間に合う仕事、間に合わないお金
2034年6月27日、火曜日。
大阪・本町。
株式会社カナメでは、月末に向けた仕事が続いていた。
主要取引先の法的整理が判明してから、三週間余り。
失われた売上を補うため、営業部では新しい案件の獲得を進めている。
開発部では、残っている仕事と社員の経験を照らし合わせ、人員配置の調整を続けていた。
そして業務部では、七月二十五日の給与支払いに向けて、資金繰りの確認が進められている。
それぞれが、会社を続けるためにできることを進めていた。
ただし、その成果が同じ時期に現れるとは限らなかった。
*
午前九時半。
営業部では、大本恭平が松井慎吾と資料を確認していた。
先週から進めてきた、既存顧客への追加開発の提案。
今回は、開発全体を一度に請け負うのではなく、最初の要件整理を独立した工程として提案することになっていた。
「……松井さん、こちらでどうでしょうか」
大本が資料を共有した。
「ありがとうございます」
松井は、内容を確認した。
「作業範囲は整理できていますね」
「はい」
「成果物については?」
「要件一覧と、今後の開発範囲を整理した資料を想定しています」
「なるほど」
*
「……ただ、大本君」
松井が言った。
「はい?」
「お客様が、この成果物を受け取ったあと、何を判断できるかも明確にした方がよいと思います」
大本は、少し考えた。
「……開発を進めるかどうか、ですか?」
「そうですね」
「それから、必要な機能の優先順位や、概算費用を確認できることも大切です」
「……なるほど」
大本は、資料に項目を追加した。
要件整理の目的。
納品する成果物。
顧客が判断できる内容。
そして、次の工程へ進む場合の条件。
*
午前十一時。
小坂千尋と西田も加わり、提案内容の最終確認が行われた。
「……西田さん、開発部としてはどうでしょうか」
小坂が尋ねた。
「作業範囲は、これでええと思います」
西田が答えた。
「ただ、要件整理の途中で追加の相談が出た場合は、別途確認する形にしときたいですね」
「承知しました」
「あと、成果物の確認方法も決めといた方がええと思います」
「なるほど」
大本は、資料を確認した。
*
「……それから、入金条件についてですが」
小坂が続けた。
「はい」
大本が答えた。
「今回の要件整理については、工程終了後の検収と請求を基本に考えています」
「承知しました」
「ただし、お客様のご都合によっては、着手金を含めた条件も相談できるかもしれません」
松井が、うなずいた。
「そこは、無理にお願いする必要はありませんね」
「そうですね」
小坂が答えた。
「まずは、お客様にとって納得できる進め方を考えましょう」
*
「……大本さん」
小坂が言った。
「はい」
「今回の商談、以前よりも確認する項目が増えましたね」
大本は、少し笑った。
「……そうですね」
「慎重になりましたね」
「……そうですか?」
松井も、少し笑った。
「いいことだと思いますよ」
大本は、うなずいた。
「……ありがとうございます」
*
午後。
大本は、提案資料を顧客へ送付した。
要件整理を独立した工程として進めること。
成果物と確認方法。
費用と支払条件。
そして、次の開発工程へ進むかどうかは、要件整理の結果を踏まえて判断できること。
送信を終えたあと、大本は商談管理表を更新した。
――提案書送付済み。
――先方確認待ち。
まだ、正式な発注ではなかった。
*
2034年6月28日、水曜日。
午後二時。
営業部では、大本が受信したメールを確認していた。
昨日、提案書を送付した顧客からの返信だった。
大本は、内容を読み進めた。
要件整理の工程について、正式に発注したいという意向が記載されていた。
「……松井さん!」
大本が声を上げた。
「はい?」
「先方から、返事が来ました!」
松井が、画面を確認した。
「……なるほど」
「要件整理の方、お願いしたいそうです!」
*
「……よかったですね」
松井が言った。
「ありがとうございます!」
大本は、思わず笑った。
