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カナメ -君はどう考える?-  作者: 旭月
第五章 守りたいもの
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117/173

約束の日まで

 2034年7月13日、木曜日。


 午後五時。


 株式会社カナメでは、週に一度の全社員向け状況報告が始まろうとしていた。


 金目は、会議室で参加者の一覧を確認していた。


 隣には高瀬が座っている。


 数時間前、二人は七月二十五日までの資金繰りを確認したばかりだった。


 必要資金、二千六百万円。


 確保できる見込みのある資金、一千四百万円。


 不足見込み、千二百万円。


 その数字を、今日は社員たちにも伝えることになっていた。


     *


「……皆さん、お疲れさまです」


 金目が話し始めた。


「今日は、七月二十五日の給与支払いに向けた状況を、数字も含めてご報告します」


 高瀬が資料を共有した。


 画面には、七月二十五日までの資金繰りが表示されている。


「まず、同日までに必要な資金は、約二千六百万円です」


 高瀬が説明した。


「こちらには、給与だけでなく、外注費や固定費など、期日までの支払いも含んでいます」


 画面の向こうで、社員たちは静かに聞いていた。


「これに対して、現在の現預金と、期日までに入金が見込まれる確定済みの資金は、合計約一千四百万円です」


 高瀬は、一度言葉を区切った。


「差額の約一千二百万円が、現時点での不足見込みです」


     *


 画面の向こうで、一人の社員が顔を上げた。


 別の社員は、手元の資料に何かを書き込んでいる。


 数字が具体的になったことで、状況は以前よりわかりやすくなった。


 しかし、わかりやすくなったからといって、不安が小さくなるわけではない。


「……社長、質問してもよろしいでしょうか」


 一人の社員が手を挙げた。


「もちろんです」


 金目が答えた。


「あと十二日ですよね」


「はい」


「その間に、千二百万円を調達できる見込みはあるんでしょうか?」


     *


 金目は、少し考えた。


「現時点では、全額を確保できるとお約束することはできません」


 社員は、黙って聞いていた。


「ただ、既存の金融機関だけでなく、新しく相談している金融機関や、公的な融資制度についても並行して進めています」


「……それは、まだ審査中ということですか?」


「はい。実行が確定したものは、まだありません」


 社員は、少し黙った。


「……では、七月二十日には、払えるかどうか決まるんでしょうか?」


「その日には、確認できた事実と、残っている不足額、そして今後の対応について報告します」


「……わかりました」


     *


「……もう一つ、いいでしょうか」


 別の社員が発言した。


「はい」


「八月以降の入金予定は、少しよくなっていると聞きました」


「はい」


「それなら、七月の給与も何とかなるんじゃないんでしょうか?」


 高瀬が、資料を切り替えた。


「八月以降については、契約に基づく入金予定が具体化してきています」


「ただし、実際に入金されるのは、七月二十五日よりあとになります」


「……なるほど」


「そのため、将来の入金見通しが改善しても、七月二十五日までに使える資金が増えるわけではありません」


 社員は、うなずいた。


     *


「……皆さん」


 金目が言った。


「会社としては、引き続き、利用できる可能性のある資金調達手段をすべて進めます」


 少し間を置いた。


「ただし、まだ決まっていないことを、決まったようにお伝えすることはしません」


「七月二十日には、改めて見通しをご報告します」


 金目は、頭を下げた。


「引き続き、ご心配をおかけしますが、よろしくお願いいたします」


     *


 午後六時。


 報告を終えた社員たちは、それぞれの仕事へ戻っていた。


 業務部では、福原奈央が相談窓口の記録を確認していた。


 給与についての質問は、以前から多かった。


 しかし、今日の報告によって、不足額が具体的になった。


 今後は、より切実な相談が増えるかもしれない。


「……三宅さん」


 福原が声をかけた。


「はい?」


「今日の数字、思っていたより大きかったです」


 三宅は、少し考えた。


「……せやな」


