引き受ける返事
十二月一日、金曜日。
「月末に使われた分の記録が、届いています」
午後、小坂が資料を開いた。
先月、検収を終えた申請管理の仕組みだった。
金目は、自分の一覧にも同じ案件を出した。
今の契約で頼まれたところは、確認してもらえた。
その先に、一括承認の相談が残っている。
「実際に、増えたんですね」
「はい。定期的に購入するものの申請が、月末にまとまったそうです」
小坂が、先方から送られた例を示した。
同じような品名が続いていた。
数量の違うものもある。
内容を開く。
確認して、承認する。
一覧へ戻って、次を開く。
先日、顧客の課長が見せてくれた操作だった。
「一度見たものも、戻ったあとで、また開いてはるんですか」
「そのようです。どれを確認したか、ご自身の手元でも控えていたそうです」
金目は、添えられた説明を読んだ。
中身を見なくてよくなればいい、と書いてあるわけではなかった。
確かめたものについて、同じ操作を繰り返すところを減らしたい。
「これなら、何を減らしたいかは、前より見えますね」
「はい。ただ、選んだあとで申請が変わった場合などは、扱いを決める必要があります」
「西田とも、そこを合わせたいです」
小坂がうなずいた。
先方とは、翌週に提案を見てもらう予定を置くことになった。
いつ作れるかは、担当者の仕事と確認する人の予定を見てから返す。
「一覧の方も、追加でご希望が来ています」
小坂が、もう一枚を開いた。
部署ごとによく使う絞り込みの条件を、保存しておけないか。
今月、使ってみて出た相談だった。
金目は、二つの希望を並べて見た。
承認をまとめることと、探しやすくすること。
同じ画面を使うからといって、同じ仕事ではなかった。
「一緒にした場合と、分けた場合で、見てもらいましょうか」
「承知しました」
小坂が、次に確認することを書き足した。
金目も、その資料を西田へ送った。
*
翌週、元の案件を担当した社員と、西田が見積もりを合わせた。
金目も、小坂と一緒に予定を見た。
担当者は、先に処理の流れを示した。
確認した申請を選ぶ。
まとめて承認するときに、今もその操作ができるか確かめる。
できなかったものは、その理由とともに残す。
「全部、同じ結果になるとは限らんのやな」
金目が尋ねた。
「はい。申請した方が、選ばれたあとで直している場合も考えています。変更されたものは、そのまま承認せずに、確認し直していただく形です」
小坂は、その説明を顧客へ確認する項目へ入れた。
金目は、見積もりの内訳へ目を移した。
画面を作る時間の下に、試験と確認の時間が続いている。
絞り込み条件の保存を入れると、さらに欄が増えた。
「今、担当してる分は、こちらですね」
「はい。こちらの確認が終わってから、追加の方へ入る予定で考えています」
担当者が、自分の作業を示した。
西田も、隣で予定を開く。
「俺が見るところは、この日に置ける。ただ、先に出してもらうものがあるな」
「その前日までに、こちらをお送りします」
確認する日と、そのために必要な日が書き込まれた。
金目は、一番後ろへ置かれた日付を見た。
顧客は、年内から使えないかと尋ねていた。
二つの希望を入れた日程は、その先へ出ていた。
「まず、承認の方だけなら、どうなりますか」
小坂が尋ねた。
担当者が別の欄を示す。
年内に作り終えて渡すには、今の仕事の確認を前へ動かすか、確認が残ったまま次へ入ることになる。
金目は、その二つの予定を指で追った。
「先方には、まだ日付をお返ししてませんね」
「はい。こちらの確認中とお伝えしています」
「ほな、条件を分けて見てもらいましょう。年明けになる案も、一緒に」
小坂はうなずいた。
金目は、見積もりの資料を手元へ戻した。
*
十二月七日、木曜日。
三宅が、前の週に使った報告資料を開いていた。
金目は、その隣へ今週の確認結果を並べた。
十一月末の退職見込みだった欄が、退職日を迎えた記録へ変わっている。
在籍は、二十八名。
西田の一課長暫定兼務も、開始予定から、現在の体制へ移っていた。
「こちらのご質問は、今日も残しています」
三宅が、前回の質疑を示した。