主要取引先の法的整理が判明してから、初めて具体的な発注の意思を示してもらえた案件だった。
金額は、会社全体の売上から見れば大きくない。
それでも、大本にとっては意味のある一件だった。
「……ただ、大本君」
松井が言った。
「はい?」
「正式な契約条件は、まだ確認が必要ですね」
「……そうでした」
大本は、資料を見直した。
*
午後三時。
小坂は、大本と松井から報告を受けていた。
「……要件整理について、発注のご意向をいただいたんですね」
「はい!」
大本が答えた。
「ありがとうございます」
小坂は、少し笑った。
「よく進めてくださいました」
「ありがとうございます!」
「ただし、契約締結と入金はこれからです」
「はい」
「まずは、条件を確認して、正式な契約へ進めましょう」
「承知しました」
*
「……金目さんにも、報告しましょうか」
小坂が言った。
「はい!」
大本は、うなずいた。
少しして、金目が営業部へやってきた。
「……何や、ええ話があるん?」
金目が尋ねた。
「はい!」
大本が答えた。
「先日から進めていた要件整理の件、発注したいというお返事をいただきました!」
「……おお」
金目は、顔を上げた。
「それは、よかったな」
*
「……よう頑張ってくれたな」
金目が言った。
「ありがとうございます!」
「松井さんも、小坂さんも、ありがとうございます」
「いえ」
小坂が答えた。
「まだ正式な契約ではありませんので、引き続き進めます」
「お願いします」
金目は、大本へ目を向けた。
「……ただ、大本君」
「はい?」
「これからが仕事やで(笑)」
大本は、少し笑った。
「……はい!(笑)」
*
金目は、営業部を離れた。
新しい仕事が、一つ生まれようとしている。
それは、素直にうれしかった。
ただし、その仕事によって会社の資金繰りがすぐに改善するわけではない。
金目は、翌日の金融機関との打ち合わせ予定を確認した。
*
2034年6月29日、木曜日。
午前十時。
金目と高瀬は、取引金融機関からの連絡を受けていた。
先日提出した追加資料について、確認結果を伝えたいという内容だった。
金目は、オンライン会議に参加した。
「本日は、お時間をいただきありがとうございます」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
金融機関の担当者が答えた。
*
「先日ご提出いただいた資料について、確認を進めました」
担当者が説明を始めた。
「ありがとうございます」
金目が答えた。
「ただ、現時点では、追加融資の実行をお約束することが難しい状況です」
金目は、少し黙った。
「……承知しました」
高瀬も、資料を確認した。
*
「主な理由としては、主要取引先の売上がなくなったあとの事業見通しです」
担当者が続けた。
「はい」
「現在の契約だけでは、今後の返済原資を十分に確認できない状況です」
「……なるほど」
「もちろん、御社が事業継続に向けて取り組まれていることは理解しています」
「ありがとうございます」
「ただ、金融機関としても、返済可能性を確認する必要がありますので」
「……おっしゃるとおりです」
金目は、うなずいた。
*
「……ちなみに」
金目が尋ねた。
「はい」
「今後、新しい契約が増えた場合には、改めてご相談できる可能性はありますか?」
担当者は、少し考えた。
「新規受注の実績や、今後の収益見通しが確認できれば、再検討できる可能性はあります」
「……そうですか」
「ただし、その場合も、融資の実行を保証するものではありません」
「承知しました」
金目は、うなずいた。
「では、引き続き必要な資料を整理します」
「よろしくお願いいたします」
*
打ち合わせを終えたあと。
金目は、しばらく画面を見ていた。
融資を断られたわけではない。
しかし、必要な時期に資金を調達できるという見通しも立っていない。
金目は、高瀬へ目を向けた。
「……まあ、そう簡単にはいかんわな」
「そうですね」
高瀬が答えた。
「金融機関としても、確認すべきことがありますから」