「千二百万円って、簡単に何とかなる金額じゃないですよね」


「……そうやな」


 三宅は、うなずいた。


     *


「……ただ、福原さん」


 三宅が続けた。


「はい」


「今は、私らにできることを進めよう」


「……はい」


「入金の確認も、支払いの準備も、まだやることあるからな」


 福原は、うなずいた。


「……そうですね」


 三宅は、資金繰り表へ目を戻した。


 千二百万円。


 その数字を埋める方法は、まだ決まっていない。


 しかし、経理として確認できることは残っていた。


     *


 同じ頃。


 営業部では、大本恭平が松井慎吾と資料を確認していた。


「……松井さん」


「はい?」


「千二百万円って、やっぱり大きいですね」


「そうですね」


「俺らが取ってきた仕事だけでは、まだ全然足りへんのですね」


 松井は、少し考えた。


「……大本君」


「はい」


「焦る気持ちはわかります」


「……はい」


「でも、無理な条件で受注しても、あとで会社が困ることになります」


 大本は、うなずいた。


     *


「……そうですね」


 大本が答えた。


「今進めている仕事を、ちゃんと次につなげましょう」


 松井が言った。


「はい」


「それが、営業部にできることです」


 大本は、資料を見直した。


 新しく受注した要件整理案件。


 その先にある追加開発の可能性。


 今すぐ千二百万円を生み出すことはできない。


 しかし、次の仕事を作ることはできる。


 大本は、顧客へ確認する項目を整理し始めた。


     *


 2034年7月14日、金曜日。


 午後六時。


 尾崎達也は、自宅で二度目のオンライン面談に臨んでいた。


 相手企業の担当者は、前回よりも具体的な業務内容を説明していた。


「これまでのご経験を踏まえて、ぜひ弊社でもご活躍いただきたいと考えています」


「ありがとうございます」


 尾崎が答えた。


「今後の条件については、改めてご連絡します」


「承知しました。よろしくお願いいたします」


     *


 面談を終えた尾崎は、しばらく画面を見ていた。


 まだ、内定が出たわけではない。


 それでも、カナメを離れるという選択肢が、以前よりずっと現実的なものになっていた。


 これまで一緒に働いてきた仲間。


 自分が担当してきた開発二課。


 そして、会社を立て直そうとしている金目たち。


 尾崎は、それらを思い浮かべた。


 会社を離れることは、簡単な判断ではなかった。


     *


 2034年7月18日、火曜日。


 午前九時。


 業務部では、三宅が一件の入金を確認していた。


 既存顧客からの入金。


 百万円。


 当初は七月二十五日までに入金されるかどうか、確認が必要だったものだった。


「……高瀬さん」


 三宅が声をかけた。


「はい」


「こちらの百万円、入金を確認できました」


 高瀬は、明細を確認した。


「ありがとうございます」


 そして、資金繰り表を更新した。


     *


 七月二十五日までの不足見込み。


 千二百万円。


 そこから、百万円が減った。


 残り、一千百万円。


 高瀬は、数字を確認した。


「……少し、減りましたね」


 三宅が言った。


「はい」


「ただ、まだ一千万円以上あります」


「そうですね」


 高瀬は、資料を保存した。


     *


 午前十時。


 金目が業務部へやってきた。


「……高瀬さん、どうですか?」


「今朝、百万円の入金を確認しました」


「ほう」


「七月二十五日までの不足見込みは、一千百万円になりました」


 金目は、資料を確認した。


「……少し減ったな」


「はい」


「ただ、まだ足らん」


「そうですね」


     *


「……ほな、残りも詰めていきましょう」


 金目が言った。


「承知しました」


「金融機関の方は?」


「引き続き確認を進めています」


「了解です」


 金目は、予定表を開いた。


 午後には、別の金融機関との面談が入っている。


 千二百万円から、一千百万円へ。


 不足額は、少しずつ減っていた。


 しかし、七月二十五日まで、あと七日。


 まだ、必要な資金は揃っていなかった。


     *


 2034年7月19日、水曜日。


 午前十時過ぎ。


 金目は、大阪市内の金融機関から戻る途中だった。


