかの社員も出社していますので、あとで皆さんをご紹介しますね」


「ありがとうございます」


 大本は、事業所の中を見渡した。


 あちこちで社員たちが話をしている。


 これから自分も、この会社で働くことになる。


 そう考えると、少し緊張した。


 しばらくして、入口から声がした。


「おはようございます」


 柴崎真帆だった。


 同じく二十二歳。


 大学では情報系の学部に所属し、研究室で実験データを整理するWebツールを制作していた。


「おはようございます。柴崎さんですね」


 三宅が迎えた。


「はい。よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


 三宅は、大本を紹介した。


「こちら、同じ日に入社される大本さんです」


 大本が立ち上がった。


「大本恭平です。営業に配属されます」


「柴崎真帆です。開発部です。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


 大本は、少し笑った。


「同期がおって、ちょっと安心しました」


 柴崎も笑った。


「私もです」


 二人は、軽く会釈した。


     *


 午前中は、入社手続きと社内ルールの説明から始まった。


 福原が中心となって進め、三宅が必要なところを補足する。


「カナメでは、普段はフルリモート勤務が基本になります」


 福原が説明した。


「社内の連絡はチャットが中心で、必要に応じてオンライン会議を行います」


「はい」


 二人がうなずいた。


「ただし、入社直後は業務を覚えていただくため、担当者との打ち合わせを多めに設定しています」


 柴崎が尋ねた。


「開発環境の設定も、オンラインで進めることになるんでしょうか?」


「はい。今日の午後に、開発部の担当者から説明があります」


「わかりました」


 大本も質問した。


「営業の場合、最初からお客様との打ち合わせに参加することはあるんでしょうか?」


「そのあたりは、午後に松井さんから説明があると思います」


「ありがとうございます」


 福原は、資料を確認しながら説明を続けた。


 入社書類の提出。


 勤怠管理。


 情報セキュリティ。


 社内システムへのログイン。


 ひととおり終わる頃には、午前の入社式の時間が近づいていた。


     *


 社員たちが、会議室と執務スペースに集まっていた。


 今日は、全員が本町事業所に出社している。


 新入社員の二人は、福原に案内されて前方へ向かった。


「……結構、緊張しますね」


 大本が小さく言った。


「うん」


 柴崎も、少し笑った。


「思ってたより人がいるね」


 大本は、周囲を見渡した。


 最終面接で会った金目の姿も見える。


 金目は、二人に気づくと軽く手を振った。


「ほな、始めましょうか」


 金目が、社員たちへ声をかけた。


「皆さん、おはようございます」


「おはようございます!」


「今日から新年度ですね」


 金目は、少し笑った。


「今年も、新しい仲間を迎えることができました」


 社員たちが、二人へ目を向けた。


「大本恭平君と、柴崎真帆さんです」


「まずは、二人から簡単に自己紹介してもらおうか」


 大本が、一歩前に出た。


「本日から営業に配属されます、大本恭平です」


 少し緊張した表情だった。


「大学では経済学を学んでいました。営業の仕事は初めてですが、一日でも早く覚えられるように頑張ります」


「よろしくお願いします!」


 社員たちから拍手が起きた。


 続いて、柴崎が前へ出た。


「本日から開発部に配属されます、柴崎真帆です」


「大学では情報系の勉強をしていて、研究室でWebツールを作っていました」


「実際の業務システムの開発は初めてですが、いろいろ学んでいきたいと思っています」


「よろしくお願いします!」


 再び拍手が起きた。


     *


 金目は、二人へ目を向けた。


「改めて、ようこそカナメへ」


「よろしくお願いします!」


 二人が答えた。


「大本君は、飲食店でアルバイトしとったんやったな」


「はい。覚えてくださってたんですね」


「そら、面接で話したやん(笑)」


 社員たちから、小さな笑いが起きた。


「予約とか引き継ぎの仕事が大変やったって話、覚えとるで」


「ありがとうございます」


 金目は、柴崎へ目を向けた。


「柴崎さんは、大学で実験データを整理するツール作っとったんやったな」


「はい。研究室で使うWebツールです」


「せやったな」


 金目は、少し笑った。


「二人とも、実際に使う人のこと考えとるんやね」


 二人はうなずいた。


「まあ、最初は覚えること多いと思うけど、焦らんでええからな」


「はい」


「わからんことは聞いたらええし、失敗したら次に生かしたらええ」


 金目は、少し考えた。