「……せやな」
*
午後一時。
業務部では、高瀬と三宅彩が資金繰り表を更新していた。
確定している入金。
今後の入金予定。
そして、まだ契約に至っていない案件。
それぞれを分けて整理する。
「……三宅さん、こちらの入金予定はどうですか?」
高瀬が尋ねた。
「現在、確認できている範囲では変更ありません」
「ありがとうございます」
「ただ、新しい要件整理の案件については、まだ契約締結前です」
「そうですね」
「資金繰り表には、確定入金として含めない方がよいと思います」
「そのとおりです」
*
午後二時。
金目が、更新された資金繰り表を確認していた。
「……仕事は、少しずつ増えそうなんですけどね」
金目が言った。
「はい」
高瀬が答えた。
「ただ、入金はそのあとです」
「……せやな」
金目は、資金繰り表を見直した。
六月末の残高。
七月の支払予定。
そして、まだ確定していない入金。
*
「……しかし、高瀬さん」
金目が、資料を見ながら言った。
「はい?」
「晴れとるうちに、傘を借りとけばよかったな」
高瀬は、少し考えた。
「……銀行からの借入のことですか?」
「せや」
金目は、苦笑した。
「雨が降ってから傘貸してください言うても、そら難しいわな」
「……そうですね」
「お金に困ってへんときは、借りる必要ないと思っとったんよ」
金目は、資料を見直した。
「でも、必要になる前に準備しとくんも、経営の仕事やったな」
*
「……ただ、金目さん」
高瀬が言った。
「はい」
「事前に借入をしていたとしても、今回の状況を防げたとは限りません」
「……せやな」
「それに、借入には金利などの負担もあります」
「うん」
「当時の判断が、すべて間違っていたわけではないと思います」
金目は、少し笑った。
「……ありがとう」
そして、資金繰り表へ目を戻した。
「ほな、次に晴れたときは、傘立てを作っとこうか」
高瀬も、少し笑った。
「……そうですね」
「まあ、その前に」
金目は、七月の支払予定を指した。
「今降っとる雨を、どうにかせなあかんな」
*
高瀬は、資金繰り表を切り替えた。
七月二十五日。
給与支払日。
その日までに、必要な資金を確保しなければならない。
しかし、金融機関からの融資は、まだ見通しが立っていない。
新しい仕事は生まれ始めている。
それでも、その仕事から入るお金が、必要な日に間に合うとは限らなかった。
金目は、資料を見直した。
そして、翌日の月末確認に向けて、必要な項目を整理し始めた。
*
2034年6月30日、金曜日。
大阪・本町。
株式会社カナメでは、六月最後の営業日を迎えていた。
主要取引先の法的整理が判明してから、二十五日。
月が変われば、七月二十五日の給与支払日がさらに近づく。
それでも、会社の仕事が止まるわけではなかった。
*
午前九時半。
開発一課では、田村洋介が久しぶりに開発環境を開いていた。
今回担当するのは、既存顧客向けシステムの小規模な改修だった。
課長としての業務を続けながら、一部の実装とレビューを担当する。
西田と相談し、無理のない範囲で作業時間を確保した結果だった。
「……さて」
田村は、画面を確認した。
リポジトリ。
開発手順。
そして、現在の変更内容。
以前は毎日のように触れていたものだった。
しかし、最近は担当者から報告を受けることの方が多かった。
*
「……田村さん」
若手社員が声をかけた。
「何や?」
「今回、本当に実装もされるんですか?」
「せやで」
「……そうなんですね」
田村は、少し笑った。
「何や、俺がコード書いたらあかんのか(笑)」
「いや、そういうわけじゃないです(笑)」
「ほな、ええやろ」
若手も、少し笑った。
*
「……ただな」
田村が続けた。
「はい?」
「最近の実装の進め方、ちょっと教えてくれへんか」
若手は、少し驚いた顔をした。
「……田村さんでも、ですか?」
「そらそうや」
田村は、画面を指した。
「俺が普段触っとった頃と、結構変わっとるやろ」
「……そうですね」
「ほな、今のやり方を知っとる人に聞いた方が早いやん」