十二月の仕事の配分について、各部署で確認中と答えた項目だった。
「はい。今日、今どこまで決まってるかも、お伝えします」
金目は、回答欄へ確認した内容を入れた。
週に一度、社員へ状況を報告する時間を取ってきた。
入金があった週も、話していたことが進まなかった週もあった。
前の資料を開けば、そのとき答えたことと、残した質問が並んでいる。
今週は、十一月の支払いを終えられたと伝えられる。
金目は、入出金の欄へ目を戻した。
高瀬が、今後の予定と確認済みの結果を分けている。
同じ資料を、高瀬と小坂にも見てもらった。
業務で参加できない社員には、今日の説明と質疑の記録を共有する。
三宅は、いつもの案内へ資料の場所を添えた。
開始時刻になり、画面に参加者が並んだ。
金目は、手元の資料から顔を上げた。
「皆さん、お疲れさまです。今週の状況をご報告します」
*
十一月に期日を迎えた支払いは、済んでいる。
給与も、二十四日に支払った。
金目が説明すると、画面の向こうでうなずく人がいた。
そのまま、十二月の見通しへ進んだ。
既存の契約から入ったお金がある。
先へ残る入金予定もある。
十二月二十五日の分は、その中に置かれていた。
「人件費は、九月、十月に退職された方の分が、既に支出へ反映されています。十一月の支払いを続けられたのは、その影響も大きいです」
金目は、前月と並んだ欄を示した。
「ただ、毎月入ってくるお金だけで、十分に賄える状態へ戻ったわけではありません。今ある資金も使いながら、支払いを続けています」
先月末に退職した人についても、最後の給与や精算など、これから払うものがある。
その分を、すぐに支出から全部外してはいない。
金目は、今週確認できたところまでを伝えた。
個人の給与額を並べる資料ではなかった。
会社として出ていくものと、入ってくるもの、その時期を示している。
次に、仕事の状況へ移る。
西田の暫定兼務と、各部署の確認の進み方。
営業で続けている相談。
「こちらの追加開発は、今、範囲と日程の条件を合わせています。まだ発注をいただいたものではありません」
金目は、小坂と見ている一件を示した。
説明を終え、画面へ目を戻す。
「ご質問があれば、お願いします」
少しして、一人の社員が手を挙げた。
「十一月の支払いが済んだのは、よかったと思います」
「はい」
「ただ、毎週、見通しを聞いていても、気になっていることがありまして」
金目は、資料を動かしていた手を止めた。
「どうぞ」
「会社は、支払いを続けられています。でも、一緒に働いていた人は、毎月辞めていますよね」
「……はい」
「退職されることも、引継ぎをすることも、説明は受けています。そのことで、今初めて知ったという話ではないんです」
社員は、一度、手元へ目を落とした。
「資料も、もらっています。ただ、実際にその人がいなくなってから、わからないところが出てきます」
「どのようなところでしょうか」
「決まった手順で終わらなかったときです。前にどう判断したか、資料のどこを見ればいいか。隣へ聞けば、その場でわかったことがありました」
金目はうなずいた。
「今は、別の人へ聞いて、その人も確認してから返してくれます。相談する先が決まっていることと、すぐに答えがわかることは、違うんです」
社員が、机の方へ視線を動かした。
「その間にも、自分の仕事はあります。前は別の人がしていた確認も、今は自分が見るようになっています」
「その確認は、ほかの仕事との順番も合わせていますか」
「順番は付けています。ただ、後ろへ回した分は残ります」
金目は、手元へ短く書いた。
何を引き受け、何を後ろへ動かしたのか。
集会のあと、本人と責任者へ確かめる必要があった。
「具体的なものは、このあと一緒に確認させてください」
そう返すと、社員はうなずいた。
けれど、そこで話を終えなかった。
「お願いします。ただ、私の分だけ確認していただけば、ということでもなくて」
「はい」
「人数が減ったから、出ていくお金が減った。それで支払えたという説明は、わかります」
社員が、共有されている資料を見た。