「ただ、わからんまま放っとくんは、やめとこうな」


 二人は、しっかりとうなずいた。


 金目は、社員たちへ目を向けた。


「皆さんも、二人のことよろしくお願いします」


「よろしくお願いします!」


 あちこちから声が返ってきた。


 金目は、少し笑った。


「ほな、今年もよろしくお願いします!」


 拍手が起きた。


 二人の社会人としての最初の一日が、少しずつ進んでいた。


     *


 入社式のあと。


 社員たちは、しばらく自由に話をしていた。


 大本は、松井と小坂に紹介された。


「大本さん、改めてよろしくお願いします」


 松井が言った。


「こちらこそ、よろしくお願いします」


「午後から、営業の仕事について説明しますね」


「ありがとうございます」


 小坂も笑った。


「わからないことがあったら、遠慮なく聞いてくださいね」


「はい!」


 一方、柴崎は、上條と顔を合わせていた。


「柴崎さん、よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


「午後から、開発環境の説明を進めましょう」


「ありがとうございます」


 近くにいた上田と中野も、挨拶した。


「よろしくな」


「よろしくお願いします」


 柴崎は、少し安心したように笑った。


 これから仕事を教えてくれる人たちの顔が、少しずつわかってきた。


     *


 昼休み。


 大本と柴崎は、ほかの社員たちと一緒に昼食を取っていた。


「どう? 緊張しとる?」


 小川が尋ねた。


「めっちゃしてます」


 大本が答えた。


 柴崎も笑った。


「私もです」


「そらそうやろな」


 小川は、少し笑った。


「俺も入社したとき、そんな感じやったわ」


「そうなんですね」


「まあ、すぐ慣れるで」


 そこへ、中野が口を挟んだ。


「……小川君も、最初は結構緊張してたもんな」


「そうですね」


 小川は、少し笑った。


「中野さんにも、いろいろ聞きました」


「今も聞いてるやろ(笑)」


「……それはそうです(笑)」


 周囲に笑いが起きた。


 大本と柴崎も、少しずつ表情が和らいでいた。


 午後からは、それぞれの部署で仕事の説明が始まる。


 そして夕方には、新年度の全社説明会が予定されていた。


     *


 昼食を終えた社員たちは、それぞれの予定に合わせて動き始めた。


 普段はフルリモートで働いているカナメだが、今日は全社員が本町事業所に集まっている。


 午後の前半は、部署ごとの交流や新入社員の受け入れに時間が設けられていた。


 大本恭平は、松井慎吾と小坂千尋に案内され、営業の仕事について説明を受けていた。


「まずは、現在の営業案件について説明しますね」


 松井が、案件管理表を開いた。


 既存顧客との契約更新。


 追加開発の相談。


 新規顧客への提案。


 そして、見積もりや契約の手続き。


「……いろいろあるんですね」


 大本が言った。


「そうですね」


 松井は、少し笑った。


「営業といっても、仕事を取ってくるだけではありませんので」


「なるほど」


「お客様との約束を守ることも、大切な仕事です」


 松井は、案件管理表の一つを開いた。


「例えば、こちらの案件です」


 大本は、画面を確認した。


 顧客からの相談内容。


 担当者。


 次の対応予定。


 そして、回答期限。


「いつまでに、誰が、何をするのか。そこを曖昧にしないようにしています」


「はい」


 大本は、メモを取った。


 小坂も口を開いた。


「私は、新しいお客様への提案を中心に担当しています」


「そうなんですね」


「最初は、どんなことで困っているのかを聞くところからですね」


「なるほど」


「そこから、開発部の方にも相談して、できることを考えていきます」


 大本はうなずいた。


「営業だけで全部決めるわけではないんですね」


「そうですね」


 小坂が笑った。


「むしろ、勝手に決めたら怒られます(笑)」


 松井も、少し笑った。


「開発部にも予定がありますからね」


「なるほど」


 大本は、案件管理表を見直した。


 そして、一つ気になるところを見つけた。


「……すみません」


「はい?」


 松井が顔を上げた。


「この相談って、どなたが対応されるんですか?」


 松井は、画面を確認した。


「ああ、これはまだ確認中ですね」


「そうなんですね」


 大本は、少し考えた。


「お客様には、いつ頃お返事する予定なんでしょう?」


 松井は、もう一度記録を確認した。


「……そこも確認しておきましょうか」


「はい」


 大本は、メモを取った。


 特別なことをしたわけではない。


 ただ、わからないことを質問しただけだった。


 松井は、次の案件を開いた。


「では、こちらも見ていきましょう」


「よろしくお願いします」


     *