 先ほどの面談でも、追加資料の提出を求められた。


 事業計画。


 資金繰り。


 今後の受注見通し。


 何度も説明してきた内容だった。


 それでも、融資の実行が決まったわけではない。


 金目は、駅へ向かいながら、次の予定を確認していた。


 そのとき、スマートフォンが鳴った。


 高瀬からだった。


     *


「……もしもし、高瀬さん」


『金目さん、今お時間よろしいでしょうか』


「はい。大丈夫です」


『先ほど、取引金融機関から連絡がありました』


「……追加資料ですか?」


『いえ』


 高瀬は、一度言葉を区切った。


『三百万円の融資が承認されました』


 金目は、足を止めた。


「……ほんまですか?」


『はい。七月二十一日の実行予定です』


「……そうですか」


 金目は、思わず息を吐いた。


「……ありがたいなあ」


     *


『ただし、金目さん』


「はい」


『今回の融資を反映しても、七月二十五日までに八百万円程度の不足が残る見込みです』


「……せやな」


『まだ、給与支払いを確約できる状況ではありません』


「わかっとります」


 金目は、少し笑った。


「でも、三百万は三百万や。大きいで」


『……そうですね』


「銀行さんにも、ありがとうございますと伝えといてください」


『承知しました』


 電話を切ったあと、金目はしばらくその場に立っていた。


 何度も金融機関を訪れ、資料を提出してきた。


 その努力が、ようやく一つの結果につながった。


     *


 午後一時。


 業務部では、高瀬が三宅彩と融資条件を確認していた。


 融資金額、三百万円。


 実行予定日、七月二十一日。


 返済条件と利息。


 そして、必要な手続き。


「……三宅さん、こちらの融資について、実行までの手続きを確認お願いします」


「承知しました」


 三宅は、資料を開いた。


「二十一日の着金予定ですね」


「はい」


「では、入金確認の対象に追加しておきます」


「お願いします」


     *


「……高瀬さん」


 三宅が尋ねた。


「はい」


「これで、七月二十五日の不足額はどのくらいになりますか?」


「融資が予定どおり実行されれば、八百万円です」


 三宅は、少し黙った。


「……まだ、八百万円ですか」


「はい」


 高瀬は、資金繰り表を見た。


「ただ、金融機関からの資金調達が一件、具体的に進んだことは確かです」


「……そうですね」


 三宅は、うなずいた。


     *


 同じ頃。


 開発部では、西田が田村と井上の配置状況を確認していた。


 新しく受注した案件の要件整理は、予定どおり進み始めている。


 田村も、一部の作業に参加していた。


「……田村、そっちはどうや?」


「今のところ、予定どおりやで」


 田村が答えた。


「ありがとう」


「ただ、次の開発工程へ進むかどうかは、まだ決まってへん」


「せやな」


 西田は、うなずいた。


     *


「……でもな」


 田村が続けた。


「何や?」


「大本君、結構いろいろ考えとるで」


「ほう」


「お客様が次の工程を判断しやすいように、今から整理できることがないかって」


 西田は、少し笑った。


「……せやな」


「最近、営業部も頑張っとるな」


「ほんまやな」


 井上も、うなずいた。


「今の仕事をちゃんと続けて、次につなげなあかんな」


     *


 夕方。


 金目は、会社へ戻っていた。


 西田が声をかけた。


「……金目、銀行の方どうやった?」


「……一件、通ったで」


 西田が顔を上げた。


「……ほんまか!」


「うん。三百万やけどな」


「いや、十分大きいやろ」


 金目は、少し笑った。


「……せやな」


「……これで、少しは楽になるんか?」


「少しはな」


 金目は、資料を見た。


「ただ、まだ八百万足らん」


 西田は、少し黙った。


「……そうか」


     *


「……でもな、西田」


 金目が続けた。


「何や?」


「八月以降の見通しは、前より具体的になってきとる」


「……せやな」


「銀行さんも、少なくとも一件は融資を認めてくれた」


「うん」


「せやから、まだやれることはあると思うんよ」


 西田は、うなずいた。


「……せやな」


「ほな、明日の報告もちゃんとやろうか」


「了解」


     *


 2034年7月20日、木曜日。