「それは、会社のお金の話ですよね。残った人が、この先も働き続けられるかという話は、どこでわかるんでしょうか」
*
金目は、画面を見たまま黙った。
高瀬と一緒に、支払済みの記録を確かめた。
何度も同じことを聞き、ようやく息をつけた。
今月の分は払えた。
その結果を、今日、社員へも伝えた。
目の前の社員は、それを否定していなかった。
「今月の仕事の配分は、確認中と伺っています」
社員が続けた。
「はい。今日も、その状況をお伝えしました」
「これまでも、確認してくださっていると思います。でも、その間に人はいなくなって、残った方で受け持っています」
金目は、先ほど説明した体制の欄を見た。
相談先の名前は、入っている。
何をどこまで引き受け、そのために何を止めたかは、その表では見えなかった。
「このまま、誰かが辞めるたびに支出が減って、会社がもう少し続く。それを繰り返すんですか」
社員は、言い終えてから少し黙った。
金目も、すぐには返さなかった。
「……誰かが辞めるのを待つつもりでは、ありません」
「そうだとは思っています」
社員が答えた。
「でも、今のお話だと、そうなっているようにも聞こえます」
「はい」
金目は、手元から顔を上げた。
「支払いを続けられたことは、報告できます。ただ、それで、皆さんが働き続けられる状態を作れたとまでは、言えません」
声にすると、参加者の何人かが画面へ目を向けた。
「引き継ぐ相手と、相談する先を決めてきました。けれど、引き受ける方の仕事をどこまで減らせたか、そのあと何が残ったかを、十分に確かめ切れていません」
社員は、黙って聞いていた。
「それを、今の人数で進められる仕事として、こちらが数えてしまっているところがあります」
金目は、自分の予定を見た。
午後に聞いた報告には、引継ぎの確認が済んだと書かれている。
その確認を終えた人が、次に何を抱えたか。
同じところで、まだ待っている仕事がないか。
尋ねてきたつもりだった。
答えがあっても、受ける量を変えるところまで進められていないものがあった。
「会社を続けるために、次の仕事は必要です」
金目が言うと、社員もうなずいた。
「そこは、わかります。でも、その仕事をするのも、残っている人ですよね」
「……はい。そのとおりです」
小坂と見た見積もりが、手元にあった。
作る人の予定を見た。
確認する時間も、入れた。
既存の仕事は、予定どおり終わる前提で数えていた。
返事を待っている確認が遅れたら。
引き継いだ仕事で、また迷うところが出たら。
その続きを、誰の予定へ戻すのか。
「新しい仕事の方も、今ある作業と、その確認をする人の予定まで並べて、もう一度合わせます」
金目は言った。
「終わる予定だから、次を入れられる。それだけで決めないようにします」
「いつ、わかるんでしょうか」
社員が尋ねた。
金目は、次の報告の日付を見た。
「来週、十四日の報告で、どの仕事を優先し、何を後ろへ動かすか、現時点で決めた内容をお伝えします。各部署の責任者と、担当している方へ確認します」
「全部、決まるということですか」
「いえ。すべてを一週間で終えられるとは、お約束できません。ただ、決まっていないという説明だけで、同じものを残さないようにします。どこで判断が止まっているかも、分けてお伝えします」
金目は、日付を書き込んだ。
「今日伺った分は、このあと責任者と一緒に確認させてください。今、順番を変えられるものは、来週まで待たずに決めます」
社員が、少し考えてから答えた。
「では、次の報告で、その内容を確認させてください」
「はい」
金目はうなずいた。
社員の表情は、初めに質問したときから、大きくは変わっていなかった。
*
別の社員が、手を挙げた。
「一つ、確認してもよろしいですか」
「はい。どうぞ」
「社長と西田さんの役員報酬の返上は、今も続いているんですよね」
「はい。続けています」
金目が答えると、社員は小さくうなずいた。
「ご自身の生活もある中で、続けてくださっていることには、感謝しています。西田さんも、今月から一課を見てくださっていますし」
西田が、画面へ顔を向けた。