 一方、開発部では、柴崎真帆が上條亮介から開発環境の説明を受けていた。


「まずは、こちらのリポジトリを確認してもらえますか?」


「はい」


 柴崎は、貸与されたパソコンで指定されたページを開いた。


 画面には、いくつものディレクトリが並んでいる。


「……思っていたより、ずっと大きいですね」


 上條が笑った。


「そうですね。長く運用しているシステムもありますから」


「大学では、自分で全部決めて作っていたので」


「研究室のWebツールでしたっけ?」


「はい。実験データを整理するためのものです」


 柴崎は、少し笑った。


「最初は自分が使うために作ったんですけど、ほかの学生も使うようになって」


「なるほど」


「それで、使いにくいところを直したり、機能を追加したりしていました」


「それは、いい経験ですね」


「ありがとうございます」


 上條は、構成図を開いた。


「うちの場合は、複数人で開発していますし、実際にお客様が業務で使っているものなので、少し事情が違います」


「そうですよね」


「例えば、一つの処理を変更するだけでも、ほかの機能に影響することがあります」


 柴崎はうなずいた。


「そこは、気をつけないといけませんね」


「はい。なので、変更する前に影響範囲を確認するようにしています」


 上條は、開発の流れを説明した。


 作業内容の確認。


 設計。


 実装。


 コードレビュー。


 テスト。


 そして、リリース。


「……なるほど」


 柴崎は、メモを取りながら聞いていた。


「大学では、動いたらそのまま使っていたことも多かったので」


「最初は、そういうものだと思いますよ」


 上條は、少し笑った。


「僕も、個人で作るものと仕事で作るものは違うなと思いましたから」


「そうなんですね」


「はい。でも、作ること自体は同じです。考えなければならないことが増えるだけですね」


 柴崎は、少し考えた。


「……それが大変そうです」


「まあ、少しずつ覚えていきましょう」


「はい」


     *


 しばらくして、上田と中野が顔を出した。


「お疲れさまです」


 上田が声をかけた。


「お疲れさまです」


 柴崎が答えた。


「柴崎さん、開発環境はどう?」


「今、上條さんに説明していただいています」


「なるほど」


 上田は、少し笑った。


「最初は覚えること多いと思うけど、わからんことあったら聞いてな」


「ありがとうございます」


 中野も続けた。


「僕も、最初は環境構築だけで結構時間かかりました」


「そうなんですね」


「はい。何回も聞きましたから」


 上田が笑った。


「今も結構聞いとるやろ(笑)」


「……それはそうですけど(笑)」


 柴崎も笑った。


「でも、質問できる人が多いのはありがたいです」


「遠慮せんと聞いてな」


 上田が言った。


「はい」


 上條は、画面を切り替えた。


「では、まずは開発環境を動かしてみましょうか」


「お願いします」


 柴崎は、説明された手順に従って操作を進めた。


 必要なツールを確認し、設定ファイルを用意する。


 そして、ローカル環境でシステムを起動した。


 しばらくして、ブラウザに画面が表示された。


「あ、動きました」


「よかったですね」


 上條がうなずいた。


 柴崎は、少し安心したように笑った。


「……とりあえず、最初の一歩ですね」


「そうですね」


「ここから、いろいろ覚えないと」


「焦らなくて大丈夫ですよ」


 上條は、少し笑った。


「まずは、どういう仕組みになっているのか理解するところから始めましょう」


「はい」


     *


 午後三時を過ぎた頃。


 大本は、松井からの説明をひととおり終えていた。


「……いやあ、覚えること多いですね」


 大本が言った。


「そうですね」


 松井は、少し笑った。


「でも、今日全部覚える必要はありませんから」


「ありがとうございます」


「明日からは、オンラインで少しずつ進めていきましょう」


「はい」


 小坂も口を開いた。


「そのうち、私の商談にも同行してもらう予定です」


「本当ですか?」


「はい。最初は見学からですけどね」


「よろしくお願いします」


 大本は、少し笑った。


 知らないことばかりだったが、これからどんな仕事を覚えていくのか、少しだけ見えてきた気がした。


     *


 開発部でも、柴崎が作業を終えていた。


「今日は、ここまでにしましょうか」


 上條が言った。


「はい。ありがとうございました」


「明日からはオンラインで、今日の続きから進めましょう」


「よろしくお願いします」


 柴崎は、パソコンを閉じた。


 開発環境は動いた。


 ただ、システムの中身はまだほとんど理解できていない。


 それでも、自分がこれから関わる仕事の一端に触れられたことは、少しうれしかった。