 午前九時。


 業務部では、高瀬と三宅が資金繰り表の最終確認を進めていた。


 二人は、明日の融資実行前後を分けた表を見直した。高瀬は、融資がまだ着金していないことを資料に明記した。


     *


「……三宅さん」


 高瀬が声をかけた。


「はい」


「本日の社員向け資料では、融資実行前の不足額と、実行後の不足見込みを分けて記載します」


「承知しました」


「現時点で実際に不足しているのは、一千百万円です」


「はい」


「明日の融資が予定どおり実行されれば、八百万円になります」


 三宅は、うなずいた。


「……数字は、正確に伝えたいですね」


「そうですね」


     *


 午前十一時。


 金目が、説明会資料を確認していた。


 高瀬は、資金繰り表を示した。


「……本日の報告内容はこちらです」


「ありがとうございます」


「融資三百万円は承認されていますが、実行は明日です」


「せやな」


「そのため、七月二十五日の給与支払いは、まだ保証できません」


 金目は、うなずいた。


「……そこは、はっきり伝えましょう」


     *


「……それから、高瀬さん」


 金目が続けた。


「はい」


「給与振込の手続きは、どこまで進んでいますか?」


「支給額の確定と振込データの準備は進めています」


「ありがとうございます」


「ただし、銀行側の受付期限と、必要資金の確保期限については、引き続き確認しています」


 金目は、少し考えた。


「……二十四日に資金が確保できても、二十五日に間に合わへんかったら意味ないですからね」


「そのとおりです」


「ほな、支払い方法も含めて、間に合う手順を確定させてください」


「承知しました」


     *


 午後五時。


 株式会社カナメでは、全社員向けの状況報告が始まった。


 金目は、参加者の一覧を確認した。


「……皆さん、お疲れさまです」


 画面の向こうで、社員たちが静かに聞いていた。


「今日は、七月二十五日の給与支払いについて、現時点での見通しをご報告します」


 高瀬が資料を共有した。


     *


「まず、七月十三日時点では、千二百万円の不足が見込まれていました」


 金目が説明した。


「その後、既存のお客様から百万円の入金がありました」


「そして、昨日、取引金融機関から三百万円の融資承認をいただきました」


 画面の向こうで、何人かの社員が顔を上げた。


「融資は、明日二十一日に実行される予定です」


 金目は、少し間を置いた。


「予定どおり実行されれば、不足見込みは八百万円まで縮小します」


     *


「……では、七月二十五日の給与は支払えるんでしょうか?」


 一人の社員が尋ねた。


 金目は、顔を上げた。


「……現時点では、まだお約束できません」


 社員は、少し黙った。


「……社長」


「はい」


「七月二十日までに、見通しを示すとおっしゃいましたよね」


「はい」


「結局、払えるかどうかわからないということですか?」


 金目は、うなずいた。


「……現時点では、そうです」


     *


「……それでは、私たちはいつまで待てばいいんでしょうか?」


 社員が続けた。


 金目は、少し考えた。


「……まず、今日までに確認できたことは、すべてお伝えしました」


「はい」


「ただ、まだ不足している資金があります」


「……そうですね」


「そのため、会社としては、引き続き資金調達を進めます」


 社員は、黙って聞いていた。


「そして、給与支払いについて、最終的に判断できる期限を改めてお伝えします」


     *


「……それは、いつですか?」


 社員が尋ねた。


 金目は、高瀬へ目を向けた。


「……高瀬さん」


「はい」


「実務上、いつまでに判断する必要がありますか?」


 高瀬は、資料を確認した。


「給与振込の方法によって異なりますが、現在、七月二十四日中に必要な資金を確保し、支払いを実行できる手順を確認しています」


「……なるほど」


 金目は、うなずいた。


「では、七月二十四日を最終期限とします」


     *


「……七月二十四日、ですか」


 社員が確認した。


「はい」


「ただし、それまで何もお知らせしないということではありません」


 金目は、続けた。


「資金調達の状況に重要な変化があれば、予定日を待たずにお伝えします」


「……わかりました」


 社員は、うなずいた。