社員は、少し言葉を探した。
「お二人も、楽な状況ではないと思います。そこは、私たちもわかっています」
「……ありがとうございます」
金目は頭を下げた。
西田も、短く礼を返した。
「だから、さっきの話も含めて、この先どうしていくかを聞かせていただきたいです。今のまま、お二人が無理を続ければいいとも思っていませんので」
「はい」
金目は顔を上げた。
「その点も、これからの見通しと一緒にお伝えしていきます」
社員がうなずいた。
金目は、次回の確認事項へ役員報酬の扱いも書き添えた。
ほかにも質問が続いた。
相談を待っている間に、別の担当者へ聞いてよいか。
顧客への返事と、社内の確認が重なったとき、どちらへ先に連絡するか。
西田が、その場で答えられるものへ返した。
個別の案件を見なければ決められないものは、誰が確かめるかを置いた。
金目は、三宅が残している記録を見た。
来週も残る質問がある。
その前に、動かさなければならない仕事もあった。
終了を伝えると、画面の参加者が一人ずつ減っていった。
最後まで開いていた資料を、金目は閉じた。
「最初にご質問された方の件、このあと確認します」
西田が言った。
「頼む。俺も入る」
金目は予定を開いた。
自分がその場で聞くべきことと、西田と本人で先に確かめることを合わせる。
相談の内容を、本人の了解なしに全体へ出すつもりはなかった。
三宅が、次回の確認事項をまとめて送った。
「発言されていない方の分も、責任者から確認していただきます」
「はい。今日、手を挙げた方だけの話にはしたくないです」
金目は、届いた記録を保存した。
それから、小坂へ連絡を入れた。
見積もりの返事を待ってもらっている一件について、担当者の予定をもう一度一緒に見たい。
小坂から、すぐに返事が届いた。
*
夕方、金目は西田、小坂と、申請管理の担当者の予定を開いた。
「今の仕事の確認、こちらは返事が来ていますか」
金目が尋ねると、担当者は首を振った。
「まだです。明日までにいただく予定で、お送りしています」
「返ってきたあと、どれくらい見ておく必要があります?」
「確認結果によります。こちらで直すところがあれば、その分は残ります」
西田が、既存作業の欄を広げた。
「ここ、返事をもらう日で、作業の終わりにしてたな」
「はい。大きな変更は出ない想定でした」
金目は、追加開発の開始予定を見た。
その続きへ、作る時間が並んでいる。
「確認が戻ったあとの作業は、こちらに置こうか」
西田が、担当者と見ながら予定を動かした。
それに合わせて、自分が見る日も押さえる。
追加開発は、そのあとから始める。
金目は、小坂が示した日付へ目を向けた。
「お渡しできるのは、年明けになりますね」
「はい。承認をまとめる方だけでも、この日程で先方へご相談することになります」
絞り込み条件を保存する希望は、今回には含めない。
担当者は、その分を外した見積もりを開いた。
まとめて処理できるかを確かめる試験や、利用者が結果を確認する仕組みは、そのまま残っていた。
金目は、費用の欄を見た。
希望を減らした分は、見積もりからも外れている。
「こちらの確認は、誰に見ていただきますか」
担当者が西田へ尋ねた。
「俺が見る。先に、この条件を送ってもらえるか」
「はい」
金目は、二人が決めた予定を確かめた。
仕事を受ける担当者の名前だけでは、その日程にならなかった。
返事を待つ日があり、戻ってきたものを直す時間がある。
小坂が、先方へ示す資料を開き直した。
「この範囲と日程で、改めてお伝えします」
「お願いします」
「年内から使いたいというご希望は、ありますので」
「はい」
金目は答えた。
取れるとは、まだわからなかった。
*
顧客との打ち合わせで、小坂は変更した範囲と日程を示した。
金目も、一緒に入った。
「承認をまとめる方を先に、というのは、こちらでも相談していました」
窓口の担当者が言った。
「ただ、年内は難しいということですね」
「はい。こちらの内容で確認を終え、お渡しする予定は、一月十九日です」
小坂が答えた。
課長が、手元の予定を見た。
金目は、共有している画面をそのままにして待った。