「……頑張ろう」


 柴崎は、小さくつぶやいた。


     *


 夕方。


 社員たちは、全社説明会に向けて会議室と執務スペースに集まり始めていた。


 大本は、廊下で柴崎と顔を合わせた。


「あ、柴崎さん」


「大本君。お疲れさま」


「お疲れさま。そっちはどうやった?」


「開発環境の説明を受けてたんだけど、思っていたよりずっと大きなシステムだったよ」


「そうなんや」


「うん。大学でもプログラムは書いてたけど、会社のシステムって全然違うね」


「へえ」


「いろんな人が関わってるし、変更するときも周りへの影響を考えないといけないから」


 大本は、少し考えた。


「……それ、結構大変そうやな」


「そうだね」


 柴崎は笑った。


「でも、面白そうだよ」


「ええやん」


「そっちは?」


「こっちは知らん言葉ばっかりやったわ」


 大本が笑った。


「見積もりとか契約更新とか、聞いたことはあるんやけどな」


「うん」


「実際にどう進めるんかは、全然知らんかった」


「そっか」


「でも、松井さんも小坂さんも、丁寧に教えてくれたで」


「それはよかったね」


 大本は、少し笑った。


「……まあ、ぼちぼち覚えていこうか」


「そうだね」


 二人は、顔を見合わせて笑った。


     *


「皆さん、そろそろ説明会を始めますので、会場へお願いします」


 三宅が声をかけた。


 社員たちが、順番に移動し始めた。


 大本と柴崎も、その後に続く。


「……そういえば、午後もまだ何かあるんやな」


 大本が言った。


「新年度の全社説明会だって」


 柴崎が答えた。


「何の話やろ?」


「会社の方針とかじゃないかな」


「……なるほどな」


 二人は、会議室へ向かった。


 今日一日で、いろいろな人と顔を合わせた。


 仕事の説明を受け、知らない言葉を覚え、これから自分たちが担当する仕事について少しだけ理解した。


 まだ、何ができるわけでもない。


 それでも、二人は今日からカナメの社員だった。


 同じ日に入社し、違う部署へ配属された二人。


 それぞれの仕事が、これから少しずつ始まっていく。


 会議室では、金目が説明資料を確認していた。


「……ほな、始めましょうか」


 社員たちが席に着く。


 2031年度の株式会社カナメ。


 新しい一年が、動き始めようとしていた。

お読みいただきありがとうございます。旭月です。


今回は、2031年度の新入社員を迎えるお話でした。


営業に配属された大本恭平と、開発部に配属された柴崎真帆。


同じ日に入社した二人ですが、大学で学んできたことも、これから担当する仕事も違います。


大本は、飲食店でのアルバイト経験から、現場の仕事を楽にする仕組みに興味を持ちました。


一方の柴崎は、大学の研究室でWebツールを制作し、実際に使う人の意見を聞きながら改善してきた経験があります。


そんな二人を迎えるため、今回は久しぶりに全社員が本町事業所へ集まりました。


普段はフルリモートのカナメですが、こうして直接顔を合わせる機会も大切にしているようです。


さて、新入社員を迎えるということは、教える人が必要になるということでもあります。


今回、大本の指導を担当するのは松井と小坂。


柴崎の指導を担当するのは上條です。


以前は新しく入社したばかりだった社員たちが、今度は誰かに仕事を教える立場になっています。


特に福原は、昨年の秋に入社したばかり。


それが今では、新卒社員の入社手続きを説明する側になりました。


人が増えることで、仕事を任せられる相手が増える。


そして、任された人が、また別の誰かを支えるようになる。


こうした積み重ねも、組織が成長するということなのでしょう。


さて、今回の金目は、二人の志望動機をちゃんと覚えていました。


最終面接で話した内容を踏まえ、入社式でも自然に声をかけています。


もっとも、金目自身が新人の育成を細かく指示することはありません。


松井や西田たちに任せ、必要なときに相談してもらう。


以前よりも、少しずつ社長らしい仕事の仕方になってきたのかもしれませんね。


そして、もう一つ描きたかったのが、同期という関係です。


営業と開発。


違う仕事を担当する二人ですが、同じ日に社会人としての一歩を踏み出しました。


仕事で悩むことも、覚えなければならないことも、それぞれ違うでしょう。


それでも、同じ時期に入社した相手だからこそ、気軽に話せることもあるのかもしれません。


さて、今回は新入社員の二人を中心に描きましたが、カナメにとって、この日はそれだけでは終わりません。


夕方には、新年度の全社説明会が予定されています。


金目たちは、社員たちへ何を伝えるのでしょうか。


その様子は、次回のお話で。


引き続き、お付き合いいただければ幸いです。

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