 しかし、その表情から不安が消えたわけではなかった。


     *


「……皆さん」


 金目が言った。


「今回、銀行から三百万円の融資を受けられることになりました」


「これは、会社として資金調達を進めてきた一つの成果です」


「ただし、それだけで問題が解決したわけではありません」


 金目は、少し間を置いた。


「引き続き、会社としてできることを進めます」


「そして、七月二十四日には、必ず結果をご報告します」


 金目は、頭を下げた。


「ご心配をおかけして申し訳ありません」


     *


 午後六時半。


 説明会を終えた会議室には、金目、西田、高瀬、小坂の四人が残っていた。


「……お疲れさまでした」


 小坂が言った。


「ありがとうございます」


 金目が答えた。


 西田は、資料を見ていた。


「……金目、あと四日やで」


「……せやな」


「銀行から三百万借りられるんは、ありがたいけどな」


「うん」


「それでも、まだ八百万や」


 金目は、うなずいた。


     *


「……高瀬さん」


 金目が尋ねた。


「はい」


「明日の融資実行について、問題はなさそうですか?」


「現時点では、予定どおり進んでいます」


「ありがとうございます」


「ただし、実際の着金を確認するまでは、確定資金として扱いません」


「それでお願いします」


 金目は、資料を確認した。


     *


「……小坂さん、営業の方はどうですか?」


 金目が尋ねた。


「現在の案件は、予定どおり進んでいます」


 小坂が答えた。


「ただし、七月二十五日までに新たな入金を確保できる案件は、現時点ではありません」


「……せやな」


「引き続き、今後の受注につながる商談を進めます」


「お願いします」


     *


「……西田」


 金目が声をかけた。


「何や?」


「開発部の方は、引き続き頼むで」


「……了解」


「新しい仕事が増えてきたときに、ちゃんと対応できるようにしときたいんよ」


「せやな」


 西田は、うなずいた。


     *


「……ほな」


 金目は、三人を見た。


「七月二十四日まで、できることは全部進めましょう」


「承知しました」


 高瀬が答えた。


「営業部も、引き続き進めます」


 小坂が続けた。


「開発部も任せとけ」


 西田が言った。


 金目は、うなずいた。


「……ありがとう」


     *


 会議を終えたあと。


 金目は、自席で資金繰り表を開いた。


 七月二十一日。


 銀行融資三百万円の実行予定日。


 七月二十四日。


 給与支払いに向けた最終判断期限。


 そして、七月二十五日。


 給与支払日。


 金目は、その三つの日付を見比べた。


 銀行からの融資が予定どおり実行されても、八百万円が不足する。


 会社として、まだできることはある。


 しかし、時間は限られていた。


     *


 2034年7月20日、木曜日。


 株式会社カナメでは、社員たちへ約束した給与支払いの見通しが報告された。


 資金不足は、千二百万円から八百万円へ縮小する見込みとなった。


 しかし、給与支払いを保証できる状況には、まだ至っていない。


 金目は、七月二十四日を最終判断期限として社員たちへ伝えた。


 残された時間は、あと四日。


 会社を続けるための選択肢は、まだ残っていた。


 ただし、その選択肢を実行できる時間は、確実に少なくなっていた。

お読みいただきありがとうございます。旭月です。


今回は、七月二十五日の給与支払いに向けて、金目たちが奔走する姿をお届けしました。


金融機関との交渉がようやく実を結び、三百万円の融資が承認されました。


既存のお客様からの入金もあり、千二百万円あった資金不足は、八百万円まで縮小する見込みとなりました。


しかし、それでも必要な資金は揃っていません。


七月二十日。


金目は約束どおり、社員たちへ給与支払いの見通しを報告しました。


けれど、伝えられたのは「まだ保証できない」という答えでした。


期限を守って説明することと、相手が求める答えを用意できることは、必ずしも同じではありません。


それでも、金目たちは資金調達を諦めていません。


次の期限は、七月二十四日。


引き続き、お付き合いいただければ幸いです。

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