「月末に増える分には、使いたいんです」
「はい」
「十九日にいただいて、こちらが確認する時間は、入っていますか」
小坂が、その先の予定を示した。
先方で使う例も、確認項目へ入っている。
何を見て、どのような結果なら確認が済んだとするか。
操作できなかった申請が残った場合も、結果を追えることを確かめる。
「選んだものが、全部終わったと思ってしまうと困るんです」
課長が言った。
「できなかったものは、わかるようにしたいです」
「はい。その場合には、確認が必要なものと、処理できたものを区別していただける形で、ご相談しています」
小坂が、例を開いた。
金目は、担当者と確かめた条件が、相手の言葉で確認されていくのを聞いた。
課長が、窓口の担当者と話した。
費用についても、社内で確認していた範囲と照らしている。
「絞り込みを保存する方は、今回には入れないんですね」
「はい。そちらは、今回の費用と日程には含めていません」
「今までのように、毎回選べば使えるということですね」
「その操作は、残ります」
課長は、もう一度、提案の一覧を見た。
「まず、こちらをお願いする形で、社内へ回します」
金目は、息をついた。
まだ発注を受けたわけではなかった。
それでも、相手が自分たちの予定へ、この提案を置こうとしている。
「ありがとうございます」
小坂が礼を伝えた。
金目も頭を下げた。
*
十二月八日、金曜日。
先方から、発注の連絡と書類が届いた。
小坂が、金目と三宅へ知らせた。
金目は、案件名の下を読んだ。
承認操作をまとめるための追加開発。
範囲と費用、日程が、昨日確認した内容になっている。
三宅が条件を照合した。
検収を終えてから請求し、先方の支払条件に従って入金を受ける。
先月送った請求書の、十二月二十五日という予定とは別の仕事だった。
「こちらの条件で、発注をいただいています」
小坂が言った。
「……取れましたね」
「はい」
小坂の声も、少し緩んだ。
金目は、届いた文面をもう一度読んだ。
相談の一覧で、一件が受注へ移った。
金目は、その行を見て笑った。
「ありがとうございます。先方との確認、何度もしてもらって」
「こちらこそ。担当の方へも、内容を共有します」
「はい。僕からも、伝えます」
なくなった仕事の全部を、この一件で埋められるわけではなかった。
けれど、次に渡す仕事を頼んでもらえた。
そのことは、うれしかった。
金目は、発注を確認した返事を小坂と合わせた。
それから、西田と担当者へ資料を送る。
合意した開始日と、確認の予定も添えた。
担当者から返事が届いた。
今の作業の確認結果を受け取り、戻ってきた分を見ているという。
追加開発の予定も、昨日合わせたところへ入っていた。
金目は、二つの仕事が並んだ予定を開いた。
片方がなくなって、もう片方が入ったわけではない。
先に終えるための時間を、残してある。
資料を閉じ、次の全社報告の確認事項へ移った。
来週、十四日。
昨日の社員の言葉を思い出した。
新しい仕事をするのも、残っている人だ。
金目は、受注した件数の欄へ一件を加えた。
その下へ、担当者と合わせ直した開始日と、既存作業の確認に残した時間を書いた。
ほかの部署からの返事を待っている欄は、まだ空いていた。
金目は、その確認を依頼する文面を開いた。
お読みいただきありがとうございます。旭月です。
今回は、続いてきた全社報告の中で、残る社員たちの声を描きました。
給与が支払われていても、一緒に働く人が減れば、日々の仕事は変わります。資料や相談先を引き継いだあとにも、実際に困って初めてわかることが残っていました。
金目と西田への感謝や理解もあります。それでも、この先どう働いていけるのか、聞きたいことはなくなりません。
追加の仕事を頼んでもらえたことは、うれしい前進です。その仕事を担う人の時間まで含めて、引き受けた約束になっていくのだと思います。
金目の手元には、新しい発注と、次の報告で返すべき問いが残りました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