若手は、うなずいた。
「わかりました。説明します」
*
若手は、現在の開発手順を説明した。
変更の作成方法。
レビューの流れ。
自動テストの確認。
そして、リリースまでの手順。
田村は、一つずつ確認した。
「……なるほどな」
「ここは、こういう形になっています」
「ほう」
「以前よりも、自動で確認できる部分が増えました」
「……ええやん」
田村は、少し笑った。
「俺がやっとった頃より、だいぶ楽になっとるな」
*
「……田村さん」
若手が尋ねた。
「何や?」
「久しぶりに開発されて、どうですか?」
田村は、少し考えた。
「……まだ、何も作ってへんで(笑)」
「……あ、そうでした(笑)」
二人は、少し笑った。
田村は、開発環境へ目を戻した。
「でも、悪くないな」
「……そうですか?」
「うん」
久しぶりに、自分で手を動かす仕事だった。
課長としての仕事とは違う。
それでも、自分がこの会社でできることの一つだった。
*
午前十一時。
基盤運用課では、井上修一が運用状況を確認していた。
継続している顧客のシステム。
障害対応の担当。
そして、翌月の運用予定。
井上は、一覧を確認した。
「……ここの担当、来月から少し変わるで」
井上が言った。
「はい」
若手社員が答えた。
「ただ、障害対応の連絡先は変えへんからな」
「承知しました」
「担当者が変わるところは、引き継ぎを確認しといてほしい」
「はい」
*
「……井上さん」
若手が尋ねた。
「何や?」
「開発部の配置調整って、まだ続くんですか?」
「せやな」
「……そうですか」
井上は、少し考えた。
「ただ、運用に必要な体制は残すで」
「はい」
「今のお客様に迷惑かけるわけにはいかんからな」
若手は、うなずいた。
*
「……それに」
井上が続けた。
「はい?」
「今ある仕事をちゃんと続けることも、会社を残すために必要やろ」
「……そうですね」
「新しい仕事を増やすんも大事やけど、今のお客様に安心して使ってもらうんも大事や」
若手は、資料を確認した。
「……わかりました」
井上は、うなずいた。
「ほな、来月の体制をもう一回確認しようか」
*
午後一時。
業務部では、三宅彩が六月末の入出金を確認していた。
月末の支払い。
入金済みの売掛金。
そして、翌月へ繰り越される入金予定。
確認できた数字を、高瀬の資金繰り表へ反映していく。
「……高瀬さん」
三宅が声をかけた。
「はい」
「六月末の入出金、確認できました」
「ありがとうございます」
「予定から大きく外れたものはありません」
「承知しました」
*
「……ただ」
三宅が続けた。
「はい?」
「七月の支払いについては、まだ厳しいですね」
高瀬は、資料を確認した。
「そうですね」
「現在の入金予定だけでは、七月二十五日までに必要な資金を十分に確保できるとは言えません」
「……せやな」
三宅は、うなずいた。
「引き続き、入金予定を確認します」
「お願いします」
*
高瀬は、資金繰り表を切り替えた。
金融機関からの追加融資。
既存顧客からの入金。
新規案件の契約と入金。
それぞれの条件によって、七月の残高は変わる。
しかし、現時点では、どれも十分な余裕を生むものではなかった。
高瀬は、資金不足が生じる可能性のある日付を確認した。
そして、必要な対応を検討するための一覧を更新した。
*
午後三時。
金目、西田、高瀬、小坂の四人が、月末の経営状況を確認していた。
最初に報告したのは、小坂だった。
「……営業部からご報告します」
「お願いします」
金目が答えた。
「大本が進めている要件整理の案件について、発注のご意向をいただいています」
「ありがとうございます」
「現在、契約条件の確認を進めています」
「なるほど」
「金額としては大きくありませんが、新しい受注につながる可能性があります」
金目は、うなずいた。
*
「……ただし」
小坂が続けた。
「はい」
「契約締結と入金は、まだこれからです」
「せやな」
「そのため、確定売上には含めていません」
「それでええと思います」
金目は、資料を確認した。
「……小さくても、仕事が増えるんはありがたいですね」
「そうですね」
小坂が、少し笑った。
*
「……開発部はどうや?」
金目が尋ねた。
「三課体制を維持しながら、配置調整を進めとるで」
西田が答えた。
「ありがとう」
「田村も、一部の開発案件に入れるようになった」
「ほう」
「ただ、まだ全員分の仕事を確保できたわけちゃう」
「……せやな」
「教育や調整で対応できるところは進めとるけど、仕事そのものが足らんところもある」
金目は、うなずいた。
*
「……高瀬さん、資金繰りは?」
金目が尋ねた。
「六月末時点の数字を反映しました」
「ありがとうございます」
「ただし、七月二十五日の給与支払いについては、引き続き資金不足が生じる可能性があります」
「……せやな」
「金融機関からの融資は、現時点では実行の見通しが立っていません」
「了解です」
金目は、資料を見直した。
*
新しい仕事に対応する準備は進んでいる。しかし、その入金が給与支払日までに間に合うとは限らない。
金目は、営業の資料から資金繰り表へ目を移した。
*
「……高瀬さん」
金目が続けた。
「はい」
「資金調達の選択肢を、もう一回整理してもらえますか?」
「承知しました」
「金融機関との協議を続ける場合」
「はい」
「既存のお客様からの入金を早められる可能性」
「承知しました」
「それから、ほかに取れる方法がないか」
高瀬は、うなずいた。
「確認します」
*
「……ただし」
金目が続けた。
「はい」
「お客様に無理なお願いをするつもりはありません」
「承知しました」
「こちらの都合だけで、支払条件を変えてもらうわけにはいきませんから」
小坂も、うなずいた。
「営業部でも、その点は注意します」
「お願いします」
*
「……それと」
金目は、少し考えた。
「はい」
「今後、会社の資金繰りを安定させるために、どんな仕組みが必要かも整理しておきたいです」
高瀬が顔を上げた。
「……金融機関との関係も含めて、でしょうか?」
「はい」
金目は、少し笑った。
「晴れとるうちに、傘立て作っとかなあかんからな」
高瀬も、少し笑った。
「……そうですね」
*
「……何や、その傘立てって」
西田が尋ねた。
「余裕があるときから、資金調達の準備をしとくいう話や。昨日、高瀬さんと話しとってな」
「……なるほどな」
「まあ、今はこの雨をどうにかせなあかんけど」
西田は少し笑い、小坂も、うなずいた。
高瀬は、資金繰り表へ目を戻した。
七月二十五日。
その日付は、変わらなかった。
*
午後五時半。
金目は、自席で七月の資金繰り表を開いた。給与、外注費、事務所賃料、その他の固定費。それぞれの支払日が並んでいる。
新しい案件の入金は、七月二十五日には間に合わない可能性がある。融資の実行も、まだ見通せない。
六月最後の営業日が終わろうとしていた。主要取引先の法的整理が判明してから、約一か月。仕事は生まれ始めたが、その仕事から入るお金は、必要な日に届くとは限らなかった。
金目は、七月二十五日の欄で手を止めた。
給与支払日まで、あと二十五日だった。
お読みいただきありがとうございます。旭月です。
今回は、新しい仕事が少しずつ生まれ始めたカナメの様子をお届けしました。
大本が進めてきた商談は、ようやく発注の意向をいただくところまで進みました。
田村も、久しぶりに開発の現場へ戻り始めています。
会社を続けるための取り組みは、確かに前へ進んでいます。
しかし、仕事が増えることと、必要なときにお金が入ることは別の話です。
金融機関との協議も、まだ見通しが立っていません。
そんな中、金目は「晴れとるうちに、傘を借りとけばよかったな」と振り返りました。
必要になってから準備するのではなく、必要になる前に備えておくこと。
そして、次に同じことが起きたときのために、傘立てを作っておくこと。
金目らしい反省の仕方だったのかもしれません。
ただ、今はまだ雨の中です。
七月二十五日の給与支払日が近づいています。
引き続き、お付き合いいただければ幸いです。




